中部大学教育研究25
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ⅰ【認知症独居高齢者の今の暮らし方】このカテゴリーでは8つのサブカテゴリーから生成された。《日常生活動作から認知症進行度や認知力を把握する》の学生の記述では、<同じ話を何度も繰り返したり、床暖房のスイッチをつけたかどうかを何回も確認する様子がみられ、認知症の症状の一つである短期記憶障害があると考えられる>、<コンビニでタバコや酒、弁当を購入していることから、買い物や金銭管理ができると思われる>など、訪問時の実際の生活動作や言動から認知症の症状や状態を把握していた。《独居生活の不安を捉える》では、<「一人で生活するのは大変」という発言が療養者からみられ、今後の生活に不安を感じていることがわかった>、<療養者は、身体的な面だけでなく病気の進行に伴って生じる今後の生活に対しての不安がある>など、認知症独居高齢者が不安な気持ちを抱えて暮らしている現状を理解していた。《身なりや居室環境の状態からいつもと変わりなく生活ができているかを把握する》では、<服装や髪型などが整っており、療養者が普段から身だしなみに気を配っている様子がうかがえた>、<ストーブのコードは壁側にきちんと寄せられており、療養者の会話や生活の様子についても前回訪問時と大きな変化は無かった>、<冷蔵庫の中に傷んだ食べ物などは見られず、整理されていたことから、体調や生活に大きな変化はないと考えられた>など、身なりや居室環境からいつも通りの生活が継続できているか観察をしていた。《認知症症状と生活を統合させ独居の限界を判断する》では、<認知症やその他の疾患の進行から転倒や服薬トラブルを起こしやすく、近いうちに独居が難しくなってくると考えられた>、<療養者には「自宅で暮らしたい」という意向があるが、認知機能の低下が徐々に進行している様子もみられ、将来的には一人での生活が難しくなってくると考えられる>など、一般的な認知症の症状を理解した上で、実際の暮らしと認知症の進行を照らし合わせ、危険な状況を予測し、現在の暮らしを続けることができるかを判断していた。《楽しみが継続できているかを把握する》では、<毎日近所の喫茶店にシルバーカーを使って通っており、~(中略)~社会との関わりを持つ貴重な機会であり、生きがいにもなっていると考えられる>、<認知症や糖尿病がありながらも、近所のスーパーへ足を運び、自分でできることは自分でしたいという強い思いが見られ、それが療養者にとって重要なニーズであると考えた>など、学生は、身体的な状態だけでなく、日々の楽しみや社会とのつながりにも目を向け、楽しみが継続できているかという観点から認知症独居高齢者の暮らし方を理解しようとしていた。《看護師自身の目でしっかり事実を確認する》では、<本人の発言が事実でない可能性も考えられるため、実際に確認できることは自分の目で確認する必要がある>、<本人はシャワー浴を行っていると話していたが、訪問時に浴室の様子を観察すると、実際にいつ入浴したのか判断できない状態であった>など、学生は生活環境や生活の痕跡を手がかりに実際の行動を推測し、事実を確認する姿勢の重要性を学んでいた。《認知症高齢者が送ってきた今までの生活を尊重し受け入れる》では、<療養者がこれまで在宅で暮らしてきた生活背景を知ることが重要であった>、<ただ、知識や技術を提供するのではなく、療養者の価値観を受け入れることも大切だと実感することができた>など、療養者のこれまでの人生や生活の積み重ねを尊重し、受け入れる重要性を学んでいた。《既存の独居認知症高齢者へのイメージが変化する》では、<介入する前は認知症がある方が独居で暮らすと部屋のものが散らばっていたり、外に出かけることが難しいと思っていたが、実際、部屋はきれいに整頓され、ほとんど毎日近所の喫茶店に通うことができており、認知症であっても好きなことを続けながら在宅で生活していた>、<認知症として短期記憶障害や見当識障害はあるが、家事もできているし、喫煙は玄関先で行い、今までの行動を継続しているとわかった>など、実際に見た暮らし方を通して、認知症独居高齢者へのイメージが、ネガティブなイメージからポジティブなイメージへと変化していた。ⅱ【認知症独居高齢者が今の生活を継続できるための訪問看護師の支援】このカテゴリーでは6つのサブカテゴリーから生成された。《1人でも危険がないように生活空間を整える》では、<生活状況をできる限り推測しながら観ていくことで生活上の危険を予測でき安全に過ごせる環境を作ることができると学んだ>、<IHクッキングヒーターの電源を消し忘れていたことから、今の生活環境を観察し危険を回避するための環境整備が必要であると考えた>など、実際の生活環境と認知症の症状を統合してリスク管理を行う重要性を理解していた。《生活意欲が向上するように強みを引き出す》では、<シルバーカーを使用し歩いて買い物に行くことができることを強みであると考えた>、<病気が悪化しないということは、コンビニに行ったり、喫煙したりと住み慣れた家で自分のしたいことをして自分らしい生活をおくるために必要な事ではないかと考える>など、学生は療養者の行動を「その人らしい生活」の一部と在宅看護論臨地実習での学生の学び―3―

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