EDUCATUS Vol.3
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感染源になりうる「手指の高頻度接触表面」を重点的に清掃・消毒すること、及び、手洗いが大切になります。ドアノブや電気のスイッチ、タブレット端末、子どもの机や椅子、おもちゃなどです。●消毒時スプレーをしない 汚染された場所や環境を消毒する際、スプレータイプで消毒液を散布しないことが重要です。ウイルスを舞い上げ、消毒が不十分になり、皮膚や目への健康障害の恐れがあり、推奨されていません。感染対策授業とレポート 感染対策の授業では、演習を含めて学び、子どもへの伝え方などのグループワークを行います。学生達のレポートでは、「子どもが手洗いに楽しく取り組み、習慣化できるよう、歌を取り入れるなど工夫していきたい」、「嘔吐物の処理は、嘔吐した子どもへの配慮と、その他の子どもたちを感染から守ること、そして職員も感染しないようにすることが大切だと思った」、「新型コロナウイルスへの子どもたちの不安を取り除いてあげながら、感染予防の大切さを教えることが保育者の役割であると考える」などがありました。 集団保育の現場で感染対策を実践できる保育者養成を、これからも模索し続けていきたいと考えています。② 感染経路対策:経路を断つ 保育所で特に注意すべき主な感染症の感染経路には、飛沫感染、空気感染、接触感染、経口感染等があります。③ 感受性対策:予防接種等 子どもも職員も、定期接種に加え、任意接種についてもできる限り予防接種を受け、免疫を獲得することです。感染対策のポイント 筆者は東日本大震災の2週間後に支援に入り、避難所で発熱や嘔吐・下痢患者の複数の発生を経験しました。こうした際も対策の基本は「標準予防策(スタンダード・プリコーション)」です。誰もが感染症を持っているかもしれないと考え、標準予防策を徹底します。① 手指衛生(手指消毒、手洗い) 感染対策の基本です、保育の現場では、必要時、流水と石鹸による30秒以上の丁寧な手洗いが重要です。●液体石鹸&詰め替え時の注意 固形石鹸では不潔になりやすいため、液体石鹸が推奨されます。ただし、液体石鹸の継ぎ足しは細菌繁殖のリスクを高めます。補充時は、空になった容器を洗って乾燥させてから補充を行います。●洗った手の乾燥を! 濡れた手に菌が付着して移動するため、拭いて乾燥が大切です。タオルは共用せず、感染拡大時はペーパータオルの使用が推奨されます。●アルコール消毒の注意点 手が肉眼的に汚れていない場合、手洗いよりアルコール消毒は効果が高いとされています。アルコールによる手指消毒には15秒以上の丁寧な擦りこみが必要です。擦りこみに必要な微細運動が発達途中であり、手洗いの習慣を身につけつつある子どもは、石鹸と流水による手洗いの励行が大切です。② マスクの着用 新型コロナウイルスは発症の2日前から他の人に感染させる可能性があります。マスクは鼻にフィットさせ、感染リスクの高い場面ではフィルター性能の高い不織布マスクを着用します。●子どものマスク 2歳未満の子どもへのマスク着用は窒息、熱中症のリスクが高く禁止されています。 マスク着用の際は体調に注意し、発達年齢に応じてマスクの役割や正しい着用、咳エチケット等の基本的な飛沫感染対策を教えることも大切です(下図)。なおWHOは5歳以下の子どもへのマスク着用は必ずしも必要ないとしています。③ 定期的な換気 換気は感染症対策に不可欠です。二方向の窓を開けての常時換気か、毎時2回以上の換気を行います。【環境衛生のポイント】 環境表面の病原体は人が手指で触れ、目や鼻の粘膜を触って感染します。9感染源になりうる「手指の高頻度接触表面」を重点的に清掃・消毒すること、及び、手洗いが大切になります。ドアノブや電気のスイッチ、タブレット端末、子どもの机や椅子、おもちゃなどです。●消毒時スプレーをしない 汚染された場所や環境を消毒する際、スプレータイプで消毒液を散布しないことが重要です。ウイルスを舞い上げ、消毒が不十分になり、皮膚や目への健康障害の恐れがあり、推奨されていません。感染対策授業とレポート 感染対策の授業では、演習を含めて学び、子どもへの伝え方などのグループワークを行います。学生達のレポートでは、「子どもが手洗いに楽しく取り組み、習慣化できるよう、歌を取り入れるなど工夫していきたい」、「嘔吐物の処理は、嘔吐した子どもへの配慮と、その他の子どもたちを感染から守ること、そして職員も感染しないようにすることが大切だと思った」、「新型コロナウイルスへの子どもたちの不安を取り除いてあげながら、感染予防の大切さを教えることが保育者の役割であると考える」などがありました。 集団保育の現場で感染対策を実践できる保育者養成を、これからも模索し続けていきたいと考えています。② 感染経路対策:経路を断つ 保育所で特に注意すべき主な感染症の感染経路には、飛沫感染、空気感染、接触感染、経口感染等があります。③ 感受性対策:予防接種等 子どもも職員も、定期接種に加え、任意接種についてもできる限り予防接種を受け、免疫を獲得することです。感染対策のポイント 筆者は東日本大震災の2週間後に支援に入り、避難所で発熱や嘔吐・下痢患者の複数の発生を経験しました。こうした際も対策の基本は「標準予防策(スタンダード・プリコーション)」です。誰もが感染症を持っているかもしれないと考え、標準予防策を徹底します。① 手指衛生(手指消毒、手洗い) 感染対策の基本です、保育の現場では、必要時、流水と石鹸による30秒以上の丁寧な手洗いが重要です。●液体石鹸&詰め替え時の注意 固形石鹸では不潔になりやすいため、液体石鹸が推奨されます。ただし、液体石鹸の継ぎ足しは細菌繁殖のリスクを高めます。補充時は、空になった容器を洗って乾燥させてから補充を行います。●洗った手の乾燥を! 濡れた手に菌が付着して移動するため、拭いて乾燥が大切です。タオルは共用せず、感染拡大時はペーパータオルの使用が推奨されます。●アルコール消毒の注意点 手が肉眼的に汚れていない場合、手洗いよりアルコール消毒は効果が高いとされています。アルコールによる手指消毒には15秒以上の丁寧な擦りこみが必要です。擦りこみに必要な微細運動が発達途中であり、手洗いの習慣を身につけつつある子どもは、石鹸と流水による手洗いの励行が大切です。② マスクの着用 新型コロナウイルスは発症の2日前から他の人に感染させる可能性があります。マスクは鼻にフィットさせ、感染リスクの高い場面ではフィルター性能の高い不織布マスクを着用します。●子どものマスク 2歳未満の子どもへのマスク着用は窒息、熱中症のリスクが高く禁止されています。 マスク着用の際は体調に注意し、発達年齢に応じてマスクの役割や正しい着用、咳エチケット等の基本的な飛沫感染対策を教えることも大切です(下図)。なおWHOは5歳以下の子どもへのマスク着用は必ずしも必要ないとしています。③ 定期的な換気 換気は感染症対策に不可欠です。二方向の窓を開けての常時換気か、毎時2回以上の換気を行います。【環境衛生のポイント】 環境表面の病原体は人が手指で触れ、目や鼻の粘膜を触って感染します。日本小児科医会HPより新型コロナウイルス げき退作戦 ~わたしたちにできること~「佐久医師会 教えて!ドクタープロジェクト・佐久市・佐久市教育委員会2020年4月発行」より抜粋

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