GLOCAL2026 Vol27
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Profile 国際人閻学研究科言語文化専攻准教授三上仁志(MIKAMI日itoshi)学術博士(名古屋大学)。教育心理学・ポジティブ心理学の視点から、言語学習を自律的なものとするための方法を模索している。近年は、「やり抜く力」と呼ばれるGrit(グリット)の言語学習・教育における役割に焦点を当て、研究を行っている。園燐:喜芯霜塁讐ティブ心理学から考える自己調整学習FD講演の概要昨年末に開催された人文学部FD・SD講演会での内容を教告する。本講演では、大学において「学び続ける力」を育む方法について、ポジティブ心理学と自己調整学習(self-regulated learning)の観点から検討した。ポジティブ心理学は、肯定的な経験や個人特性、それらの発達を促進する仕組みを研究する領域であり、人の強みや成長可能性に焦点を当てる(Duckwo「thet al., 2005)。自己調整学習とは、学習者が、自らが置かれた社会的状況の中で感情・認知・行動を調整しつつ目標達成に向けて取り組む循環的プロセスであり、ポジティブ心理学と関連が深い。自己調整はどのような学習でも実践可能だが、本講演では、英語学習を例として、その実践例を紹介した。本講演では、自己調整学習の循環的三段階モデルを取り上げ、その実践方法について説明した(Zimme「man,2073)。このモデルは、①学習目標を設定し、活動を計画する【予見】の段階、②学習を行い、活動内容を記録する【遂行】の段階、③記録を元に学習の成功・失敗の原因を理解する【内省】の段階を含む。そして、これらの段階は、循環的に繰り返される。予見段階では、学習者自身に(l)個人的に価値のある目標、(2)その達成に必要な作学生自身に簡単な課題筐理表(図l)を作成してもらい、彼ら/彼女ら自身の学習に関する理解を深める方法を提案した。大ゴール:xxx今遍の目●:xxx0/X 0/X 0/X 0/x | 0/X タス99x(メモ)9スク9EXメ●)タスク3゜゜図1:学生が書く課題管理表の例図lの左上の【大ゴール】の横(XXX部分)には、長期目標を書き、その下の【今週の目標】に、そのゴールの達成に寄与する週間目標を書く(例:[大ゴール:英語の本を原著で読める力をつける]、[今週の目標:ハリポッター「XXX」を一童分読む])。【タスクl、2、3…】には、具体的な活動を書く(例:①表現で面白いものがあったら[ノートに書くなどして]ストックしておく、②知らない単語を100語覚える、③知らない・見慣れない文法があったら覚える)。【OIX】には、日付を書く。活動期間中は、スマートフオンのアラーム機能を使い、学習を記録する時間を毎日確保する。例えば、毎晩9時にアラームをセットし、アラームが鳴った際に活動を記録する。活動を達成できた場合は0を、達成できなかった場合はXを、それぞれのタスクの(当日分の)マス目に書く。そして、達成・不達成に限らす、その横に一言メモを書く。不達成の場合、不達成の理由がメモの内容となる(例:バイト終わりに活動業、(3)達成までのシナリオを言語化させるをしようと思ったが、疲れていて出来なかっ活動を行うことが望ましい。た)。達成の場合、①改善可能な点や②自分遂行段階では、学習を記録し、学習の成功・が使ったストラテジーの有効性をメモする(例失敗とその理由を可視化する。本講演では、読みながら表現をメモすると集中が切れるので、面白い表現には消せるペンで線を引きつつ読み進めて、ノートは後でまとめる)。内省段階では、1週間分の①一言メモと②タスク達成率(例:50%=0が、図の半分で付いている)を参照しつつ、その週の学習活動の成功・失敗の理由を理解する。長期間に渡って内省を行うことで、学習の進捗と改善点が明確になり、メタ認知(自分の知識についての知識)が高まる。メタ認知が高まるにつれ、学習を自分に合った形・継続可能な形にすることが容易となる。講演のまとめとして、自己調整学習が進むことで学習効率が向上するだけでなく、達成感から学習動機と自己効力感(Graham,2022)の向上が見込めることを説明した。引用文献Duckworth. A. L.. Steen. T. A.. & Seligman. M. E. P (2005). Positive psycholo四inclinical practice. Annual Review of Clinical Psychology, 7 (l). 629-65 l. https:/ /doi.org/l 0.1146/annu「evclinpsy. l. l 02803.144 l 54 G「aham,S. (2022). Self-efficacy and language learning-what it is and what it isn't. The Language Learning Journal. 50(2). l 86-207. https:/ /doi.o「g/l0.1080/09571736.2 022.2045679 Zimmerman, B. J. (20 l 3). From cognitive modeling to self-「egulation:A social cognitive ca「ee「path.Educational Psychologist. 48(3), l 35-l 47. https:/ /doi 0「g/l 0. l 080/0046 l 520.20 l 3. 794676 Chubu Unive「sityGraduate School of Global日umonicsI 9
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