2023年6月1日

  • 卒業生

1995(平成7)年度経営情報学科卒業 鈴木 拓将さん

鈴木さん

1995(平成7)年度経営情報学科卒業

お客様、従業員とその家族の幸せのために

名古屋めしといえば何を思い浮かべるだろうか。揚げたてのとんかつに甘い味噌だれ、たっぷりのキャベツといただく「みそかつ」もその代表格だ。名古屋市中区に本店を構える矢場とんは、全国屈指のみそかつチェーン店。その味を求めて全国各地から多くの客が訪れ、ランチタイムを過ぎても行列が絶えないほどの人気だ。本学経営情報学科卒業生の鈴木さんは代表取締役として国内30店舗、海外1店舗を有する株式会社矢場とんを経営している。
「矢場とんは祖父が1947(昭和22)年に創業した、大衆食堂がはじまりです。戦後の食糧難から高度経済成長期に向かう時代で、飲食店なら従業員に賄いでお腹いっぱい食べさせてあげられる、そうすることで家族も幸せに暮らせるという思いで営業していました。その思いは、今も変わりません」

自分の器以上の人は育たない

鈴木さん

飲食業界の大卒3年以内の離職率は平均52.6%(2020年10月、厚生労働省発表)と高い中、矢場とんはコロナ禍以前9%と飲食業界では一際低い。その秘密は鈴木さんの柔軟な考え方にある。「従業員には、会社を良くするためではなく、家族を幸せにするために働いてほしいと伝えています。そうすることで、より良いサービスの提供に繋がり、お客様も幸せにすることができると思うので」
お客様だけではなく、従業員とその家族のことも大切に考える鈴木さん。これこそが代々受け継がれてきた、矢場とんの大切な想いだ。
「私の仕事は学ぶことです。『自分の器以上の人は育たない』ので、私は他の経営者から話を聞くなどして学び、それを従業員に伝えています。自分の器を大きくすることで、従業員も家族から慕われるような人になってくれれば良いと思います。そうしてたくさんの人を幸せにして、創業100周年をたくさんの仲間(従業員)と迎えられたら良いですね」

  • 鈴木 拓将さん
  • 株式会社矢場とん 代表取締役
  • 1995(平成7)年度経営情報学科卒業

接客業の基礎を学んだ学生時代

学生時代は決して真面目な学生ではなかったという鈴木さん。「勉強よりもホテルのベルボーイのアルバイトを頑張っていました。そこで言葉遣いなど接客の基礎を学びました」
就職はアルバイト先のホテルに内定していたものの、日ごろの授業態度が災いし、指導教授の前田和昭先生(現経営総合学科)から卒業の条件を出されてしまったという。「原稿用紙100枚分の論文を書いて提出するというもので、インターネットビジネスについて調べて書きました。とても大変でしたが、そこでプログラム言語などを知り、学べたことが、後のネット販売などにも役立ったと思います」

失敗と継続から学ぶ人間力

鈴木さんお話中

やんちゃな学生時代を経て、失敗の大切さを学んだという鈴木さん。
学生の皆さんに「今のうちにいろいろな経験をして失敗もしてください。人には誰でも他人より優れているところが必ずありますが、それは続けてきたからこそ得るものだと思います。継続する力を身に付けるためにも、まずはできることをやるだけではなく、やりたいことに積極的にチャレンジして、自分に何が合うのかを見つけてください。もしやり切れずに抱えてしまっても、『ごめんね』と謝り、人を頼れば良いのです。そうして培った人間力は社会で生きるために大切な力となります」とメッセージを送る。

  • ウプト225号(2023年5月31日発行)より転載

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