EDUCATUS Vol.3
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5多方面からのアプローチ スマートフォンの普及に伴い、過剰な利用が教育現場などで問題視されるようになってきました。スマートフォンの過剰な利用が進行して依存状態になった場合、健康や生活面に大きな影響をおよぼします。また、依存状態から脱却することは容易ではありません。 スマートフォン依存に関する問題は、アルコール依存など物質依存に関連した領域の医療関係者、スマートフォンやインターネットゲームに依存する者の脳内の血流や組織の萎縮等をMRIなどを利用して研究する脳研究者、ドーパミンなど神経伝搬物質との関係からスマートフォン依存の治療方法を研究する薬学研究者など、21世紀に入ってから多くの研究者により多面的な研究がなされるようになりました。スマートフォン依存に陥りやすい人 ある高校生がスマートフォンを手に入れ、頻繁に利用した結果、生活リズムが破綻する程の依存状態に陥ってしまい高校を退学せざるを得なくなったとします。一方、この高校生とほぼ同時期にスマートフォンを手に入れ、この高校生と同じようにスマートフォンを利用した別の高校生は、スマートフォンを長時間利用しているものの、安定した生活リズムを維持し、学業や対人関係も比較的良好に推移していました。二人の高校生には、どのような違いがあったのでしょうか。そして、スマートフォン依存に陥りやすい人にはどのような特徴があるのでしょうか。 この問題を考える際、アルコール依存症に関連した研究が参考になります。ハル氏のグループが50年以上も前に行った研究によれば、自分自身に対する関心の強さを示す私的自己意識の高さと、失業や離婚、交通事現代教育学科教授 三島 浩路 博士(心理学)現代教育学部 学部長 三島 浩路 MISHIMA Kojiスマートフォン依存に関する研究現代教育の先端をゆく Ⅰ

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