GLOCAL_Vol16
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10 第12回教員研究会が2020年1月22日に開催された。 今回は、まず心理学専攻の川上文人講師が「人間とチンパンジーの笑顔は何がちがう?」と題するテーマで発表した。「笑う」という行為は人間が胎児の段階から見られるという話や、「高い高い」をして子供をあやしているとき、人間の親は自分も笑っているがチンパンジーの親は笑っていないといった興味深い事例を、動画をまじえた豊富な映像資料とともに示しながら、「笑顔」というキーワードから「人間とは何か」という根源的な問いに迫ろうとする、今後の発展可能性を大いに期待させる発表であった。 次に国際関係学専攻の和崎春日教授が「アフリカ地方バムン民族王権の都市儀礼―カメルーン国家・国際・資本のなかの資源なき民族の生き抜き戦略―」というテーマで発表した。長年にわたる豊富な現地滞在経験を踏まえながら、バムン民族王権の政治体制がヤシ油の儀礼を通して形成・継承されていく過程があざやかに示されただけでなく、「国民国家」の枠組みを越えた視点から西欧的価値観を相対化する学問的知見がいたるところにちりばめられた、きわめて内容豊かで刺激的な発表であった。 若手講師とベテラン教授による、分野も方法もまったく異なる対照的な発表であったが、そのこと自体が本研究科の多様性を示すものであり、出席した教員のみならず学生からも活発に質問が出て、充実した研究発表会となった。第12回教員研究会を開催

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