GLOCAL2026 Vol27
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Profile 国際人間学研究科国際関係学専攻博士前期課程1年頼婉テイ(LAIWANTING) 中国浙江省温州市出身。2021年3月に、中国浙江音楽学院音楽教育専攻を卒業。その後、小学校で音楽教師としての経験を積む。2025年4月に中部大学大学院国際人間学研究科に入学。清末留日学生曾志恣(1879~1929)による『教育唱歌集』に関する研究はじめに本研究は、清末に日本へ留学した曾志恣が7904年に束京で編器した「教育唱歌集」を中心に、明治期日本の学校唱歌が中国の学堂楽歌形成に及ほした影響を明らかにすることを目的とする。27曲の唱歌と教育理論の分析を通じ、曾志恣の留学経験が唱歌教育にどのょうに反映されたか、近代日本と中国の音楽教育交流史を再評価し、現代教育への継承可能性を示しながら検討していく。「学堂楽歌」の定義について学堂楽歌とは、20世紀初頭の中国において、新式学校の音楽授業で使用された歌曲を指す。音楽素材のほとんどは、中国の留日学生によって日本や欧米の歌曲の旋律を取り入れ、新たな歌詞が付されている。曾志恣と「教育唱歌集』日清戦争後、中国では国家の近代化を急ぐ中で日本が主要な参照モデルとなり、多くの中国人留学生が日本の学校制度や喝歌教育を積極的に学んだ。曾志恣はその中心的な人物であり、7904年に東京で編纂した「教育唱歌集」は、日本および西洋の旋律を取り入れた中文唱歌を多数収録するとともに、唱歌をたい。しかし、先行研究の多くは曾志恣の生涯や思想的背景に焦点を当てており、「教育唱歌集」そのものの構成、曲目の特徴、日本喝歌がどのように取り入れられ、どのような変容を経て中文唱歌として成立したのかといった具体的分析は十分に行われてこなかった。そこで本研究は、「教育唱歌集」に収録された唱歌およびその教育理念に注目し、学堂楽歌形成における同書の意義と日本唱歌の影響を明らかにすることで、この研究上の空白を補うことを目的とする。現在の研究状況現在進行中の研究として「教育唱歌集」に収録された唱歌の教材的特徴と日本唱歌からの影響を明らかにすることを目的に、以下の研究を行っている。l.歌詞のデジタル化:27曲の歌詞をデジタル化し、比較・検索可能にして、歌詞表硯や教育理念の反映を分析している。2.楽譜情報の整理:曲名、調性、拍子、音域などを一覧化し、旋律構造や形式的特徴の分析準備を進めている。3.原曲の特定と分析:12曲の原曲を特定し、日本や西洋の旋律との比較を通じて教育理念との関連を検討している。4留学記録との照合:曾志恣の留学記録と照通した道徳・惰操教育の理念を示した教材で合し、教材の選曲や編纂方針と教育思想とある。さらに同書は、学堂楽歌運動におけるの関係を分析している。最初期の晒歌集の一つとして、後の学校唱歌5.音声資料の確認:親存する日本側の原曲の普及に先駆的役割を果たした点でも強調し音声を収集し、実際に聴きながら旋律や表現の違いを多角的に確認している。これらを通じて、歌詞・旋律・教育思想の三つの観点から「教育唱歌集」を体系的に分析し、教材の特徴と日本唱歌の影詈を明らかにする研究を迎めている。おわりに「教育唱歌集」は日本の学校唱歌を基に編纂され、中国における日本・西洋音楽の受容と再解釈を示す重要な資料である。歌詞・旋律教材構造の分析から、明治期日本の唱歌教育が中国近代音楽教育の形成に影響を与えたことが確認できる。本研究は「教育唱歌集」における教育理念の具体化を明らかにした。今後は現代中国の教材と比較し、音楽教育における伝承と変容の過程を検討していく予定である。引用文献l.東京音楽大学創立百周年記念誌刊行委員会2007「音楽教育の礎:鈴木米次郎と東洋音楽学校」東京春秋社.2.高婢2009「留日知職分子対日本音楽理念的摂取一明治末期中日交流的一個側面」北京:文化芸術出版社3.李岩2021「曾洋謀志恣考j北京:光明日教出版社.4鈴木米次郎1901「日本遊戯唱歌」第三編東京十字屋5.鈴木米次郎1904「楽典大意」(音楽全書;第1編)東京:自省堂.6.曾志恣1905「教育唱歌集」訂正四版上海網鰹筈慮開明書店Chubu Unive「sityGraduate School of Global日umonicsI 7
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