学校法人中部大学
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東海地方を代表する総合大学として、中部大学では理工系を中心に文系もふくめたさまざまな分野で他大学に無い特色ある研究が進められており、ユニークな研究成果が注目されています。1.発光生物や野生動物などを対象にユニークで幅広い生物の研究を展開 応用生物学部が対象とする生物は幅広いのが特徴です。発光生物を専門とする大場裕一教授は、最近の共同研究で、フジクジラというサメの発光のカギとなる物質を明らかにし、それがエサ由来のペプチド様物質であることを示しました。さらなる研究により、ペプチド医薬品の効率的な経口投与法の開発の可能性が開けます。 土田さやか講師の主な研究対象は、野生動物の腸内細菌です。研究グループでは、ゴリラやライチョウ、その他の野生動物から有用細菌を発見し希少動物の保全に役立てています。このような野生動物の有用腸内細菌の研究は、家畜種やペットなどの保健にも役立つと期待されています。4.考古学や文化人類学分野でフィールドワークも広く展開 考古学者である国際関係学部の中野智章教授は、古代エジプト文明の著名な研究者であり、エジプトにおける遺跡調査のほか、学外でも多数の講演を行っています。2020年から2022年にかけて全国8会場を巡回中の「ライデン国立古代博物館所蔵古代エジプト展」の監修者としても注目を集めています。 文化人類学者でプロの音楽家でもある国際関係学部のヅォン・ティンティン准教授は、少数民族と生活を共にしたりしながら、中国の長い歴史をさかのぼって音楽や民族に現れる人々の生活の変化を調べています。2007~2018年にかけ、学生教育の一環として中国の歴史を表現するファッションショーも開催しました。2.生命科学や物理学で医療や健康増進に貢献 生命健康科学部では医療や健康増進に貢献するため、幅広い研究を進めています。生命科学者である実験動物教育研究センターの岩田悟助教らは、熟練した技術によらない簡便な動物胚のゲノム編集法を開発し、特定の染色体を改変させたマウスを世界で初めて作り出しました。この方法で作られた疾患モデルマウスが治療法の研究などに役立つと期待されています。 また、生命健康科学部には物理学者も在籍しています。物理学者である臨床工学科の河原敏男教授は、共同研究で新型コロナウイルスを検出するバイオセンサーを開発しました。このセンサーは新型コロナウイルスの感染症の把握に加え、未知のウイルスの検出への応用も可能なため、実用化に向けた開発が加速しています。 同じく物理学者である生命医科学科の新谷正嶺講師は、深海の静水圧でタンパク質の水和状態を変化させることによって、筋原線維の構造と機能をどのように変化させられるのかを明らかにしました。3.カーボンニュートラル社会の実現に向けた研究を推進 工学部電気電子システム工学科の山本和男教授は、再生可能エネルギー高効率利用技術の研究開発を東京大学などと共同で行っており、風力発電設備の故障原因の約20%を占める落雷の対策を担当しています。洋上風力発電が注目される中、カーボンニュートラル社会の実現に向けた技術の実用化が期待されます。 応用生物学部の堤内要教授らと大阪大学との共同研究チームは、放射線の一つである「ガンマ線」を用いた簡便な方法で発電する新技術を開発しました。この手法は、原子力発電で生じる使用済み核燃料の有効活用にもつながるものと期待されています。特色ある研究「ガンマ線」を用いた発電のイメージ半導体センサーによるウイルス検出イメージ野生のマウンテンゴリラ(ウガンダ共和国)中国の歴史を表現した民族衣装 中部大学では、研究者一人一人が自らの研究を探求するため、積極的に科学研究費助成事業(科研費)に応募しています。2021年度の科学研究費の配分総額では愛知県内の私立大学で2位となっており、政府からも今後の研究成果が期待されています。 さらに、日本を代表する物理学者、故伊藤早苗先生からのご厚志により「伊藤早苗記念基金」を2021年に創設しました。独創的で将来の学術研究を担う女性研究者・女子学生の活躍を支援しています。 2022年7月に大学共同利用機関の基礎生物学研究所、生理学研究所と包括協定を締結しました。研究・教育の協力的・相補的関係を構築し、相互の強みを強化し、構成機関の融合研究による「創発」と人材の発掘・育成に貢献し、学術の進展に寄与することが目的です。 また、「THE(Times Higher Education)世界大学ランキング2022」では、総合順位で1201+(国内私立総合大学で18位)に、科学雑誌「Nature」による「Nature Index 2021」の生命科学分野では東海地方の私立大学で2位(国内全大学中51位、全私立大学中17位)にランクインするなど、世界から高い評価を受けています。評価される研究力16

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