第2回魅力ある授業づくり作品コンクール受賞作品集
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13えるだろう。先生のパーフェクトな授業があっても、居眠りや、私語があれば一生の損失となり取り返しがつかない。人生の中で20歳前後は知力、体力とも充実した時期である。分、秒単位の損失はその後の人生を考えると莫大な損失時間になる。授業とは“学問・技芸などを教え授けること”であるが、授かる側が主役にならないと生の舞台にはならない。主役になるには目や耳や口など、五感をフルに使って授業に望まなければならない。わたしは映画を否定するわけではない。完成された映画の裏には血と汗と涙(やり直し)が存在することを承知し、映画のdescriptionを理解すれば魅力ある映画(知識や知恵という財産)となろう。教え授けることに熱心なフルスペックの講義は授かる側の主役意欲が希薄になる。“教えることは学ばないこと”という職人気質の考えは今も生きている。「何を言いたかった?何を示唆していたのか?」と考えさせるような仕掛けが存在してもいいのではなかろうか。疑問符によって学生が積極的に考えるようになる。つまり、主役を学生に譲り渡すのである。主役は多いほどいい。『魅力ある授業の創造』へ、一つの道として提案する。 現在、77歳のわたしにとって「知識の創造者」なる・・知識はわたしの手元にある。譲り渡されたのだ。知恵以上に昇華するのは主役たるわたしである。残された人生、こんな句のような心がけで謎を解消したい。 浜までは 海女も蓑着る 時雨かな)句の水瓢滝( 「魅力ある授業は己が主役であるべき」、本学聴講生としての15年間で得られた境地でしょうか。77歳になって今なお知の探究を続けている作者だからこその気持ちが滲み出る作品です。学びに終わりがないことを作品を通して改めて感じさせられました。講 評

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