中部大学教育研究23
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ル・好奇心:ps<.001;自信:p<.05)。これらのことから、「自己開拓」の受講者は、キャリアにおける新しいあるいは変化した環境に適応できる資質である関心、コントロール、好奇心、自信を高め、受講しなかった者よりも高いキャリア・アダプタビリティを育むことが示された。これは、従来の「自己開拓」や新プログラムで示されてきた効果と同様であり(杉本他,2022)、2022年度の受講者においてもキャリア・アダプタビリティを高める効果が示された。3.2.2.6コミュニケーション・スキルの変化分析の結果、コミュニケーション・スキルの解読力、他者受容、関係調整で群と時期の交互作用が有意であった。そこで、単純主効果の検定を行ったところ、解読力は(Fig.14)、受講群において授業前より後で有意に得点が高く(p<.05)、授業前において受講群は統制群より得点が有意に低かったが(p<.05)、授業後では受講群と統制群の得点に有意な差はみられなかった。他者受容は(Fig.15)、統制群で授業前より後で得点が低い傾向にあり(p<.10)、受講群で授業前より後で得点が高い傾向にあった(p<.10)。関係調整は(Fig.16)、受講群において授業前より後で得点が有意に高かった(p<.001)。自己統制は、群の主効果が有意傾向であり、受講群が統制群よりも得点が低い傾向にあった。表現力は、時期の主効果が有意であり、授業前より後で得点が有意に高かった。自己主張は、時期の主効果が有意であり、授業前より後で得点が高かった。これらのことから、2022年度の「自己開拓」の受講者は、解読力・他者受容・関係調整に関するコミュニケーションの得意さを高めることが示された。これらの結果は、従来のプログラムでは示されなかった効果であるが、新プログラムで示された効果と同様である(杉本他,2022)。すなわち、新プログラムの「自己開拓」は従来のプログラムとは異なり、コミュニケーション・スキルの獲得にとどまらず、得意さの自覚まで高める効果を示したものと考えられる。なお、2022年度の「自己開拓」受講群は統制群と比べ、授業前の時点で自己統制や解読力が低い特徴がみられた。本結果は、2021年度も同様にみられた特徴である。「自己開拓」はグループワークがあるため、コミュニケーション・スキルに自信を持てない学生が、コミュニケーション・スキルを身につけようと意欲的に受講しようとしているものと考えられる。ライフキャリア教育科目「自己開拓」における教育効果の検証―9―4.304.404.504.604.704.804.905.005.105.20Fig.14解読力の変化4.304.404.504.604.704.804.905.005.105.20Fig.15他者受容の変化4.304.404.504.604.704.804.905.005.105.20Fig.16関係調整の変化2.802.903.003.103.203.303.403.50Fig.13自信の変化

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