中部大学教育研究24
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1はじめに1.1中部大学人間力創成教育院専門職教育プログラム(日本語教員養成講座)日本語教員とは、国内外の教育機関において日本語を学習しようとする日本語を母語としない者に対して日本語を教授する人材をいう。本学の人間力創成教育院専門職教育プログラムには、2001年に文化庁の諮問を受けた日本語教員の養成に関する調査研究協力者会議の答申「日本語教育のための教員養成について」(文化庁HP)に従い、日本語教員養成講座が設置されている。原則として3年次終了時までに必修科目16単位、選択必修科目4単位以上を修得した者のうち、希望者に対して日本語教育実習の機会を提供している。そしてその実習を修了した者には、学内の教務委員会における審議を経て、卒業時に本学所定の日本語教員養成講座修了証明書(単位修得証明書)が交付される。1.2台湾・中国文化大学における日本語教育実習本学は、2018年に台湾・中国文化大学との学術交流協定を締結した。この学術交流協定に基づき、同校の外国語文学部日本語文学科において日本語教育実習が実施されている。この派遣プログラムは、本学の日本語教員養成講座を受講する4年生の日本語教育実習(1単位)として、同校で日本語を学ぶ現地の学生に日本語の授業をおこなうものである。なお日本語教育実習は、受け入れ留学生を対象とする日本語研修プログラム・日本語支援プログラムにおいても実施される。この台湾の派遣プログラムにおいては、日本語の授業だけでなく、幅広い学年の多様な日本語教育カリキュラムによる中国文化大学での日本語授業を見学したり、台湾で日本語を学ぶ学生と交流したりすることにより、海外での日本語教育の世界を実体験することもできる。中国文化大学は日本語教育プログラムが充実した大学のひとつである。日本語を学ぶ日本語専攻の学科を要し、500人以上の学生が日本語を学んでおり、1年生から4年生まで40科目以上の日本語関連科目を開講している。本プログラムの派遣生は、初級から上級までさまざまなレベルの授業を見学し、そこで学ぶ学生と直接触れ合うことができるのである。2019年度はテストケースとして日本語教育実習生2名を2019年11月18日から11月30日までの13日間の日程で同校へ派遣したが、実習生2名は充実した実習期間を過ごすことができた。その後、実習生2名は、2020年1月22日に開催された台湾日本語教育実習報告会において、成果の報告をした。その時点では、この台湾派遣プログラムは2020年度以降も継続的に実施される予定であった。しかし、テストケース直後の2020年度から2022年度までの期間、COVID-19の影響により中止されてしまった。その空白の3年間を経て、2023年度にようやく、2回目の派遣が可能になった次第である。以下に2023年度の台湾教育実習の概要と実習生の声を報告する。なお、本稿で掲載される写真については全員から掲載許可を得ている。22023年度台湾日本語教育実習派遣プログラム報告はじめに、2023年度台湾日本語教育実習派遣プログラムの概要を記す。2.1本プログラム概要派遣期間は前後の移動日を含め、2023年10月23日(月)から10月30日(月)の8日間であった。そのうち、10月28日(土)と10月29日(日)は大学が休みのため、市内見学や自由行動とした。受け入れ機関は、中国文化大学外国語文学部日本語文学科(台北市)で、受け入れ責任者は陳順益学科長であった。そのほか実習指導教員として、陳毓敏先生(コーディネータ)、住原則也先生、塚本善也先生、黄金堂先生の計5名の先生方にお世話になった。―89―2023年度日本語教員養成講座「中国文化大学(台湾)日本語教育実習派遣プログラム」報告武藤彩加*1*1人文学部日本語日本文化学科教授

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