子どもの個性を大切に
北名古屋市の閑静な住宅街の中に、白い2階建ての園舎と、かわいい遊具のある広い園庭が目を引く栄和幼稚園がある。活発な子、控えめな子、マイペースな子など、個性溢れる4歳から5歳の年中児クラスをまとめているのは、本学幼児教育学科卒業生の深谷さん。2クラスある年中の学年主任も務めている。
「毎日、点呼と朝の会を行った後、主活動を行っています。活動内容は園のカリキュラムに沿ったもので、子どもたちの日々の様子を見て担任2人で相談しながら決めます。年中児クラスはこの時期、ひらがなを書く前段階となる直線や曲線を描く知育ワークや、鍵盤ハーモニカ、園庭での運動などを行っています」
栄和幼稚園では「子どもに応じた教育」を心掛けており、深谷さんは園児の発達段階や園児の気持ちを尊重した指導を行っている。
トラブルも力に変えて

活動中、思うように取り組めなくて手が止まる園児がいたり、園児同士でトラブルが起きたりすることも。
「トラブル時の園児への声掛けや関わり方には特に気をつけています。他の先生や保護者の方にも相談し、どのような指導が園児にとって最も適切なのかを考えます」
苦手なことを目の前にすると涙が出てしまう園児には、簡単なゲームを考案してみんなで一緒に取り組んで、「できた」という成功体験をさせることで苦手意識を減らすなどの工夫をするという。
「苦手なことができるようになると、『先生できたよ!』と満面の笑顔で駆け寄ってきてくれます。一緒に乗り越えられたことがうれしいですし、やりがいを感じます」
発達に若干の遅れが感じられる園児には特別支援クラスの先生と連携を取りながら、より成長を促すようなサポートをしている。また、子どもの発達障がいに関する本を読み、療育センターに足を運ぶなど、勉強も欠かせない。
「療育で行うイラストや表を使用した視覚重視の指導は、普段の指導でも取り入れています」
- 深谷 絢果さん
- 学校法人栄和学園栄和幼稚園教諭
- 2016(平成28)年度幼児教育学科卒業
寄り添ってくれた先生に憧れて
幼稚園時代は控えめで大人しかったという深谷さん。そんな深谷さんに優しく寄り添い、支えてくれた先生に憧れ、幼稚園の先生になることが目標となった。総合大学でいろいろな知識を得られることに魅力を感じ、本学幼児教育学科に進学した。
「造形の授業では、絵本やペープサート(紙人形劇)を製作しました。造形に対して苦手意識がありましたが、教わったブラシや指を使った絵画の技法などは、今はとても役に立っています。フィンガーペインティングなどの身体を使った製作や、大きなポリ袋を膨らませた遊びは実際に園での活動にも取り入れています」
準備期間を大切に

学生時代はバスケットボールに打ち込み、現在も当時の同級生らと一緒に社会人サークルに所属して、バスケットボールを楽しんでいる。
後輩となる学生の皆さんに対しては「大学生活は長いようであっという間です。自分のやりたいこと、好きなことを見つけ、将来に向けて準備ができるとても貴重な時間です。勉強だけではなく、友だちやクラブ活動なども大切にして実りのある4年間にしてください」と、メッセージを送る。
- ウプト223号(2022年11月30日発行)より転載