中部大学教育研究23
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帯電話を活用して、授業中に学生の反応を瞬時に把握できる本学独自のクリッカーシステムである。クリッカーは、授業を双方向対話型にするために受講者からアンケートや回答をリアルタイムに回収、結果を公表できる仕組みである。「Cumoc」を用いた授業の運用方法は、教員や授業形態により様々であるが、その回答結果に基づいて授業進度等をその場で随時見直しできることや、ティーブレイク的な使い方により受講生の緊張感を持続させる効果、また受講生の授業への参加意識を高める効果を狙う等の多様な活用法があり、双方向授業を構成するツールの一つとして展開してきている。中部大学独自の非常に有効なクリッカーではあるが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う遠隔授業への切り替えをきっかけに、GoogleClassroomやGoogleForms等、同様の機能を有するソフトウェアを使用する教員も多くなり、Cumocの使用頻度は下がってきていることも事実である。今後の授業での使用に関する動向を注視する必要がある。4)「授業サロン」の実施「授業サロン」は、学部間を越えた教員(5人)による互いの授業見学に基づいた意見交換会である。この企画の参加者は、互いの授業見学を材料として、授業の考え方、学生の反応、問題点、工夫、改善案等について、情報交換・意見交換を通じ、教育上における問題対応策や様々なケースにおける授業改善のヒントを見出すことが目的である。また、この「授業サロン」は、参加者による学部を超えた教員のFDネットワークを広げることにも繋がっている。本企画は毎学期1~2グループを運営している。2020年度春学期・秋学期は、新型コロナウイルス感染症対策のため、急遽、遠隔授業が導入され、学生への配慮や教員の遠隔授業への切り替え対応を優先させる等の理由から「授業サロン」の募集を中止した。2021年度からは再度募集を開始したが、秋学期に1件のみとなった。授業を取り巻く環境が新型コロナウイルス感染拡大に伴って大きく変化していることが影響していると考えられるが、授業技術向上のためには有効な方法であるため、今後も継続して開催できるように募集システム等も検討していく。5)「全学公開授業」の実施「全学公開授業」は、授業(1コマ90分1回)を公開し、本学教職員が見学することを通じて、授業改善に活かしていくという企画である。具体的には、授業の公開を希望する教員を講師として募り、公開日を調整した後に、当該授業の授業紹介シートを公表して授業見学者を募る。見学者は教員に限らず、見学後に授業見学コメントシートを記入し、授業担当者にフィードバックするという仕組みである。2020年度春学期は「授業サロン」と同様、新型コロナウイルス感染症対策のため「全学公開授業」の募集を中止した。2020年度秋学期に再開し1件実施、2021年度は3件実施した。遠隔授業と対面授業の両方を対面で見学した。授業サロン同様に授業技術を向上するためには有効―91―表1.授業改善アンケート「Cumoc(キューモ)」の利用件数20182019202020212022160135103104192

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