中部大学教育研究2022
31/89

1はじめに2011年度の全学共通教育のカリキュラム改訂以来、全学英語教育科(現人間力創成教育院・語学教育プログラム・英語)では全学共通教育科目のスキル教育科目として「英語スキルⅠ/Ⅱ」を実施し、その成果や課題について検討すると同時に、その成果を本誌や学会等で発表してきた(今村・大門,2020、大門他,2010;2011;2012;2014;2015;2016;2017;2018、和田他,2013a;2013b、Imamuraetal.,2019、Wadaetal.,2014)。2017年度には到達度確認テスト(共通テスト)の改訂を行い、翌2018年度からは改訂版を用いて授業を行っており、同年および2019年度の結果については大門他(2019,2020)で報告し、2017年度までに見られた問題点が概ね改善されたことを報告した。遠隔授業のため到達度確認テスト等が実施できなかった2020年度については、当該のテストに関する結果を報告することができなかったが(大門他,2021)、2021年度は対面授業が基本となったので、その報告を行いたい。2授業の概略と実施したテスト「英語スキルⅠ/Ⅱ」の受講生は、入学時に行われるフレッシュマンテストの成績によって、上級、中級、初級の3つのレベルに分けられる。教科書および教材は全学英語教育科(現語学教育プログラム・英語)の教育方針に沿ったものである。2011年度と2012年度には既存の教科書を、2013年度からは独自に作成した教科書を使用している。当初から、学習の到達度を測るために、各学期の最後に、(ⅰ)読解方略(リーディング・ストラテジー)に関する問題、(ⅱ)文法に関する問題、(ⅲ)語彙に関する問題、の設問からなる到達度確認テストを実施してきたが、2017年度に改訂を行い、(ⅲ)を秋学期に独立して行う語彙テストとして実施し、各学期の最後に行う到達度確認テストは(ⅰ)読解方略に関する問題と(ⅱ)文法に関する問題に限定した。また、その内容についても、より応用力を測る問題に改訂した(大門他,2019;2020)。さらに、秋学期には授業内容とは独立した実力テストを実施し、フレッシュマンテストの成績と比較することで、英語力の変化の確認を行っている。以下、3節、4節、5節では、それぞれ、到達度確認テストの結果、語彙テストの結果、フレッシュマンテストと実力テストの結果について報告する。遠隔授業となった2020年度はフレッシュマンテスト以外のテストは実施されなかったが、一年間を置いて実施された2021年度の数値が2019年度の数値と変化しているかどうかの比較も行う。6節では、到達度確認テストおよび語彙テストがフレッシュマンテストおよび実力テストとどれくらい相関しているかを検討し、これらのテストがどれだけ受講生の実力を反映しているかという点について確認する。7節は成績に関する報告である。3新版到達度確認テストの結果3.1春学期レベル毎の到達度確認テストの結果を表1から表3―27―2021年度の全学英語教育に関する報告大門正幸*1・今村洋美*1・西村智*1・加藤由崇*2・関山健治*2・和田珠実*2要旨全学英語教育科(現人間力創成教育院・語学教育プログラム・英語)では、2010年度に教育理念・方針を策定して以来、それに沿って教育を行い、その成果と課題について本誌で報告してきた。初年次の英語科目である「英語スキルⅠ/Ⅱ」が全て遠隔で行われることになった2020年度については、担当教員を対象に行ったアンケート結果を中心に報告を行ったが、本稿では対面授業が基本となった2021年度について、従来通りの到達度確認テスト・実力テスト・語彙テストの結果について報告する。キーワード英語教育、到達度確認テスト、フレッシュマンテスト、実力テスト、語彙テスト*1人間力創成教育院語学教育プログラム(英語)教授*2人間力創成教育院語学教育プログラム(英語)准教授

元のページ  ../index.html#31

このブックを見る