学校法人中部大学
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国際的にも著名な研究者を数多く擁する中部大学では、人類の未来を拓く先端研究が進められています。1.画期的な分子標的薬の実現に挑む-ペプチドの革新的合成- 「ペプチド研究センター」(山本尚センター長)では、タンパク質断片のペプチド分子を従来の1/1000以下の低コストで合成する技術開発に取り組んでいます。ペプチドは経口薬用の小分子と注射で投与する抗体医薬品用の高分子の中間程度の大きさです。経口で摂取でき、病気の細胞だけに集まる高い治療効果を持ち、しかも副作用がほとんどない全く新しい医薬品として期待されていますが、合成コストが極めて高いため医薬品には使えませんでした。ペプチドを安価に量産し、人々の健康寿命向上に貢献することを目指しています。2.新エネルギーの技術開発に挑む-超伝導直流送電- 「超伝導・持続可能エネルギー研究センター」(武藤敬センター長)では、液体窒素温度で電気抵抗ゼロになる高温超伝導ケーブルを使って、発電所等から大電力輸送損失を現在の1/10以下に減らす直流送電技術の開発を進めています。電気抵抗がゼロのため、高電圧が不要になり、変電所の数を大幅に減らし、電力網コストの低減につながります。3.省エネ・クリーン環境の実現に挑む-ミュオン触媒核融合- 「ミュオン理工学研究センター」(佐藤元泰特任教授)は、質量が電子の約200倍のミュオン素粒子を用いる核融合に、超音速飛翔体のラムジェットエンジンの機構を応用し、第三の核融合方式を創出しました。磁場やレーザー方式の1/100の規模とコストで核融合発電炉が実現します。原子力発電所で発生した半減期100万年の長寿命廃棄物を10年間で半分に減量することも期待されています。4.気候変動・複合災害に挑む-デジタルアース(俯瞰型空間情報基盤)- 「国際GISセンター」(福井弘道センター長)は、人工衛星や航空機、ドローンによる空間情報の収集と処理、予測技術の開発を進めています。現在、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で人工衛星の地球観測データをもとに洪水による氾濫を高速でシミュレーションし、被害の予測情報を災害対応機関に提供するなどの研究を行っています。5.情報処理の高速化に挑む-量子コンピューティングの基礎学理- 小澤特任教授は、量子情報科学の基礎理論である量子インストルメント理論を確立し、高効率、高精度な量子通信、量子測定、量子計算に必要とされるリソースと理論的性能限界に関する研究を進め、「小澤の不等式」によって物理学の基本法則である不確定性原理を修正するなどの成果を上げてきました。量子コンピュータの実現や心の不確定性の解明につながる研究を進めています。世界が評価する研究力研究トピックハイライト(先端研究) 「宇宙は数学という言葉で書かれている」。こう言ったのはガリレオですが、今や生命科学を含めた自然科学だけでなく、人文・社会科学まで、多くの分野で数学はなくてはならないものになっています。人工知能(AI)などの革新によって情報革命を支える一方、ものづくりの基盤でもあります。 中部大学創発学術院は、あらゆる分野で数学が求められる時代に向け、津田一郎教授を中心に森重文京都大学特別教授(中部大学特別招聘教授、1990年フィールズ賞受賞)や山口佳三北海道大学元総長(学校法人中部大学顧問)らを招き、数学の一大拠点を作りました。研究面では、CREST研究や新学術領域研究などの大型研究計画を主導、若手を巻き込んで、脳と心の数学、カオスをはじめ複雑現象の数学、また、これらの成果をもとにした新しいAIの原理解明が行われ霊長類社会をはじめ生命科学分野のデータ分析にも応用されています。教育面では、高校生や中学生を対象にしたJST数学キャラバンを誘致し、生徒たちが最新の数学に触れる機会を提供しています。 2023年度の理工学部の新設計画の中で、2021年度にはAI数理データサイエンスセンターが設立されました。国の数理データサイエンス教育プログラムとも連動し、さまざまな場面で「数学を活かす」ための教育・研究を展開していきます。中部大学創発学術院 「活かす数学」の拠点としてペプチド研究センター長山本 尚 教授創発学術院 院長津田 一郎 教授国際GISセンター長福井 弘道 副学長AI数理データサイエンスセンター小澤 正直 特任教授超伝導・持続可能エネルギー研究センター山口 作太郎 特任教授工学部創造理工学実験教育科佐藤 元泰 特任教授15 Chubu University 

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