国際学科パンフレット
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14私たちの生活から切り離せない、映画などの娯楽や野球、家電製品――。これらは1920~1930年代のアメリカで誕生しました。その背景には、経済が向上し国民の余暇が増えたことがあります。私の講義では、このように身近な文化を切り口に、アメリカの歴史や社会を考えます。繁栄の一方で、格差の拡大や根強く残る人種差別の問題も見えてきます。アメリカ現代史の学びから感じてほしいのは、多文化共生の大切さ。今後さまざまな国の人が共存するであろう日本で、人の存在や生きる権利の平等性と尊さを理解できる人になってほしいと願っています。アメリカの文化から歴史と社会を見つめ、多文化共生の大切さを感じ取ろう。河内 信幸KAWAUCHI Nobuyukiアメリカ現代史国際関係史北米から学ぶ、世界史概論 ほか最終学歴専門分野授業科目立教大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学 博士(文学)教授中国は統一された多民族による国家であり、漢民族と55の少数民族から構成されています。それぞれの言語、文化、生活様態、風俗習慣、宗教信仰を持つ各民族は、互いに影響し合いながら「中国文化」を築いてきました。人々の日常生活は文化の基盤です。例えば、水面に咲いた睡蓮の華が水面下の茎根に支えられているように、文学や芸術の基盤には人々の日常生活があります。故に日常生活を知ることは、文化を深く理解することにつながるのです。中国各民族の日常生活や風俗習慣、年中行事、宗教信仰などを考察し、中国文化への理解を深めます。中国人の日常生活などを知ることによって「中国文化」を深く理解しましょう。黄 強HUANG Qiang宗教人類学民俗学比較宗教学、民俗学 ほか最終学歴専門分野授業科目復旦大学中文系博士(仏教学)教授マネーが世界を暴れ回ると、社会の安定が破壊され、平和も損なわれます。不安が募り、力に頼って自らを守ろうとする感情が強まるのです。しかし、それはますます不安を増幅してしまいます。こんな時代だからこそ、歴史と先人たちの知恵に学びましょう。もともと経済学には、より自由な社会をつくり、それを安定させるという目的があったはずです。世界的な格差を縮小し、より自由で安定した社会をつくる道筋を探るために、現実のおそろしいほどのダイナミズムを直視しつつ、柔軟に広い視野で学びましょう。国際金融は、経済だけではなく、社会の安定や平和の問題に深く関わっている。高 英求KOH Youngku国際金融論国際関係入門、国際金融論、国際経済史 ほか最終学歴専門分野授業科目京都大学大学院経済学研究科修士(経済学)教授加々美 康彦領土問題など日々生起する国と国の間の紛争を解決するには、一般的には「国際法」と呼ばれるルールが適用されます。ところがそのルールは、国内社会にあるような立法機関(国会)が決めるのではなく、そのルールに拘束される国自身が交渉して決めるものであり、それに違反しても、国際社会には「警察官」はいません。また、相手国を訴えようとしても、同意がなければ「裁判」自体が開かれません。このように国内社会と異なる常識で動く国際社会のしくみを知れば、ニュースで報じられる国と国との紛争も、今までとは違って見えてくるでしょう。KAGAMI Yasuhiko国と国の紛争を、どう解決する?“国際法”で、ニュースが違って見えてくる。国際法、海洋法、自然保護法海洋政策、保全生態学国際法、国際機構、環太平洋から学ぶ ほか最終学歴専門分野授業科目関西大学大学院法学研究科修士(法学)教授風水と聞くと、運気の上がる方角を思い浮かべる人が多いでしょう。風水には“方角”のほかに、目的に合った自然環境を備えた“場所”を選ぶためのものがあり、韓国や中国、台湾、香港、ベトナムなどの国々では、現代でもその考え方が生きています。中国では、ビジネスの決断を風水によって行うこともあるほどです。「自然環境をとらえ整理する」ための風水の考え方を知ることは、東アジアの人々の心の奥底を理解するうえで、とても重要なこと。同時に、みなさんが身のまわりの自然環境を守りうまく利用していくためにも、必ず役立つはずです。近いようで日本とは違う東アジアの国々。人々の心の奥底を知るカギは、風水にある。澁谷 鎮明SHIBUYA Shizuaki韓国地域研究人文地理学東アジアから学ぶ、韓国語入門、地誌、人間と環境 ほか最終学歴専門分野授業科目名古屋大学大学院文学研究科博士(地理学)教授財部 香枝博物館は収蔵品を並べているだけだと思ったら大間違い。研究者である学芸員が、見る人に問いを投げかけ、ともに語り合う場でもあるのです。「博物館と文化」の講義では、おもに世界最大の博物館・研究機関であるアメリカのスミソニアン協会を題材に、各時代の展示内容の背景を考えます。歴代ファーストレディのガウン、ティラノサウルス、火星探査機…、何気なく見ている展示の裏にある社会的文化的背景を理解すると同時に、楽しんで学べる博物館の魅力を感じてください。TAKARABE Kae古いモノを並べているだけじゃない。博物館は、公衆と語り合う最前線。科学史、科学技術社会論博物館学博物館と文化、環太平洋から学ぶ、国際英語 ほか最終学歴専門分野授業科目名古屋大学大学院人間情報学研究科博士(学術)教授

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