EDUCATUS Vol.3
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 なぜ国語を学ぶのか。中学校で国語の授業を始める際に、必ず生徒に話をします。私が3年間勤務した中学校は、各学年7、8クラスあり、国語科の教員も5名いました。国語の授業のスタートに何を熱く語るのか、自分ならこう話す、というのを各々が説明します。スティーブ・ジョブズの話をする先生、自分の好きな本を紹介する先生、国語を制する者は全教科を制すると語る先生……面白い。私は、国語を学ぶことで、作者や筆者のメッセージや問題の意図、さらには日常で相手の気持ちを読み取る力がつくと考えています。「机を激しくドンドンたたいて教室を飛び出す。」、表情は書いていなくても怒っているのかな、と感じます。このように、国語の力は日常生活に役立っています。さらに、伝えたいメッセージを読み取るための伏線が面白い。様々な本や漫画、教科書の中の話にも、たくさんの伏線が使われています。授業を考えるときに、教員同士で伏線とのつながりについて考えたり、本や漫画を読むときに伏線を考えながら読んだり……、国語って面白い。 また、授業公開の時には、5人で何度も授業案を練り、たくさんの進め方を検討し、授業を見せ合い、学び合いました。その1時間の授業で生徒に伝えたいことは同じでも、そこにたどりつく過程は様々で十人十色です。5人で考え導いたものも、授業後に話を聞くと、こんなやり方もあったのかと痛感し、とても勉強になります。やっぱり国語は面白い。 私は、これからも学び続け、国語の面白さを伝えていきたいと思います。国語が苦手だった私が、多くの国語科の先生方と出会い、言葉や文章の面白さに触れて、“国語って面白い”と思えたように、国語が“嫌いだな”“苦手だな”と思う児童生徒が一人でも減ることを願って。 私の出身地は、五稜郭で有名な北海道函館市……の横にある北斗市という、北寄貝がちょっとだけ有名な田舎町です。そんな田舎町で育った私が、中部大学に進学したのは、「新しめの学部だから、きれいな校舎で勉強できそう。」「名古屋まで30分だし、きっと大都会だろう。」という、しょうもない理由でした。実際に来てみると、正直、大都会ではありませんでしたが、町もあり、山もありの生活のしやすいちょうどよい町でした。 私は現在、中部大学の麓にある出川小学校で3年生の担任をしています。ちょうどよい町に何かの縁を感じ、地元には帰らずここで働くことにしました。本校では以前から、「学習規律の徹底」と「ICTの有効活用」によるわかりやすい授業の実現(かすがいスタンダード)を目指して実践研究に取り組んできました。また、昨年度から前倒しで始まったGIGAスクール構想によるPC活用にも積極的に取り組んでいます。働き出した当時は、こんなことも教えなければいけないのかと驚き、同時に恐怖心がありました。しかし今では、これらに取り組むことが普通。むしろ、やらなければ授業ができないとまで感じています。 このように、どんどんと新しいことが入ってくる教員という仕事は、非常に多忙で、大変です。勤務時間外に仕事をしていることもよくあります。ただ、それでもこの仕事を続けていられるのは、「子ども達に成長してほしい」という強い思いがあるからです。学習規律も、ICT活用も、GIGAスクール構想も、全ては子ども達の学びのためです。どうすれば学力がつくか、どうすれば人として成長できるかを常に考え、そのための支援、指導をいつも模索し、先生方と協力しながら取り組んでいます。 子ども達の成長を感じられたときは、とても嬉しく、やりがいを感じます。これからも「子どもたちのため」を常に考え、より良い教員となれるよう努力していこうと思います。岐阜県瑞穂市立南小学校 成瀬 万理子(現代教育学科 ※旧児童教育学科 2014年3月卒業)国語って面白い教員という仕事岐阜県出身北海道出身愛知県春日井市立出川小学校 及川 悠太(現代教育学科 ※旧児童教育学科 2015年3月卒業)15東海地方で活躍する卒業生 ~県外出身の先輩Ⅱ~

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