中部大学教育研究23
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びに関する調査内容を含んだ質問紙調査を作成し、毎回の授業で受講群の調査協力者に回答を求めた。具体的には、授業の最後に振り返りの時間を設け、その場で質問紙調査を実施した。さらに、授業全体の教育効果を検証するために調査内容を含んだ質問紙を作成し、「自己開拓」の授業前後、および別の全学共通教育科目の授業前後で、受講群および統制群の調査協力者に回答を求めた。具体的には、初回の授業で事前調査として調査内容の各尺度および授業における学びへの期待に関する質問紙調査が実施され、最終回の授業で事後調査として同様の調査内容の各尺度および授業における学びの意味づけに関する質問紙調査を実施した。なお、これらの調査は匿名で行うこと、調査結果は統計的に処理され個人が特定されることはないこと、調査への回答は任意であり、途中で中断することも可能であること、授業評価に影響を及ぼさないことを伝えたうえで、調査協力に同意を求め、同意が得られた学生にのみ調査を行った。本手続きは、中部大学倫理審査委員会の審査を受け承認された(承認番号20210059)。3結果と考察3.1授業各回の教育効果3.1.1授業での学びの尺度構成授業での学び尺度の信頼性を確認すべく、第1回から第15回について、各下位尺度の信頼性係数(α係数)を算出した。その結果、学びへのコミットメントにおいてα=.94~.97、キャリア意識の深まりにおいてα=.94~.98という非常に高い値が得られた。以上より、授業での学び尺度の各下位尺度は十分な信頼性を有することが確認された。3.1.2授業での学びの推移「自己開拓」の授業各回の教育効果を検討すべく、授業での学び尺度のそれぞれの下位尺度得点の加算平均点を算出し、各下位尺度得点とした。授業各回の各下位尺度得点の平均値をFig.1に示す。学びへのコミットメントについては、第1回のオリエンテーションを経て、第2回以降、4.00点(4:とてもそう思う)以上であり、学生の授業での学びに対するコミットメントが非常に高いことが示された。本結果は、杉本他(2022)で検証された2021年度の結果と同様の結果であり、「自己開拓」は学生にとって学びに対するコミットメントの高い授業構成・授業展開になっていることがうかがえる。また、キャリア意識の深まりについては、第1回のオリエンテーションを経て、第2回以降、3.50点(3:そう思う、4:とてもそう思う)以上であった。なお、第4回、第6回、第7回・第8回、第10回以降については4.00点(4:とてもそう思う)以上であり、とりわけ第10回以降は4.20点以上で、学生にキャリア意識の深まりが非常に強く認識されたことが示された。第10回以降については、2021年度の教育効果検証においても4.00点以上が得られ、相対的にキャリア意識の深まりがみられることが確認されている。授業後半では、授業前半で行ってきた基礎的な自己理解をもとに自身のライフキャリアについて考えるだけでなく、グループワークによって他者との比較や他者からのフィードバックを通して理解を深める。こうした授業構成・授業展開が、学生のキャリア意識をより深めたものと考えられる。3.2授業全体の教育効果3.2.1各変数の尺度構成TIPI-J、自尊感情尺度、進路選択に対する自己効力尺度、時間的展望尺度、キャリア・アダプタビリティ尺度の信頼性を確認すべく、先行研究に倣い、TIPI-Jについては下位尺度ごとの項目間相関および事前調査中部大学教育研究No.23(2023)―4―1.001.502.002.503.003.504.004.505.00123456789101112131415Fig.1授業各回の教育効果

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