中部大学教育研究24
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以上が台湾における計50時間の内容である。ここに記載されている事項以外においても、授業外の時間においても台湾の学生たちとの交流が行われ、今も継続的に連絡を取り合っているようである。2.5評価について評価方法については、中部大学における事前事後指導については、中部大学の実習指導教員が成績評価をおこない、中国文化大学における実習(教壇実習2回を含む)50時間については、中国文化大学の実習指導教員が成績評価をおこなった。それらの評価をもとに、中部大学の実習指導教員が総合評価をおこなった。3実習に対する学生の意見帰国後に、実習に参加した2名に自由記述のコメントを依頼した。その内容を項目別にまとめ、以下にあげる。3.1出発前の準備と活動計画について・中部大学内での日本語教育実習と同時に教案や教材を作成した。学内で教材作成や模擬授業を行い、出国前に余裕を持って準備を完了することができた。・授業資料を人数分以上に余裕を持って印刷し持参したことで、現地での活動をスムーズに進めることができた。・宿泊先のホテルから大学への行き方についても事前に十分調べておいた。3.2実習のスケジュールと授業内容について・初日はオリエンテーションと授業見学、二日目は実習と見学、三日目は授業見学のみで四日目は実習と見学、といったように授業見学と実習を交互に行う形で進められた。・自身の教壇実習前に授業見学があり、学生の授業態度や意欲を知ることができた。・1年生の初級授業では単語導入や長文音読、文型を使った会話練習が行われていた。・2年生では日本史や日本文化に関する授業も行われていた。具体的には、日本史として『源氏物語』をもとに時代背景を踏まえて要約するという授業であったり、日本にある様々な道路標識を見て日本語でどんな意味があるのかについて考えたりするといった内容であった。つまり、学年が上がるにつれ基礎練習からやや離れた学習を行うような内容であった。・藤原道長の家系図、鳥獣戯画や武士の中央進出など、日本の学生が学習する程度の日本史の内容などが授業に組み込まれていた。・ほかに、AIを使った小説作成の授業も実施されていた。タイトルやあらすじ、人物を入力し小説を完成させるという授業であった。・さらに、藤井聡太八冠の記事や、京アニ放火事件などといった日本の新聞を少しずつ要約していく授業などもあった。・それぞれの授業において、日本ではあまり見られない授業形態や学生とのコミュニケーションツールを通した学習など、数々、興味深い発見をすることができた。・学生たちは楽しみながら日本語を学んでおり、嫌々勉強する学生はほとんどいなかった。楽しみながら学ぶことの重要性を実感した。3.3日本語コーナーでの学生交流について・授業後に行われていた日本語コーナーでは、台湾の学生と日本人の交換留学生がゲームをしたり、話をしたりして交流を深める様子が見られた。学生の日本語力を向上させる目的で、去年から始まったものだとのことだった。・実際に参加したが、学生が友好的にコミュニケーションを取ってくれ、とても楽しく交流することができた。カードに日本のあいさつが書かれているものもあり、学習者の学習意欲を高めるという点において、ゲームやツールを通して楽しく日本語を学ぶということは重要な要素であると感じた。・授業の際にも感じられたが、多くの学生は自ら進んで楽しみながら日本語を勉強している様子が見られた。一方、嫌々日本語を勉強するといった学生はあまり見られなかった。この「楽しみながら勉強する」という姿勢は、学習速度や学習者のメンタルの観点から考えても、何かを学習する際には不可欠と言っていいほど良いものだと感じた。3.4休日の観光と現地交流について・休日(2023年10月28日及び29日)では、土曜については実習生それぞれが別々の友人と台湾を観光した。中部大学教育研究No.24(2024)―92―図2実習生A、教壇実習

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