建築資料製作室
源氏物語の世界を
建築・インテリア・衣裳の視点で復元・製作
概要
建築資料製作室について
11世紀のはじめ、紫式部の手になる「源氏物語」は、千年の時を超えて、今日も多くの人々に愛されています。物語のなかには、さまざまな住宅がその舞台として描かれており、住宅内部の様子や調度の有様、庭の風情が登場人物とともに精細に描写されています。工学部建築学科・池浩三(現名誉教授)研究室では、学生とともに源氏物語の世界を「住まい」の観点から読み取り、考証を加え、図面化し、立体的に再現しました。建築資料製作室では、日本の伝統的住宅様式である寝殿造の構造を示すのみならず、家具や調度・楽器などを配置し、その室礼に大きな役割を果たした衣装の豊かな色彩も展示しています。源氏物語の新たな魅力を発見する一助として、是非ご覧ください。


源氏物語を建築の視点で見る発想
池教授による「源氏物語の建築」の研究は、TVや新聞などで紹介されています。

設備
源氏物語の住まい

01 二条院
光源氏が、紫の上とともに35歳の秋まで住んだ邸宅。敷地は一町(約120m四方)、周囲に築地がめぐらされ、東西と北に門が開かれている。寝殿と東・西対があり、源氏は東対に、紫の上は西対に住んだという。

02 二条院[東部分]
寝殿の屋根形成は、廟の四隅に隅木を入れた入母屋造。春日大社着到殿の意匠(低い軒高、ゆるやかな屋根勾配、優美な軒端の反りなど)をもとに復元。東対は切妻の端に廟屋根をかけた、縋派風の屋根形式となる。
![二条院[東部分]](images/02.jpg)
03 六条院
六条院は、光源氏35歳の8月に竣工、以後源氏が没するまで物語の主な舞台となった。四町(252m四方)を四つに分けた各町に、春夏秋冬の四季にふさわしい庭園、殿舎をつくり、その季節を好む女君たちを住まわせた。

04 寝殿造[五間四面]
上級貴族の寝殿は東西5間、南北2間の母屋を中心とし、その周りに1間の廟をめぐらす。この平面構成を「五間四面」という。母屋5間のうち2間は土壁づくりの塗籠で、伝来の宝物を収納したり、寝所にあてたりした。
![寝殿造[五間四面]](images/04.jpg)
05 寝殿造[三間四面]
中級貴族の寝殿は東西3間、南北2間の母屋の周りに1間の廟をめぐらす。「三間四面」という。母屋3間のうち1間は土壁ではなく、はめ殺しの障子を立てて塗籠のように使った。紀伊守邸の寝殿が同規模である。
![寝殿造[三間四面]](images/05.jpg)
06 宇治の山荘
広壮華麗な六条院とはおよそ対照的な、死を予感させるような物寂しい住まいである。川辺に近く、廊の先端は川岸に設けた船着場に通じている。外構は葦を網代状に編んだ垣根で、門も簡素な棟門であったと思われる。

07 小野の庵
僧庵ではあるが、庵主の身分から推して、主屋は三間四面の規模は備えていただろう。門の傍らに車宿や侍所を設け、雑舎も数棟あり、小さな持仏堂もあったかもしれない。『源氏物語』が帰着した住まい観が表れている。

08 京極土御門殿
藤原道長の本邸で、南北二町を占める。寝殿と東・西対、西二対、御堂、南舎、文殿、馬場と馬場殿などがあった。道長の娘、彰子の家庭教師であった紫式部は、寝殿と東対をつなぐ北渡殿を曹司(自室)としていた。

09 一条院
一条天皇の里内裏としてしばしば使用され二町を占める。紫宸殿に準じた南殿(寝殿)、東・西対、北対、北二対、東北対、内膳所、蔵人町、御書所、弓庭殿、馬場殿など多くの殿舎があり、内裏にならって南中門を設けていた。

10 紀伊守邸
源氏と空蝉との恋の舞台で、受領(中級貴族)の邸宅。敷地は半町(東西に約1/2)、「三間四面」の寝殿に東・西対、渡殿、中門廊を備えていた。『年中行事絵巻』の「闘鶏」の場面にも同規模の邸宅が描かれている。

11 寝殿の平常の室礼
母屋に帳台を構え、その東に畳2帖の上に茵を置き、几帳を添えて主人の御座とする。その後ろに厨子一双を置き屏風2帖を立てる。南廂にも畳を敷き並べ、中央を御座とし、横に衝立障子を立て、二階棚・鏡台などを飾る。

12 光源氏の「四十の賀」
平安時代の人びとの多くは短命であり、初老ともいえる40歳を長寿として祝った。源氏の座る「螺鈿の倚子」は真珠色の貝などを漆に塗り込んだ中国風の倚子。源氏の御座所の後ろには四季の屏風4帖を立てた。

源氏物語の世界を彩る音と色
六条院の女楽
六条院の春。「正月二十日ばかりになれば、空もをかしきほどに、風ぬるく吹きて、御前の梅も盛りになりゆき、おほかたの花の木どももみなけしきばみ、霞みわたりにけり」。そんな折に、光源氏は六条院の女君たちによる音楽会(女楽)を催した。明石の君は琵琶、女三の宮は七弦琴、明石の女御は筝の琴、そして紫の上は和琴という弦楽四重奏がかなでられた。

女楽の衣裳

- 衣配り
- 光源氏は、35歳の年の暮れ、紫の上とともに、六条院と東院に住む女君たちに贈る新春の晴れ着を見立てている。紫の上は、源氏がおのおのの年齢、容貌、人柄にふさわしく取り分けてゆくのを身ながら、競争相手の女性たちの姿や性格を密かに推量している。展示では六条院と東院に住む女君6人に贈った衣装の色彩を植物染料によって復元した。
13 染色絹布のパネル-源氏物語に見える代表的な色
葡萄染、深紫、浅紫、紅(くれない)、紅梅、蘇芳、深蘇芳、浅蘇芳、檜皮色、朽葉、丁子染、萓草色、梔子、支子色、黄、山吹、刈安、青丹、若草色、緑色、萌黄、麹塵、秘色(青磁色)、縹、浅縹、青鈍、薄鈍、鈍色(染色:染司よしおか)

利用案内
- 開室曜日および時間
- 月曜日~金曜日:10時~16時 土曜日:10時~12時