GLOCAL 2025 Vol.25(Special edition)
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2025 Vol.252025 Vol.252025 Vol.252025 Vol.252025 Vol.252025 Vol.255言語文化専攻日本語日本文化コース 日本語にはいろいろな表現の仕方があり、呼称や言葉遣いだけでどのような人かを想像させるところがあります。たとえば「山田さん」と「太郎」、「わかりません」と「わかんない」、どちらで表現するかによって、その人物の印象が変わります。小説等では、それを踏まえて登場人物が描かれています。ある地域の言語はその地の文化を背負っていると言われます。日本語のさまざまな表現に目を向けることは、日本語の性格、日本の文化の特色、そこで暮らす人々のものの見方などを明らかにしていくことにつながるでしょう。 日本語日本文化コースでは、日本語、日本文学、日本文化の3分野に関する専門的な研究を行うことができます。日本語そのものに対する理解を深める日本語学、日本語教授法を含む日本語教育学、古典文学から近現代文学にわたる日本文学研究、社会や精神のあり方に引き継がれている日本文化の研究などです。修了生の研究テーマには「『源氏物語』研究」「精進料理の文化的研究」「日本語学習者の誤用分析」などがあります。日本語教育の場面で外国人学習者が抱える問題は、多くの留学生の研究課題となっています。源氏物語押絵図屏風(中部大学蔵)部分 修了生は、研究を継続する傍ら、中学校、高等学校、大学および大学院において教育に携わったり、日本語教員として国内外で活躍したりしています。留学生も、日本語・日本文化の研究を通して、学術交流の国際化と日本文化の対外発信に貢献しています。情報社会コース 一般的に、理系分野では事実の上に知識と知見を積み上げて、新しい知識の体系を構築します。一方で、文系分野では社会を覆う常識という堅い殻に議論を起こし、新たな社会課題を発見し、殻を壊すような変革を促すことを重視します。情報社会コースは、情報学と社会学を理論的な基盤とした文理融合型のコースであり、社会への提案と技術的な知識を組み合わせて、社会課題の発見と解決を目指します。 人々は「技術」とともに生きていますが、理系的な「技術」の話だけでは、数式や基礎技術が実際にどのように使われるべきかがわからないことが多いのが実情です。その「技術」をサービスとして誰もが「使う技術」にするためには、常識の殻に隠れた社会課題について考える必要があります。社会課題を発見するためには、常に社会に目を配る必要があり、また、殻を壊せるかもしれない「技術」を感じ取るアンテナも求められます。 本コースでは、コンピュータや映像機材、メディア機器などの操作技術を踏まえ、普遍的な技術的事象について学修を行うとともに、社会が抱える様々な課題や歴史に対する視座を養います。柔軟な指導体制のもと、学生は興味や関心に応じた研究を進めていきます。文献や実社会で収集したデータを分析・考察し、創造的な研究や課題解決の提案に挑戦することが可能です。また、情報を最大限に活用し、新たな価値を創造するスキルを習得することで、多様化する高度情報社会に対応できる研究者としての能力を身につけていきます。 過去に行われた研究には以下のようなものがあります:組織内で記録・制作される動画コンテンツのデジタルアーカイビング/VR空間のアバターデータデジタルアーカイビング/VR空間のデジタルアーカイビング/立体音響を試行した音資源デジタルアーカイビング/AIを用いた音響検索手法の研究など。 言語文化専攻では、言語そのもの、人々が織りなす文化、言語が紡ぎ出す文化事象、そうした複合的・総合的な領域を教育研究の対象として、以下の3コースを配置しています。英語圏言語文化コース 今から数世紀前、あの劇作家シェイクスピアが活躍していた頃、英語はイギリスという島国の一言語にすぎず、これを話す人の数は数百万人程度でした。しかも当時はその書き言葉としての地位は低く、学術用には向かない“vulgar”な言語と見なされていました。しかしやがてイギリスが覇権を拡大するにつれてそれは1つの国を超えてあちこちに広がり、周知の通り今では世界的な言語となっています。 「英語圏言語文化コース」は、このような「英語」という言語に何らかの形で関わるコースです。関わり方は、様々です。例えば、英語のしくみや歴史の研究、英語の学び方や教え方の研究、英語の背景にある文化的な問題の研究、英語で書かれた文学作品の研究などです。 博士前期課程では、「応用言語学特論」「英語教育法特論」「英語学特論」「英米文学特論」「英語圏言語文化総論」「研究指導」から必修科目を含め30単位以上を修得し、かつ指導教員の研究指導により修士論文を提出し、その審査および試験に合格することが求められます。この課程を修了すると、「修士(言語文化学)」の学位が授与されます。 博士後期課程(英語圏言語文化分野)では、「英語圏言語文化専門研究」8単位を修得し、かつ指導教員による研究指導を受けたうえで博士論文を提出し、その審査および試験に合格することが求められます。この課程を修了すると、「博士(言語文化学)」の学位が授与されます。 本コースには現在、2人の大学院生が在籍しています。1人は博士前期課程2年生で、「日本の英語学習者における英語の性差別的表現に対する態度」を主な研究テーマとしています。もう1人は博士後期課程3年生で、「日本の医療系専攻大学生を対象とした英語教育カリキュラムにおけるナラティブ・メディスン導入のためのモデル構築」を博士論文のテーマとしています。

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