「高校1年生の時に担任の先生との懇談で『学校での姿や人との関わり方を見ていて、教員が向いていると思うよ』と言われたことがきっかけで教員を目指しました」と笑顔で語るのは、本学児童教育学科(現:現代教育学科)卒業生の新美賢太郎さん。学校と人と関わることが好きな自身の性格と適性を見極めてくださった先生方の後押しもあり、教員の道を志すことを決意した。
大学で、小学校教諭1種免許状を取得して教職に就き、小学校で8年間勤務と並行して通信教育で、体育の専門科目を修得。「当時勤務していた小学校の校長先生に勧められて中学校教諭保健体育の免許状を取得しました。実技の実習は全国各地で行われていて、自分の予定に合う開催地を探し、一番遠い場所で宮崎まで行きました。日頃の業務と両立させるのはとても大変でしたが、今では取得して良かったと心から思います」
学び続ける姿勢

中学校の体育教諭となって4年目の現は、クラス担任や第1学年副主任、バレーボール部の顧問も務めている。「授業では、生徒と共に学び合うことに最大のやりがいを感じています。青山中学校では、生徒の主体的な学びの実現のために生徒自身が授業運営を行う『教えない授業』を実践しています。同じ授業をしてもクラスが違えば生徒の反応、手応えが違います。それが教育の難しさであり、同時にやりがいや面白さにもつながっています。体育の授業では特に生徒が『わかった』から『できた』を実感できる瞬間に大きな喜びを覚えます」
教育者として心がけているのは、「一人一人の生徒に寄り添いながら、人として大切なことを言葉だけでなく行動で示すことです。そして、自身も常に挑戦し学び続ける姿勢を保つことだと思っています」と、子どもたちと共に自身の成長を目指す。
文武両道に励んだ学生時代

幼い頃からサッカーに打ち込み、現在はサッカークラブや地区トレセンのゴールキーパーコーチも務める新美さんは、大学時代はサッカー部に所属し、毎日の朝練・夕練に加えて授業と、文武両道に励んだ。「当時は部活、授業、アルバイトと毎日忙しく動いていました(笑)」
学科では深谷圭助先生のゼミで『学び続けることの大切さ』を学び、多くの本を読むことで知識を広げていったという。「学生時代に人間学を学ぶ本に出会い、今でも定期購読しています。その内容を生徒にかみ砕いて伝えることもあります」
教育実習や教員採用試験については、「教育実習では指導案の作成などに追われてしまうことがあると思いますが、生徒との関わる時間をとにかく増やすことが大切です。採用試験の勉強では受験する県や市だけでなく、他府県の過去問題にも積極的に取り組むことで対策を強化することができました。最も大切なのは、なぜ教師になりたいのか、教師として生徒たちにどんなことを伝えていきたいのかを明確にしておくことだと思います」と、当時を振り返ってアドバイスを贈る。
出会いを大切に
後輩となる学生の皆さんへ「中部大学での学びや人との出会いがあって、今の自分があると実感しています。自分の可能性を信じ、多くのことに挑戦し、経験値を増やしてください。その経験は必ず、将来の糧となるはずです」とメッセージを送る。
- ウプト232号(2025年2月28日発行)より転載