GLOCAL 2025 Vol.25(Special edition)
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2025 Vol.252025 Vol.252025 Vol.25NotesPlusNotesPlus59※ 現在名古屋大学大学院教育発達科学研究科心理発達科学専攻心理危機マネジメントコース(博士後期課程)在籍方にたいへん気にかけていただきました。人文学部教員の研究会や、歌舞伎鑑賞、犬山散策などの学部生のイベントに誘っていただき、多くの先生方や学部生と知り合えました。他にも、安達先生の中部大学以前の教え子(大先輩)をお迎えし、研究会をしたこともありました。その時に安達先生の古稀を記念した論文集(『ことばの論文集』)を刊行することになり、私は編集委員をしましたが、この時も多くの方々と知り合えました。 修了後も、安達先生のご自宅で勉強会を年に数回おこなっています。この勉強会は、安達ゼミ以外の方も多く参加し、各自研究を持ち寄り、発表をしています。新型コロナウィルスの影響で、勉強会のできない期間もありましたが、2024年7月14日に約4年ぶりに勉強会が開かれました。勉強会が開けなかった間も各自研究を進めており、持参した研究が多かったこともあり、いつも4時間半くらいの勉強会なのですが、当日は6時間近くにも及びました。コロナ以前を思い出すとともに、たいへん刺激になりました。 このように、国際人間学研究科を修了した現在も、知識と人のつながりを広げられています。が示唆されました。これらのことは、飼主や家族、獣医療従事者にとってグリーフケアの指標となるでしょう。中部大学大学院での研究は、「中高年におけるペット喪失体験プロセスの検討」として、東海心理学研究17巻(2024)に掲載されました。 社会活動では、認定NPO法人TSUBASA(埼玉県、飼鳥里親団体)が運営する飼主セミナー「愛鳥塾」で、ペットロスの講演を担当しています。また、2024年4月に、実話にもとづくセミフィクション、「みさとマロンの一三年 小鳥との日々、そして別れ」を出版しました(空とぶロバ出版 https://ehonnakama.theshop.jp/items/84191954、104p、ルビあり)。少女が小鳥と出会い、一三年間ともに暮らし、やがて老いた小鳥を家族とともに看取っていく物語です。子どもから大人まで、多くの方に読んでいただければ幸いです。現在は、ペットの看取りや死について、修学前より広がった視野から丁寧に言葉を選び、飼主や家族と話し合うよう心がけています。今後も、人とペットの関係性について「喪失」の視点から、より深く解き明かして行きたいと考えております。 国際人間学研究科に入学したきっかけは、修士課程の時に安達隆一先生の「係助詞『コソ』の構文史」に出会ったことです。修士課程では天草版『平家物語』を用い、係り結び衰退の様相を研究していました。その時に「係助詞『コソ』の構文史」を読みましたが、不勉強であったため理解できず、3ヶ月読み続けました。そうしているうちに、安達先生にご指導いただきたいと思うようになり、安達先生に手紙を書きました。お返事をいただき、2003年12月24日に中部大学で安達先生とゼミ生の方々にお会いしました。帰り際、「今度私の家に招待します」と仰っていただいたことを、今でもクリスマスが近くなると思い出します。 国際人間学研究科に入り、「広がり」を感じました。安達ゼミの院生、学部生の研究分野は語彙論、文法論、語用論、国語科教育と、様々でした。毎週ゼミ生以外の院生や学部生、時には先生方も参加し、勉強会をしていました。そこでは、日本語学、国語科教育のほか、文学、思想史など、様々なテキストを読みました。勉強会により、知識、興味、関心が広がりました。 また、授業の繋がりのない人文学部の先生 はじめに、心理学科の先生方に深謝申し上げます。私は小鳥を診る獣医師です。大学院で取り組んだ研究テーマは「ペット喪失体験(ペットロス)」です。日本では約3人に1人がペットを飼い(内閣府、2010)、人に純粋な愛情を向けてくれるペットは家族の一員として、飼主の心を支える大切な存在になっています。愛するペットの病気や死への不安から生じる飼主の葛藤は、ときに獣医療従事者に向けられます。一方で、獣医療従事者がグリーフケアを学際的に学べる機会は少なく、この問題について解決の糸口を見つけることは、大きな課題です。 コロナ禍での対面調査にはとても気を遣いつつ、高齢のペットを看取った10名の語りから質的分析を行いました。結果から、ペット喪失体験は人との死別に比べて「死別したペットに抱く負の感情、アンビバレンス、軋轢や葛藤は少ない」という特徴と、亡きペットは飼主の人生を意味づけ、その人生の再構築を促すプロセスがみられました。また、家族や友人との関わりは、飼主の悲嘆を支える場合もありますが、怒りや孤独の要因にもなり得ること徳永 辰通伊木 治子(獣医師)言語文化専攻博士後期課程2007年度修了 大学非常勤講師心理学専攻博士前期課程2022年度修了 修士(心理学)

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