中部大学教育研究25
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1はじめに中部大学では、2021年度より全学アセスメントとして「GPS-Academic1)」が導入され、1年生と3年生が受検している。都市建設工学科では、各学年に約80名の学生が在籍しているが、毎年9割近くの学生が受検しており、この受検率は他学科と比べても高い水準にある。これは、1年生は「情報スキル入門」、3年生は「部門創成A」といったパソコンを使用する授業時間を利用しているためである。本学科には、「カリキュラム検討委員会」と「教育支援検討委員会」の2つの委員会が設置されており、学科教員が分かれて議論を進めている。委員会は春学期終了後の8月と秋学期終了後の3月に開催され、その結果は学科会議で意思決定および情報共有がなされている。これまで、教育支援検討委員会ではGPS-Academicのデータ分析やGPAとの比較検討を進めてきた。さらに、有志の教員で「GPS-Academicワーキンググループ」を立ち上げ、より詳細な分析を実施してきた。GPAとの相関や学業不振の学生における個人的な特徴を分析したが、普遍的な傾向を見出すまでには至らなかった。また、個人的な特徴の分析結果は「父母との集い」で面談を担当する教員と共有したこともあったが、十分な活用にはつながっていなかった。本稿では、「GPS-Academic」に加え、2024年度に2年生と4年生が受検したアセスメントテスト「PROG2)」の結果も合わせて分析し、本学科の学生の特徴や成長について報告する。また、学生の多様化、中退率、学業不振への対応を目的として、約20年前から教員が学生と1対1で個人面談の機会を持っている。今年度からはこの面談をデジタル化し、面談項目の一部を追加して実施している。これにより、学生の属性データと面談記録を組み合わせた「都市建設工学科学生ポートフォリオ」を現在作成中である。本稿は、その中間報告も兼ねている。2都市建設工学科のGPS-Academicによる1年次と3年次の比較2.1思考力の全国平均の推移とその対応2021年度から2024年度の入学生は、2回のアセスメントテストを受検しており、2年間の学力的な伸びを調査することが可能である。大学IR推進部からのデータに基づき、2021年、2022年、2023年入学学生の1年次と3年次の受検結果における学科平均ポイントの差を算出し、図1に示した。このアセスメントテストは、問題解決力を次の3つの観点で測定している。「思考力」は、批判的思考力、協働的思考力、創造的思考力に分かれ、思考総合力としてまとめられている。「姿勢・態度」は、レジリエ―21―*1工学部都市建設工学科教授*2工学部都市建設工学科准教授*3工学部都市建設工学科講師*4工学部教育技術員都市建設工学科学生の学習行動データの分析と個別支援への試み杉井俊夫*1・伊藤睦*1・武田誠*1・岡本肇*2・並松沙樹*3・戸塚雄三*4要旨DP達成度の評価として、1年次と3年次受検のGPS-Academicに加え、2024年に本学科ではPROGによる2年次および4年次受検を実施し、その両者の結果から本学科の特徴などを分析している。GPS-Academicでは、「思考力」が学年が進むにつれて伸びが低い傾向があり、GPAの分布との関わりがあることが分かった。PROGでは、同一学生ではないが、汎用力やDP評価の結果が1年次より4年次の方がすべて高い結果を得ており、本学科の教育の検証につながることが期待される。また、学生面談において、現在の大学生活が「楽しい」か「楽しくない」かを問う設問により、早期の要支援学生の抽出を図る取り組みを開始した。アセスメントテストや面談結果を含む学生に関する情報を集約し、学生の成長を可視化、分析するためのデータベース構築についての紹介を行った。キーワードアセスメントテスト、個人面談、分析、学生データベース
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