中部大学教育研究25
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5.2訪問看護同行中の学生の思い学生の同行訪問における思いは困難な思いと肯定的な思いに分けられた。困難な思いは47の発言内容から、19サブカテゴリー、そして8カテゴリー【対象者の情報が不足したまま訪問することへの困惑】【質問や指導を受けるタイミングへの躊躇】【看護師による対象者の解釈に対するズレへの当惑】【看護師が行うケアへの違和感に対する藤】【既習の方法と異なる自宅で行う看護実践の難しさ】【主体的に看護実践へ参加することへの躊躇】【看護ケアの実施制限による学修の不全感】【訪問先でのマナーに関する戸惑い】で構成された。肯定的な思いは32の発言内容から15サブカテゴリー、そして5カテゴリー【移動中の車内での情報提供や質問対応に感謝】【学修目標を達成できるような訪問看護師の配慮への感謝】【間近で体験した訪問看護師の看護実践能力への驚き】【学生の看護実践を看護師が認め見守ってくれていることへの安心感】【複数事例や看護師毎の多様な看護実践を学べた充実感】で構成された。以下、カテゴリーを【】、サブカテゴリーを<>、具体的な発言内容を「」で示し、同行訪問における学生の思いについて以下に述べる。具体的な発言内容中の()は著者の補足を示す。5.2.1訪問看護同行中の困難な思い(表1)【対象者の情報が不足したまま訪問することへの困惑】は2つのサブカテゴリーで構成された。学生は「聞いた情報だけで想像しながら行って、(居室環境に)最初びっくりして、しゃべることが出来なかった」など<カルテからでは分からないことが多く訪問時に療養者との関わりに困った>という思いをしていた。実習スケジュールにより<受持ち以外の訪問では少ない情報で同行訪問に行くことが困った>など学生は同行訪問の前に欲しい情報が得られないことに困惑していた。【質問や指導を受けるタイミングへの躊躇】は2つのサブカテゴリーで構成された。「ケアの手伝いをしようと思ったが、忙しい看護師との事前打ち合わせができないままだったことを後悔した」など<忙しい看護師と訪問前に実施するケアの確認がしづらい>と感じ、質問があっても<同行した看護師が次の訪問に出て不在になると質問ができずに困った>など看護師からの指導の受けにくさを感じていた。【看護師による対象者の解釈に対するズレへの当惑】は2つのサブカテゴリーで構成された。「前の看護師はこうだと言ってやっていたけど、今回の看護師は違うのかと戸惑った」という<同行する看護師によって利用者に対する解釈が異なり受けた指導に戸惑った>や<同行訪問をしたことが無い看護師からのコメントや指導内容に疑問を感じた>という看護師からのコメントへの戸惑いがあった。【看護師が行うケアへの違和感に対する藤】は3つのサブカテゴリーで構成された。学生は、「(違和感があっても)もう何年もの付き合いだろうから、そっか、って思い何も口に出すことはしなかった」など<看護師が行うケアに納得できなくても聞くことができなかった>というケア事体の違和感との藤や、<看護師に向かって話し続ける利用者さんに対し記録をしながら雑な返事をしている看護師を見て心苦しかった>という看護師の振る舞いへの違和感や「看護師は(エプロンが無い状態での排泄ケアを)何も言わずに一生懸命、急いでやってるから何も言えない」と<在宅で行う不十分なスタンダードプリコーションに戸惑った>と感じていた。【既習の方法と異なる自宅で行う看護実践の難しさ】は3つのサブカテゴリーで構成された。<家をあさる訳にはいかず何を食べているかの情報収集が難しい>という情報収集の難しさを「栄養指導のため、何を食べているか知りたかったが、人の家のものをあさることはできず情報収集が難しい」と語り、「在宅は家のものを使うため学校で学んだ方法が変わる」など<家の物品を使って行うケアの方法が学校で習った方法と違い難しい>と実施方法の難しさがみられた。さらに、<訪問宅で初めて看護師の実施を見た後に真似をして実施するのは難しい>と、自宅で行う看護実践の難しさを感じていた。【主体的に看護実践へ参加することへの躊躇】は、2つのカテゴリーで構成された。学生は、「時間内に看護を終わらせなければならないので、学生がどのタイミングで入ってよいか悩んだ」と<看護師のケアの邪魔にならないよう学生がケアに入るタイミングに悩んだ>思いを持ち、「末期がんの方で、ご家族の受け入れ(状況)や悲しみや大変な思いから、(関わりたくても)関り方が分からなかった」、「私にできることは無いと思い、学生でもできることとして手袋や物品の補充をした」など<自分の実践能力ではケアに参加したくてもできない藤を抱いた>という思いをしていた。【看護ケアの実施制限による学修の不全感】は、3つのサブカテゴリーで構成された。「侵襲を伴う看護技術の実施については、大学の方針で断っていたが、同行看護によって実施を勧めてくれる看護師もいて迷った」など<実施可能な看護技術の基準が同行看護師により異なることに戸惑った>という思いをしていた。また、「慢性期看護学でケアをし続けていた後だった在宅看護論臨地実習において看護大学生が訪問看護同行中に抱く思い―11―

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