中部大学教育研究23
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中部大学『魅力ある授業づくり』5年間の取り組みを振り返って―2018年度から2022年度の実践と振り返り―1.本報告書について『魅力ある授業づくり』とは本学のFD活動における重点目標である。この重点目標は、2007年度のFD委員会(2019年度よりFD・SD委員会へ名称変更)において検討が始まり、2008年4月に正式に制定された。その後、当該目標の下に実施された全学的なFD活動について5年ごとに評価・点検が為され、その詳細が2013年および2018年にそれぞれ報告書としてまとめられた1,2。本報告書は、前回の振り返り以降の5年間(2018年度から2022年度まで)におけるFD活動の評価・点検内容を総括し、今後の方向性を見出すことを目的としてまとめられたものである。なお、この重点目標『魅力ある授業づくり』は制定当初は5年間継続することを目安としていたが、2012年11月に開催したFD委員会において、2013年度以降も引き続き目標とすることが決まった。同時に、その意図するところをより明確に学内外に広く提示することが望ましいとして、以下の枠内の通り定めた内容を2013年度より公示している。2.2018年度以降の全学FD活動重点目標『魅力ある授業づくり』の推進2018年度以降の全学FD活動を振り返った際に、まずは社会全体に大きな影響をもたらしたコロナ禍について触れざるを得ない。2013年以降、本学では質および量ともに充実したFD活動を展開してきたが、2020年の春に突如として発生した新型コロナウイルスの感染拡大により、様々な活動の中止や延期が相次いだ。例えば、2020年度春学期には学生による授業評価が中止になったほか、FD・SD講演会の開催中止や、授業サロンおよび全学公開授業の募集停止等、特に対面型の活動が大きな制約を受けた。その一方で、ICT技術を活用した遠隔授業が教職員や学生間に広く浸透したことを反映して、それらの技術の活用がFD活動においても新たな活路を開いた。特に新型コロナウイルスが猛威を振るった2020~2021年度にかけては、遠隔授業の事例を紹介したFDカフェの開催や、オンラインツールの利用方法の詳細を説明したキャリアアッププログラムが開催される等、遠隔授業そのものを題材とした企画が数多く開催された。その後、社会活動の正常化に伴い、授業サロンや全学公開授業等の対面型イベントも定期的に開催されるようになり、2022年度のFD活動件数はコロナ禍以前を上回る水準にまで達した。ただし、当該年度においても内容によっては、オンライン、オンデマンド形式やハイブリッド形式を採用する等、柔軟な運営方法がとられており、一部の企画ではこのことが参加者増につながっている。このようにコロナ禍が本学のFD活動に与えた影響は功罪ともにあったと言えよう。―88―『魅力ある授業づくり』は、学生と教員が協同して行うものです。魅力ある授業・・(学生にとって)興味を持って聴ける授業、将来において役立つ授業(教員にとって)学生の成長を実感できる授業、学生から感化を受ける授業授業づくり・・・(学生が目指す)自主的に学ぶ態度、知識・技術の修得(教員が目指す)授業改善、授業スキルアップ(学生と教員が目指す)双方向のコミュニケーション

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