中部大学教育研究24
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与えられるよう頑張ろうと思った。(学生B)」や「ターミナル(期)だからこそ、最期までその子と家族が幸せに過ごせるよう自分が出来ることを考えた。(学生D)」と、〔患児・家族のために頑張って何かしてあげたいという思い〕が生まれ、実習に前向きに臨んでいた。ⅱ実習中の要因【実習しやすい病棟】実習病棟の〔清潔で動線の短い病院の環境〕を知り、さらに「X病院の方は、(挨拶の時)みんな、手を止めて聞いてくれた。(指導者が)学生の自分に学校の勉強や将来のことについて聞いてくれたので、指導者イコール怖いというイメージがあったけれど全くそのようなことはないと思った。(学生C)」と語られているように、〔指導者やスタッフの優しい対応〕を受けていた。「すごく(病棟)看護師さんたちも楽しそうな感じだったので、ポジティブな気持ちがずっと続きつつ、より(ポジティブな感情が)上がり、これからこの病院で実習をすることが楽しみという気持ちが大きかった。(学生I)」と、〔実習しやすそうな病棟の楽しい雰囲気〕を感じ、実習を肯定的に捉えていた。【看護師の尊敬できる価値観】学生は、「師長の、ただ預かるだけではなく、家族としていつでも受け入れるという看護観が印象に残った。(学生D)」と語られているように、〔患児を尊重した看護師の看護観〕に触れ、看護師に尊敬の念を抱いていた。【患児との親密性の実感】学生は、年齢や親しみやすい性格の患児など〔学生にとってコミュニケーションが取りやすい患児〕を受け持ち、〔患児との関わりを通して得たポジティブな反応〕や〔一人の子どもとして関わっている実感〕を得ていた。「お母さんから、昨日(実習終了時に患児が)寝てしまい挨拶ができなかったから、ずっと(患児が)探していたことを聞き、(患児)にとって私の存在って結構大事なんだと思いそれがすごくうれしかった。(学生E)」と、〔他者を通して知った患児や家族の自分への思い〕を知り、前向きな気持ちになっていた。【家族との信頼関係】情報収集時や検温時など〔ケア時の家族の協力的な姿勢〕を感じ、「お母さんのことを気にしてちょっとびくびくしていた部分もあったが、患児を中心に関わりを多くしていくと、患児さんのことも分かり、親御さんとの会話も増えた。(学生H)」と語られているように、〔家族とのコミュニケーションの深まり〕を実習を重ねる中で実感していた。さらに、〔家族からの感謝の言葉や関わりを通して得た信頼関係の実感〕より、良い関わりができたと前向きに捉えていた。【良好な実習メンバーとの関わり】「実習メンバーが話しやすく、いろいろな知識を交換したり、相談ができ、常に悩みを一人で持ち続けることがなかったので(ネガティブな気持ちからポジティブな気持ちへ変わった)。(学生A)」と語られているように、〔意見交換ができる実習メンバーの存在〕は学生にとって大きく、〔実習メンバーからのアドバイスやケアの協力〕は、患児と関わるきっかけになっていた。【教員による学びの支え】実習中は、〔相談しやすい雰囲気の中での教員による指導〕や、教員の〔学生の頑張りを認める声掛け〕、〔教員による学生の気持ちに寄り添う言動〕などが学生の学びの支えになっていた。また、「教員へ『何々ができなくて』と報告したら、できたこと、さらに(良くするためには)どうしていくのかという私たちがポジティブになれるような(視点で)指導をしてくださり、良い思いで実習を終えることができた。(学生H)」と語られているように、〔学習者の主体的な学びを支援する教育法〕や、「記録の量や記録のしやすさがあって、時間に余裕があったから、ちゃんと寝れたことは大きかった。(学生H)」と、〔学生にとって取り組みやすい記録の量と内容〕など、教育の方法について言及していた。【学びの実感】学生は、「本当に勉強したことと全部つながるので、勉強すればするほどそういうつながりがあり、勉強して損はないということが結構面白かった。(学生I)」と、〔既存の学習と実習経験のつながりの実感〕をし、〔学習やカンファレンスを通してすすむ受け持ち患児の理解〕は学生のモチベーションを上げていた。「自分の看護計画をやらせてもらえて、楽しいなと思った。(学生K)」と語られているように、〔学生が考えた看護計画の立案・実施の機会〕は、学生にとって楽しいと感じる要因となり、計画を実施することで、〔患児への関わりの工夫によって獲得した成功体験〕を実感していた。〔患児と家族による自分が提供した看護の継続〕や、実習最終日に行う〔看護の振り返りを通して得た前向きな自己評価〕や〔自己への気づきを促す評価面談〕も、「ここはうまくできたなとか、ここは今後生かしていこうとか、自分のいいところや、勉強になったなという気持ちが湧き上がったため(気持ちが)上向きになった。(学生A)」と、実習を前向きに捉える要因となっていた。また「最終カンファレンスが終わり、安心感(で気持ちが上がった。)(学生A)」と、〔学習課題の完遂〕によってポジティブな気持ち中部大学教育研究No.24(2024)―16―

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