EDUCATUS Vol.3
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 近年、小学校にプログラミング教育、外国語教育の導入が始まっており、教育現場の先生にもそれらの新しい教育に対する対応が求められています。幸い、中部大学は理系から文系まで7つの学部がワンキャンパスに結集した総合大学です。この特徴を生かして、他学部との共同研究を行い、互いの知見やノウハウを生かして、新しい教育に対応できる小中学校教員を育成することは、現代教育学部のみならず中部大学全体の強みになると思われます。 現代教育学部では、2020年秋に工学部の情報工学科と都市建設工学科の先生方をお呼びして、FD&SD講演会で工学的な視点から教育にかかわるテーマについてお話を伺う機会を設けました。情報工学科の先生方のお話 情報工学科の奥居哲先生は、「プログラミングを行う際に、問題をより易しい部分問題に分割し、その結果を統合して全体を分割統治するような論理思考を小学生のプログラミング教育の段階から身に着ける訓練ができれば…」とおっしゃっています。奥居先生はその上で、図のようなスプライトと呼ばれるコマを盤面上に並べて論理思考の流れを再帰的に整理するプログラムの方法を提示して下さいました。例えば、筆算の掛け算は桁ごとに同じ計算を行い(これが分割)、それらを足し合わせて(統合)計算結果が得られますが、この過程をスプライトで表現することもできるでしょう。現代教育学科教授 神保 雅一 JIMBO Masakazu 鈴木裕利先生は、下図のように指導者や受講者の行動を時刻ごとにコード化することによる学習・協調活動の分析手法を提案され、効果的なグループ学習システムの提案・構築およびその評価についてお話をされました。 石井成郎先生(一宮研伸大学)は、認知科学の立場から、KiSS-18と呼ばれる社会的スキルを測るアンケートを用いてペアでプログラミングの学習を行った際に、学習効果を上げるために個々の社会的スキルの高低に応じてどのようにペアを組むのが効果的かアンケート結果をもとに示していただきました。都市建設工学科の先生方のお話 服部敦先生と岡本肇先生は、春日井市およびURと共同で小中学校の空き教室を活用する実例を紹介されました。小中学校の空き教室の活用は高蔵寺に限らず、日本全体の問題です。 磯部友彦先生は、犬山市などのコミュニティ交通の有効性分析、および歩行路面の滑りなどについての障害者団体との連携研究の成果を紹介して下さいました。教育分野でも保育所や特別支援学校の設置の際の地域の交通課題分析など現代教育学部と連携できそうなテーマがありそうです。 武田誠先生は、都市河川の水環境を研究しておられますが、神領小学校のハザードマップを作成され、夏休みに小中学校などの教員を対象に防災教育を行っておられます。教員にとって、地域の防災について把握し、連携研究を行っておくことは非常に重要だと思われます。 2020年度は、工学部との連携について、いくつかの可能性を見出すことができましたが、今後、外国語教育、障害者のための特別支援教育など中部大学内外の他組織の知見を活かした共同研究を行って直面する現代の課題に対応することは現代教育学部の持続的発展に繋がっていくことでしょう。ワンキャンパスの総合大学の利点を生かした他学部との連携~FD&SD講演会で工学部の先生方の研究内容を聞いて~11

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