中部大学教育研究25
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看護の姿勢を学び、知識と現実との統合を通じた実践的理解へと深まっていた。さらに、多職種との連携や地域とのつながりを支える支援体制の必要性について理解を深めていた。8本研究の限界本研究は学生が実習最終日に提出したレポートの分析であり、レポートは、制限された文字数であること、評価を意識した記述であることが考えられ、学生の全ての学びを網羅できているとは言えない。また、対象の人数が10名と少ないため、一般化には限界があると考える。9教育上の課題地域包括ケアシステムの構築が進む中、在宅看護の重要性はますます高まっており、実習においても医療中心の看護から、生活支援や地域との協働を重視した看護へと教育内容を転換していく必要性があると考えられる。また、実習中は訪問看護師が臨地実習指導者として学生に同行して指導する教育体制であるため、大学教員が学生のそばで常に支援できる状況ではない。そのため、学生は臨地実習指導者との関係性に戸惑いや不安を抱くことがあり(三宅ら,2018)、学生の学びを円滑にするためには、教員と臨地実習指導者との関係の構築が不可欠であるといえる。両者の信頼関係と情報共有が確立されていれば、教員が不在の場面においても学生が安心して指導者に相談でき、実習への主体的参加や学びの質の向上につながると考えられる。さらに、地域で認知症独居高齢者を支えるためには、訪問看護師のみならず、ケアマネジャーや地域包括支援センター、在宅療養支援診療所などの多様な職種・機関との連携が不可欠である。在宅現場では、療養者のニーズに応じた多職種チームの一員として、連携意識と主体性をもった看護師の育成が求められている中、実習においてもそれらの機関との関わりを含む教育的機会の提供が望まれる。学生が地域全体を視野に入れた包括的な生活支援のあり方を学ぶことができるよう、実習設計のさらなる工夫と拡充が今後の課題である。謝辞本研究にご協力いただきました学生の皆様に心より感謝申し上げます。引用文献粟田主一(2022).認知症の三次予防:認知症になってからも希望と尊厳をもって暮らせる社会を創ろう!医療と社会,31(4),531-545.一般社団法人全国訪問看護事業所(2020).厚生労働省老人保健健康増進等事業推進費等補助金:訪問看護師による認知症高齢者と家族の支援に関する調査研究事業報告書(2025年4月12日)柄澤邦江・稲吉久美子(2008).独居高齢者における独居を継続できなくなった要因に関する研究飯田女子短期大学紀要,25,21-33.厚生労働省(2019).看護基礎教育検討会報告書(2025年4月12日)厚生労働省(2022).保健師助産師看護師学校養成所指定規則の一部を改正する省令の公布について(通知)(2025年4月12日)厚生労働省(2022).国民生活基礎調査(2025年4月12日)厚生労働省(2023).介護保険制度の概要:1.介護保険とは(2025年4月12日)厚生労働省(2024).認知症及び軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計(概要):厚生労働省,(2025年4月12日)久保田真美・高山成子(2017).認知症高齢者の独居生活:認知症高齢者が語る体験や思いと介護支援専門員の語る危険から研究紀要,(18),23-35.三宅映子・福武まゆみ・島村美砂子・太田栄子(2018).看護学生が感じている在宅看護論臨地実習における困りごと川崎医療短期大学紀要,(38),7-15.内閣府(2024).家族と世帯(2024年版高齢社会白書・全体版)(2025年4月12日)中村勝喜・髙木初子(2015).看護学生の認知症高齢者に対するイメージと影響要因の文献検討研究紀要,26,93-99.Tajima,T.,Ikeda,A.,Tanigawa,T.,Iso,H.,Yamagishi,K.,Matsumura,T.,...&Sawada,N.(2023).PerceivedLevelofLifeEnjoymentandRiskofDevelopingDisablingDementia:TheJapanPublicHealthCenter-BasedStudy.TheJournalsofGerontology;SeriesB,78(12),2001-2008.高杉友・近藤克則(2020).日本の高齢者における生物・心理・社会的な認知症関連リスク要因に関す中部大学教育研究No.25(2025)―6―

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