2023年2月28日

  • 卒業生

2015(平成27)年度工学部応用化学科卒業、2017(平成29)年度工学研究科応用化学専攻博士前期課程修了 山際 菜々子さん

山際さんメイン

2015(平成27)年度工学部応用化学科卒業、2017(平成29)年度工学研究科応用化学専攻博士前期課程修了

不思議な形に魅了されて

「会社説明会でセラミック多孔体の『セラミックフォーム』の実物に触れ、スポンジのような形状と硬さ、軽さに興味を持ちました」と、株式会社成田製陶所の山口工場で勤務する山際さんは愛らしい笑顔で語る。
愛知県瀬戸市に本社を構える株式会社成田製陶所は、セラミック製品や熱源バーナーを開発する企業で、特にガスコンロの着火などで使用される点火プラグでは国内有数のシェアを誇る。セラミック製品では、主に金属精錬工程(不純物を取り除く)時にフィルターとなるセラミックフォームや、熱エネルギーを効率良く伝えるセラミックプレートなどの開発を行っている。
山際さんは既存の製品の改良、新製品の開発、原材料のチェックや製造現場で発生した不良の原因特定・工程改善など多様な業務を担う。「材料や製品の種類が豊富で、いろいろな仕事ができ、毎日が楽しいです」

より高性能なフィルターを開発

山際さんメイン

山際さんは、ジルコニアを使用したセラミックフォームを新開発した。宝飾品にも利用されるジルコニアは強度が高く、高温の環境にも強いため、より高性能なフィルターが作れる一方、温度変化によって結晶構造や体積が変化するという弱点がある。そのため、顧客の要望は多いものの、国内で製造できる企業は少なかった。山際さんは加工の際の温度や加熱時間を何通りも試し、行き詰まった時には原料や素材を扱う企業の社員や上司に相談しながら、約2年間の試行錯誤を繰り返し、製品化にこぎ着けた。従来の製品より高純度な金属を精錬でき、航空機の材料製造などでの使用が期待される。
「社会人2年目の時に、新製品開発のお話をいただきました。若手職員でも、新しいことにどんどん挑戦させてくれる環境にとても感謝しています」

  • 山際 菜々子さん
  • 株式会社成田製陶所
  • 2015(平成27)年度工学部応用化学科卒業
  • 2017(平成29)年度工学研究科応用化学専攻博士前期課程修了

違う世界に飛び込んで

子どもの頃から好奇心旺盛で、些細な疑問でも可能な限り解明したかったという山際さん。化学が好きで実験が
たくさんできることに魅力を感じ、本学応用化学科に進学した。
応用化学科では、有機・無機化学問わず、さまざまな分野の実験を行った。3年生からは籔内一博准教授(応用化学科)の研究室に所属して有機化学を学び、その後「もっと実験がしたい」と、大学院に進学した。
「学生時代に学んだ実験データの処理方法やプレゼンテーションなどは今、とても役立っています」
自分の専門とは違う無機化学の分野に就職した山際さん。知的欲求に素直な性格が、就職活動にも生かされた。

積極的にチャレンジを

山際さんお話中

在学時、課外活動ではピアサポーターを3年間務め、開学50周年記念事業では工学部を代表してプレゼン資料を作成、三浦幸平メモリアルホールで発表した。
「課外活動は友人に誘われて取り組みました。今思えば、もっと自分から動いてみても良かったなと思います。大学生活はあっという間に過ぎてしまうので、学生の皆さんはやりたいこと、興味のあることに自分から挑戦してみてほしいです」とエールを送る。

  • ウプト224号(2023年2月28日発行)より転載

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