GLOCAL vol.14
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2019 Vol.142019 Vol.142019 Vol.142019 Vol.147成人の科学教育の場としての博物館に関する研究―ハンズオン展示を中心に―ミューズメント的施設である。ナイトミュージアム 10月26日(金)、27日(土)の2日間、あいち航空ミュージアムで開催された夜のミュージアムを開放するイベントは、展望デッキも開放し、「夜の空港解説(空港の灯火について)」や「日本航空機製造が製造した双発ターボプロップエンジン方式のYS-11と呼ばれる、第二次世界大戦後にはじめて日本のメーカーが開発した旅客機の機内公開」、「フライングボックスと呼ばれる中部地方の空を疑似飛行するという映像型プログラムの特別上映」を行っていた。このようなイベントは成人向け教育の需要の高まりの反映といえるだろう。おわりに これらの3館にはそれぞれ特徴がみられる。それらを比較・検討し、科学教育に際しての相違等を検討していきたい。なお、2018年10月から2019年3月まで、名古屋市科学館において天文指導者養成講座を受講している。また、春季休業中に海外研究指導委託制度を利用し、マレーシア科学大学博物館にて、展示や講演等の参与観察を行う。これらによって得た知見も、修士論文に活かしたい。はじめに 本研究は、博物館教育の中でも、特に成人の科学教育(科学教養)を中心に探究するものである。具体的には、博物館のハンズオン展示は、一般的に年齢が低い子どもが対象とされている中で、「探究心を刺激し、理解力を深め、実用的知識を蓄積する」といった付加価値・効果を成人教育に転用できないかどうかを検討する。研究方法 博物館学やサイエンスコミュニケーション論等、先行研究のレビューを行うほか、博物館では体験学習に際してどのような取り組み・教育方法をしているのかフィールドワークを行う。研究経過 2018年の夏季休業中には、中部大学蝶類研究資料館企画展のサイエンス・カフェに参加した。以下では近隣の航空系を中心に、研究経過を示す。①あいち航空ミュージアム(2018/8/29、10/24視察)愛知県西春日井郡の同館は航空機産業の歴史や航空機の仕組みなどを、ミュージアムを通して体感してもらうことを中心とした施設である。8月29日の同館では家族連れで訪れている人が多く、自身の研究テーマにもあるような「成人」で年配の方はほとんどみられなかった。10月24日は小学生の社会見学の団体40人くらいと年配の女性の団体がおり、個人で来ていたのは筆者と外国人のもう一組しかいなかった。小学生の団体は航空機などの機体を絵で描くといった課題をやっていた。②かかみがはら航空宇宙博物館(2018/10/3視察)岐阜県各務原市の同館は航空宇宙に関する知識、技術等の普及及び啓発を行うとともに、将来の航空宇宙産業を担う人材を育成し、航空宇宙分野の科学技術の振興に寄与することを目的とし設立されたものである。10月3日の同館では小学生の社会見学の団体も来ていたが、平日ということもあり60歳以上の年配の方が比較的多かった。③FLIGHT PARK(定期的に参与観察中)愛知県常滑市の同館は複合商業施設FLIGHT OF DREAMS内にあるボーイング787初号機(ZA001)を中心に、9つの体験型コンテンツで構成されているア国際人間学研究科 国際関係学専攻 博士前期課程 M1川井 りさ子(KAWAI Risako)1995年愛知県生まれ。中部大学大学院国際人間学研究科国際関係学専攻博士前期課程在学中。専門は博物館学。現在、成人の科学教育における博物館のハンズオン展示に注目して航空系博物館を中心に研究している。s

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