中部大学教育研究25
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して捉え、病状を安定させる支援が生活の質の維持に直結することを理解していた。《1人でできることを維持できるかかわりをする》では、<本人が継続してきた生活のなかで出来ていること、出来ていないことを見極めることが大切と考え、本人の築いてきた暮らしを尊重し、できるだけ変化させないように支援することが重要だと分かった>、<残存機能の維持のためにできることは自分で行ってもらうように声をかけて促した>など、残存機能を活かしつつ、普段の日常生活を変化させないような支援の工夫を学んでいた。《孤独を感じさせないように支援する》では、<何かあったら伝えてねと言葉がけをしながら薬の管理や服薬を援助することは、本人にとって気にかけてくれる人がいる、助けてもらえる人がいると一人ではないと感じる看護であったと考えた>、<支援者が毎日訪問することで、日常生活を無理なく継続できるだけでなく、療養者が孤独を感じずに過ごせるような支援にもなっていることがわかった>など、療養者の孤独感を受け止め、サービス提供者が常に見守っているという安心感を与えることが孤独感の軽減となり、重要な支援であると気づいていた。《認知症症状の進行を防ぐかかわりをする》では、<居室にはテレビや時計がなく、キッチンからの採光はあるものの薄暗いため、目覚まし時計の設置を次男と検討した。設置することで時間の感覚がつかみやすくなり、朝の覚醒が促されることで、生活リズムを意識しやすくなるのではないかと考えた>、<訪問時にお薬カレンダーを見て内服を行うことができているかの確認を行うだけでなく、薬の必要性を本人に確認して認知刺激を行うことも重要である>など、学生は、認知症症状の進行を防ぐための、生活環境の調整や服薬管理の具体的な支援の工夫を学んでいた。《その日の認知症症状に合わせてケア方法を変更する》では、<服薬管理のためにお薬カレンダーを活用した際、かえって混乱を招き、飲み忘れや飲み間違いが起きてしまったことから、その日の状態に合わせて新しい方法は避け、これまで通り慣れ親しんだお薬ボックスを活用することで、療養者が戸惑わずに内服できるよう配慮することが重要であった>、<常に状態に合わせた支援を継続し、今後起こりうる変化を予測し、その都度ケア方法を検討していくことが必要である>など、認知症症状の変化に合わせて柔軟な支援方法を選択することの重要性を理解していた。ⅲ【認知症独居高齢者が今の生活を継続できるためのチームでの支援】このカテゴリーでは、4つのサブカテゴリーから生成された。《多職種間で認知症症状の共通理解を図る》では、学生は、<療養者本人の希望に沿った支援を多職種と連携しながら考えて、支援していくことが必要であると考えた>、<多職種や家族、地域からの支援を踏まえた支援方法を考えていくことが大切なことであると考えた>など、多職種連携の重要性を学んでいた。《安否確認を図るために多職種間で連携する》では、<認知力の低下が進んだ場合の、内服管理では、サービス利用時間に確実に内服ができるように内服薬の効果が持続する薬剤の変更の相談を医師に行うことも必要だと考える>と、医療職である看護師の役割を認識していた。また、<多職種間で連絡を図ることでヘルパーの導入を促すなど今後の生活を継続できるような提案を行う必要があると考える>、<安全を守るために、お宅を訪れる人を増やすことが必要になるかもしれない>など、生活を安定させるためには、多職種との連携が必要であると学んでいた。《地域で生活を支えるためにインフォーマルな支援者の存在に気づく》では、<専門職者の支援だけでは限界があるため地域で見守りを行ったりとインフォーマルサポートがあることでより安全に過ごすことができると考えられる>、<地域の中で「認知症カフェ」などをつくり高齢者を地域で見守っていくという雰囲気をつくっていくことが必要だと考えた>など、インフォーマルな支援者との関係性に着目し、地域全体で認知症独居高齢者を見守る必要性を学んでいた。《別居している家族と連絡をとり必要な調整を図る》では、<内服や食事の促しを休日に行っていただくことは可能なのか家族へ相談することが必要である>、<看護師から認知機能の状態を家族に情報提供を行うことが必要である>など、独居であっても別居家族との連携が重要であることを学んでいた。6考察6.1認知症独居高齢者の今の暮らし方認知症独居高齢者の今の暮らし方では、学生は生活の中に入る体験から、対象の日常や暮らし方を感じ、一日の生活リズムや趣味、生活環境などの個別性や、療養者にはこだわりがそれぞれに存在することを知り、今の暮らし方を理解することは一人暮らしを継続していく要因であると気づいていた。また、学生の中には、実習前に持っていた認知症独居高齢者への否定的なイメージが、実際の暮らし方を目の当たりにすることで変容し、肯定的なイメージへと変化していた。これは、中村ら(2016)の、臨地実習を通じて学生の認知症高齢者に対する否定的イメージが変化するという先行研究とも一致しており、実習での体験がケア提供者とし中部大学教育研究No.25(2025)―4―
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