中部大学教育研究24
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ブな感情に至るまでに影響する要因について、意味のまとまりのある文節を要約し、データにある言葉をできるだけ活かしてコード化を行ったものをカテゴリー化した。コードについて意味内容の類似性に従いまとめて抽象度を上げ、サブカテゴリー化を行い、さらに、サブカテゴリーを意味内容の類似性に従いまとめて抽象度を上げ、カテゴリー化を行った。各分析段階において、共同研究者間で共通の見解が得られるまで討議を重ね、分析の妥当性の確保に努めた。4.5倫理的配慮倫理的配慮として、研究協力を依頼するにあたり、研究の目的、方法、研究参加の自由意思、拒否・中断の自由、個人情報の保護、研究参加による利益・不利益、結果の公表等を文書と口頭で説明した。アンケート調査は質問紙に回答することをもって同意とみなし、インタビューへの協力については、質問紙内に同意書欄を設けた。昨今のCOVID-19の状況を鑑み、学生の希望に応じてWEB面接でのインタビュー調査を行った。また、研究対象者は本学の小児看護学実習を履修した学生のうち、すでに成績の確定した者から選出した。本研究は、所属研究倫理審査委員会において倫理審査を受け、承認を得て行った(中部大学倫理審査委員会承認番号20200049)。5結果5.1研究対象者の概要自記式質問紙調査は72名に配付し、44名の回収であった(回収率61%)。実習終了時に「どちらかといえばポジティブ」と回答したものは34名(77%)であった。インタビュー調査への同意が得られたのは18名であり、そのうち11名を無作為に抽出した。研究対象者は、男性2名、女性9名であり、いずれも大学4年生であり、小児看護学実習は大学3年次に履修を終えている。1例あたりの面接時間は平均33分であった。実習開始時の感情は、「ポジティブ」2名、「どちらとも言えない」3名、「ネガティブ」6名であった。文中では、カテゴリーは【】、サブカテゴリーは〔〕、実際の語りは「」で示す。学生の語りの中で、前後の文脈に沿って意味内容を補足しないと伝わらない部分については()で補足した。5.2看護学生が小児看護学実習の中でポジティブな感情に至る要因(表1)看護学生が小児看護学実習の中でポジティブな感情に至る要因について、実習開始前の要因として【学生の個性】、【育まれる小児実習への期待と実感】の2カテゴリーおよび9サブカテゴリーが抽出された。実習中の要因として【実習しやすい病棟】、【看護師の尊敬できる価値観】、【患児との親密性の実感】、【家族との信頼関係】、【良好な実習メンバーとの関わり】、【教員による学びの支え】、【学びの実感】の7カテゴリーおよび26サブカテゴリーが抽出された(表1)。以下に各カテゴリーについて説明する。ⅰ実習開始前の要因【学生の個性】学生より、「割り切った感じで、逆に楽しまないと本当に損だなと意識的にポジティブに考えようとしました。(学生I)」という語りがあり、〔学生の前向きな性格〕や、学生の〔子どもが好きという気持ち〕、〔学生の遊びへの興味〕など、学生の元来もっている個性が、ポジティブな要因として影響していた。【育まれる小児実習への期待と実感】学生は小児看護学実習前の〔学内実習・授業による実習への興味とイメージ化〕によって、〔初めての実習への期待〕や〔小児実習への期待〕を抱き、〔臨地実習への意欲〕を育んでいた。〔臨床の場に身を置くこと〕で、「長期入院で、幼稚園にも行けていない患児に対して、自分がいることで、何か少しでも影響を看護学生が小児看護学実習の中でポジティブな感情に至る要因の検討―15―表1小児看護学実習における学生のポジティブな感情に至る要因

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