GLOCAL 2025 Vol.25(Special edition)
60/67

修了生からのメッセージ修了生からのメッセージ修了生からのメッセージ修了生からのメッセージNotesPlusNotesPlus58たなと思います。 そして、縁あって、テレビや車などのプロモーションビデオを手がける制作会社に勤めることになり、動画のカメラマンになりました。現在はフリーランスとして仕事をしています最近の就職スタイルはわかりませんが、当時は、マスコミでかつテレビ系の職種では、遠回りといえる道のりでした。入社後もカメラアシスタントから入り、下積み生活は当然同じようにしました。でも、カメラを持つにあたって、周りよりも就職するまでに時間をかけたからこそ、様々な思いに目や耳を傾けることができ、そのおかげで丁寧な画つくりにつながっているのではないかと思っています。 今年は縁あって約1ヶ月、オリンピックの取材に行く機会を得ました。大学院時代に「伝える」ということを考え、あの日々の中でいろんな方向に目を向けられるようになり、視野を広げられたおかげであると思っています。これからも伝えることを考えながら、目の前にあるものだけをみるのでなく、どのように表現でき、また社会にどんな形で貢献できるか考えながら仕事をしていきたいと思っています。トランスランゲージング教育の研究を生かして、「相手に伝わる」、「相手を理解できる」ということを実感できるような授業づくりを心掛けています。 最近の授業では、ALTに部活動を紹介するためのポスターを作る活動をしました。生徒たちは絵や、デザインを気にしながら、ALTのことを考えた言語選択をしてポスターを作っていました。どうやったら伝わるかを考えながらも、楽しそうに活動する様子が見られました。 また、私は毎回授業の導入部分で英語の歌を歌っています。トランスランゲージングにおいての非言語リソースの中には音楽や映像なども含まれます。生徒にとっては気軽に英語を使用する機会になっていて、上手に歌えなくてもわかるところだけ歌うなど、楽しく英語を使用しながら活動することができています。 研究を通して学んできたことで、私は毎日楽しく生徒と一緒に過ごしています。たくさんのことを教えてくださった先生方に感謝の気持ちをもって、先生方に支えていただいたように私も生徒の明るい未来を支えていきます。 私はドキュメンタリー映像について研究をしていました。映像で伝えるということはどういうことか、考えておきたかったからです。その中で研究テーマの中心においたのが森達也監督です。1990年代を中心に日本を騒がせたオウム真理教を取材した、「A」と言う作品を制作した人です。私は彼のその作品を見た時に、テレビのニュースなどから感じていた教団に対する印象との違いやそれを取り巻く社会のあり方に衝撃を受け、伝え方ひとつで大きく見方が変わることを知りました。このことから、そんな作品をつくった森達也監督の映像観を追求してみたいと思い、彼を中心にしながらドキュメンタリー映像の在り方を研究しました。 大学院生活は、先生方に論文執筆を通して厳しくも優しく指導をいただきました。また、各分野の院生仲間から刺激を受けて気が付いたことも多く、ご指導いただいた先生方には今まで考えもしなかった視野も与えていただきました。こうして振り返ると自分自身の研究だけでなく、いろんな分野の専門性をもった人たちと過ごす環境にいたことは本当によかっ 私は博士前期課程で「トランスランゲージング教育」について研究しました。トランスランゲージングとは個人が有する言語リソースを日本語や英語などと個別の言語として区別するのではなく、言語および非言語もコミュニケーションをとるためのリソースとしてとらえ、それを最大限に活用して目標やタスクを達成するという考え方です。この研究では中部大学の学生に協力していただき、日本語の文字だけ書かれたレストランのメニューを春日井に住む外国人に向けて、メニューを作成するというトランスラゲージングを活用した授業を実践しました。多くの学生が絵やイラストを使用し、日本語だけではなく英語や韓国語、中国語などを使用していました。 学生のコメントには、「これからは伝えたい相手のことをよく考え、言語や非言語を使用していきたい」など、外国人とのコミュニケーションの意識の変化がみられ、「相手にもっと伝えたいことが伝わるように、英語やほかの言語などのリソースを増やしたい。」など学習意欲にも変化がみられました。 私は現在、中学校の英語教師をしています。宇津野 健太郎間地 悠子言語文化専攻博士前期課程2005年度修了 フリーランスカメラマン言語文化専攻博士前期課程2022年度修了 英語教諭

元のページ  ../index.html#60

このブックを見る