中部大学教育研究24
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群19.74歳(SD=1.19)であった。なお、自己開拓(15回構成)受講群、統制群ともに、特定の学部に偏ることはなく、工学部、理工学部、経営情報学部、国際関係学部、人文学部、応用生物学部、生命健康科学部、現代教育学部の学生から構成され、自己開拓(8回構成)受講群は、現代教育学部以外の学生から構成された。2.2調査内容授業各回の教育効果を検証するため、杉本他(2022;2023)と同様の調査内容を準備した。授業での学びキャリア教育科目の各回の授業における教育効果を測定するために、杉本他(2022)で作成された授業での学び尺度を使用した。本尺度は、学びへのコミットメント(「授業の目的を意識して授業を受けることができた」など)とキャリア意識の深まり(「自分の人生や将来の生き方に対する考え方が広がった」など)の2つの側面からなる10項目で構成されている。授業を受講した自分自身にどれくらい当てはまるかについて「そう思わない(1点)」から「非常にそう思う(5点)」の5段階で回答を求めた。また、授業全体の教育効果を検証するため、佐藤他(2017)、杉本他(2022)と同様の調査内容を準備した。ビッグファイブ・パーソナリティパーソナリティを測定するために、小塩・阿部・カトローニ(2012)で作成された日本語版TenItemPersonalityInventory(TIPI-J)を使用した。本尺度は、外向性(活発さ、社交性:「活発で外向的だと思う」など)、協調性(やさしさ、利他性:「人に気をつかう、優しい人間だと思う」など)、勤勉性(まじめさ:「しっかりしていて、自分に厳しいと思う」など)、神経症傾向(情緒的な不安定さ:「心配性で、うろたえやすいと思う」など)、開放性(知的な柔軟さ:「新しいことが好きで、変わった考えをもつと思う」など)の5つの側面からなる10項目で構成されている。自分にどれくらい当てはまるかを「全く違うと思う(1点)」から「強くそう思う(7点)」までの7段階で回答を求めた。自尊感情自分を肯定的に捉え、自信があり、自分に満足している傾向を意味する自尊感情を測定するために、桜井(2000)で作成された自尊感情尺度を使用した。本尺度は「私は、自分に満足している」「私はたいていの人がやれる程度には物事ができる」などの10項目で構成されている。各項目について、現在の自分に当てはまるかについて「いいえ(1点)」から「はい(4点)」までの4段階で回答を求めた。進路選択に対する自己効力進路選択に対して認知された効力予期すなわち自己効力を測定するため、浦上(1995)で作成された進路選択に対する自己効力尺度を使用した。本尺度は、「自分の能力を正確に評価すること」「自分が従事したい職業(職種)の仕事内容を探すこと」「一度進路を決定したならば「正しかったのだろうか」と悩まないこと」などの30項目で構成されている。それぞれの項目についてどれくらい自信があるかを「全く自信がない(1点)」から「非常に自信がある(4点)」までの4段階で回答を求めた。時間的展望より遠くの将来や過去の事象が現在の行動に影響するという時間的展望の広がりを測定するため、白井(1991)で作成された時間的展望尺度を使用した。本尺度は「私の将来は漠然としていてつかみどころがない(逆転項目)」「毎日がなんとなく過ぎていく(逆転項目)」「私の将来には希望がもてる」などの19項目で構成されており、今の自分にどれくらい当てはまるかを「当てはまらない(1点)」から「当てはまる(5点)」までの5段階で回答を求めた。また、時間的展望の内容を詳しく検討するため、白井(1994)の時間的展望体験尺度も加えて使用した。本尺度は、過去受容(「私は、自分の過去を受け入れることができる」など)・現在の充実感(「今の生活に満足している」など)・目標指向性(「私には将来の目標がある」など)・希望(「自分の将来は自分できりひらく自信がある」など)の4つの側面からなる18項目で構成されている。自分自身にどれくらい当てはまるかについて「当てはまらない(1点)」から「当てはまる(5点)」までの5段階で回答を求めた。キャリア・アダプタビリティ変化できる資質であり、大きな困難なくして新しいあるいは変化した環境に適応できる資質であるキャリア・アダプタビリティ(Savickas,1997,2011)を測定するため、杉本(2014)で作成されたキャリア・アダプタビリティ尺度を使用した。本尺度は、関心(「今の選択が自分の将来を形成すると認識すること」など)、コントロール(「自分で意思決定を行うこと」など)、好奇心(「自分の持っている疑問について深く調べること」など)、自信(「問題を解決すること」など)の4つの側面からなる15項目で構成されている。各項目について、キャリアを構築する強みとして現在の自分がどれくらい発達させ、できるようになっているかについて、「全くできない(1点)」から「非常によくできる(5点)」までの5段階で回答を求めた。コミュニケーション・スキルコミュニケーションのスキルについて測定するため、藤本・大坊(2007)で作成されたENDCORE尺度を使用した。6つのメインスキルを測定するものであり、それぞれ「自己統制」「表現力」「解読力」「自己主張」「他者受容」「関係調整」について1項目、計6項目で構成されている。各項目は、「かなり苦手(1点)」から「かなり得意(7点)」ライフキャリア教育科目「自己開拓」の教育効果―3―
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