中部大学大学院パンフレット2026
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5Chubu University Graduate School̶̶の激変に関連する課題に目を向けた研究開発,技術開発が求められています。企業の視点も何かしらの社会課題の課題解決に資する製品や技術の開発,サービスの提供にシフトしてきています。そうすることで持続的な企業活動が可能となり,社会的にも認められる環境になってきました。大学院では,科学,技術,防災情報,社会制度,経済,心理学,医療などの幅広い視点で解決の糸口をみつけ,解決への実践力を修得することができます。社会を支える専門性と俯瞰力をもつ人間を目指して,大学院で学んでほしいと願っています。 このような社会的な背景がある諸問題に対し,高等教育機関である大学院に求められていることは,深い専門性と幅広い教養で世界の様々な社会問題に対して解決策を考えることのできる人材の育成です。ここで,中部大学だけとは限りませんが,大学院の3つの役割を考えてみましょう。① 教育上の役割 大学院では深い専門性を身につけるための専門科目が用意されていますが,同時に豊かな教養とともに,広く国際的な視野からものごとを考え,実行力を備えた信頼される人に育てることが求められています。本学の創設者の三浦幸平先生の「不言実行,あてになる人間」に育てるという信条は学部学生だけでなく,大学院生にも当てはまります。中部大学は総合大学として教育環境を整えるとともに,多数の海外の大学と協定を結び,国際性を涵養する仕組みももっています。② 研究上の役割 自ら選んだ専門に関連して,大学院では社会の発展に寄与する研究課題に取り組み,優れた研究成果をあげることによって真理の探究と知の創造に貢献することを目指します。大学院生にとって研究成果の発表の機会は国内のみならず世界に広がっています。先端研究を推し進める研究機関とも協定を結び共同研究を進めており,大学院生も参加し幅広く研究を展開する機会を得ています。中部大学の研究は様々な分野で世界的に注目されており,論文の引用件数も多いことが特徴となっています。③ 社会貢献上の役割 春日井市をはじめ周辺地域から世界にかけていろいろな活動に,専門を超えて大学院生が先頭に立って取り組んでいます。中部大学は,国連から持続可能な開発のためのE S D (Education for Sustainable Development)の中部地域の拠点として,名古屋大学とともに認定され,地域と連携して様々な活動を推進しています。さらに,国連が掲げる開発目標であるSDGs (Sustainable Development Goals,2018年に2030年を目標とした解決すべき17課題が制定された)にも取り組んでいます。大学院生は,ESDやSDGsのほかさまざまな社会的活動にも参画し,大学が保有する知的・物質的資源を活用することによって地域を中心とする社会の発展に,さらには世界の抱える諸問題の解決に向けて貢献しています。中部大学の研究所と研究センター 中部大学では大学院組織に加えて重点的な研究活動の拠点として,大学院と連携した多くの研究所と研究センターを擁しています。 1981年に産業経済研究所,1982年に総合工学研究所が設立され,1996年には我が国初の大学共同利用研究所として中部高等学術研究所を設置し,2016年には創発学術院が設置されました。また,2007年には国際ESDセンター(現国際ESD・SDGsセンター)を設置し,活動が続いています。その後,分子性触媒研究センター(現 ペプチド研究センター),超伝導・持続可能エネルギー研究センター,ミュオン理工学研究センターなどが生まれ,先端研究所群を形成しています。領域研究所群を構成する産業経済研究所はその後に生まれた国際人間学研究所,現代教育学研究所,生物機能開発研究所,生命健康科学研究所とともに大学院研究科に属して効果的に運用されています。また,動物実験等の教育と医学および医学関連領域研究に携わる実験動物教育研究センターはほかの研究施設とともに課題対応研究センター群に属しています。こうした研究活動の拠点を背景として,中部大学大学院では知の相乗効果をもとに総合的な教養が身に付くようなプログラムを用意しています。特に,大学院持続社会創成教育プログラムはSDGsの理念をもとにその基礎を全学的に浸透させる新たな試みとなっています。 大学院を修了し,専門的知見とスキル,そして俯瞰力をもった高度人材は日本の産業界でも広く強く求められています。ぜひ,2年間(修士)あるいはさらに3年間(博士)研究に専念すると同時に,自らを一歩前に押し出して課題の現場に踏み込み,解析し,議論し,しなやかで逞しい専門家になっていただきたいと祈念しています。大学院への進学,入学をお待ちしています。

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