中部大学教育研究25
17/89

は訪問看護に同行しない教員から訪問看護の体験を意味づける指導を受けるなど、様々な場面で一貫した指導を受けにくい現状があり、学生は色々な思いを抱いていたと推測する。その思いを知り在宅看護論臨地実習ならではの指導内容や指導方法について検討することは、今後の有意義な指導方法の基礎資料になると考える。特に本論では、教員が把握しづらい同行訪問中に学生が抱く思いに注目した。以上より、本研究では在宅看護論臨地実習において「暮らしを支える看護師」を育てるための臨地実習指導方法のあり方を、実習環境を踏まえたうえで、学生の視点から明らかにしていくものである。2研究目的・意義在宅看護論臨地実習において看護大学生が訪問看護同行中に抱いた思いについて明らかにする。学生から得られた訪問看護同行中の思いである研究成果を活用することで、学生にとっては満足の高い指導が受けられ、在宅看護論臨地実習に対するモチベーションが高まり、学修を深化させることができると考える。また、指導者(教員、訪問看護師)にとっては、教員間、教員-訪問看護師間、訪問看護師間、実習施設間での指導の格差が是正でき、指導者の実習指導の質の向上に資すると考える。3用語の操作的定義「思い」とは、学生が訪問看護同行中に考えたこと、感じたこと、思ったこととする。「訪問看護同行」とは、学生が訪問看護師に同行して訪問看護活動に参加することであり、訪問看護ステーション出発前の準備、療養者宅への車での移動、療養者宅での訪問看護活動、訪問看護ステーションに戻ってからの学びの整理を行う一連のプロセスとする。4研究方法4.1研究デザイン質的帰納的研究とした。学生の視点から得られた在宅看護論臨地実習に対する思いに関する研究は、今まで蓄積がされていないため、学生の語りの中から見出していく質的研究とした。4.2研究参加者研究参加者は2023年度秋学期から2024年度春学期までに在宅看護論臨地実習を修了し、評価を受け、評価が公開されて1か月以内で、研究参加に同意が得られた学生とした。4.3データ収集方法フォーカス・グループ・インタビュー(以下FGIとする)とした。学生からの意見の広がりや具体的な情報を引き出すため、FGIを採用した。グループ編成は、学生の参加可能な日程で実習施設に偏りが生じないようグループ分けを調整した。インタビューの内容は、インタビューガイドに基づき①訪問看護師や教員から受けた実習指導で良かった、分かりやすかった、自分を高めてくれたと感じたこと、②訪問看護師や教員から受けた実習指導で分かりにくかった、思い悩んだ、混乱した、傷ついたこと、③訪問看護師や教員の実習指導に望むことや特に重要だと思うこととした。インタビューは大学内の会議室で行った。内容は許可を得てICレコーダーに録音し、逐語録を作成して分析データとした。調査期間は、2024年3月~2024年7月であった。4.4データ分析方法逐語録を熟読し、訪問看護への同行訪問に対する学生の思いに着目して発言内容を抽出した。抽出した発言内容と学生の語りが一致するかどうかを参加学生に確認した。その後、整理した発言内容を類似性・相違性に基づき分類を繰り返し、抽象化のレベルをあげながらサブカテゴリー、さらにカテゴリー化を行った。分析の過程においては、質的研究の経験のある研究者間で合意が得られるまで検討した。4.5倫理的配慮本研究は、中部大学倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:20230084)。学生には、研究内容について口頭と文書で説明をし、書面による同意を得た上でインタビューを実施した。その際、研究参加の可否が在宅看護論臨地実習成績に一切関係しないこと、同意後であっても途中辞退ができること、インタビューには守秘義務があること、インタビュー中は固有名詞を発言しないこと、得られたデータは個人が特定されないように加工しデータの機密性が保持されること、得られたデータは鍵のかかる場所に厳重に保管されること、研究終了後のデータは適切な方法で破棄されること、研究成果は論文投稿をすることを口頭および文書で説明し、書面にて同意を得た。5結果5.1研究参加者の概要本研究は1グループ3~5名で構成した3グループにグループインタビューを行った。参加した学生は13名であり、本実習の実習施設8か所の内7か所の訪問看護ステーションで実習をしていた。中部大学教育研究No.25(2025)―10―

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る