中部大学教育研究2022
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(3)大学教員に対する印象中大連携では「大学教員が中学生に講義を行うこと」が特徴となるため、今回は中学生の大学教員に対する印象を調査した(図7)。「大学教員の話は面白かった」と感じた生徒は約50%程度となった(q)。また、「大学教員の話を聞く機会がもっとあれば良い」と思う生徒は60%程度であった(r)。さらに、「中部大学の他の先生の授業も聞いてみたい」という質問には、70%を超える生徒が肯定的な回答をした(s)。4生徒アンケート結果の考察生徒アンケートの調査結果を、主体的・対話的な深い学び(アクティブラーニング)や課題研究の指導法、及びSTEAM教育の開発の観点から考察する。4.1理系・文系の選択テーマへの関心(1)社会とのつながりや学ぶ価値現代の複雑に事象が絡み合う社会課題の解決にあたり、人間社会との調和的な科学技術の社会実装が重要となる。サイエンスをベースに、異分野への興味関心、多様な知の受容力、社会的文脈や社会的課題への感覚を養う取り組みは、初等中等教育の段階からその重要性を増している7),8)。この中大連携活動に参加した大半の生徒が、文系テーマであれば社会問題や社会、理系テーマであれば科学技術の役割や意義に対する関心及び理解を深めたことは、この活動がSTEAM教育の入口として大いに貢献したといえる。第一線の研究者である大学教員の講義は、生徒の予想を超えて、学問の面白さや奥深さを伝えることができ、また生徒のより深くその分野を学びたいという態度に結び付いていることが評価できた。本活動を、活動後の生徒のより深みのある学習に繋げられる可能性があるといえる(図8)。(2)選択テーマと理解の深まり次に、文系と理系のテーマを選択することによる生徒の意識の違いの発露について検討する。テーマの内容の「理解」については、活動終了後に「理解が深まった」という回答は、理系テーマよりも文系テーマの方が、統計的に有意に値が高かった。これは、文系テーマで扱う人文・社会科学分野よりも、理系で扱う自然科学分野の方が、中学生にとって理解がより困難であるということを示しているといえる。この要因の1つとして、人文科学や社会科学で扱うテーマは、生徒の生活との共通点があるものが多いので、中学生にも論理や因果関係が想像しやすかったというものが考えられる。一方、科学についての研究テーマには、生徒が日常生活では体験しない実験や実習があり、メカニズムを理解するよりも未解決の問題があることに興味を持たせるねらいもあったようである。このような要因により、生徒の理解度に文系・理系の差が生じたと考えられる。一方、このことは「想像し大学との連携による中学校でのSTEAM教育の開発―5―84594342204067490%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%図6中大連携活動の総合評価605029514449324755109154790%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%図7大学教員の印象に関する回答分布図8大学教員による体験型講義(大学の実習室)

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