中部大学教育研究24
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目指すこととなった。セミナーの企画や、今後の研究所との効果的な連携のための方策を検討するため、中部大学では津田一郎センター長、応用生物学部大場裕一教授、工学部平田豊教授、藤吉弘亘教授、桑畑裕子准教授・URA、研究支援部小野幸嗣担当部長(以上、所属・職名は当時の名称)と筆者とでチームを組み検討を進めた。津田センター長が連携セミナーの共通テーマとして「AIと生命システム」を発案し、並行して、筆者と桑畑准教授が窓口となり基生研、生理研との調整を進めた。岡崎市に所在する分子科学研究所との連携についても筆者が所長と意見交換するなど試みたが、中部大学の研究者との交流実績が乏しいこと、中部大学が物性分野の研究者が少ないことなどから、本格的な連携には至らなかった2)。2.2連携セミナーの開催2021年10月28日中部大学で三機関共催の第1回連携セミナーが開催された。冒頭、中部大学から「AIと生命システム」のテーマ設定の背景として、「AIと生命システムの研究は互いに緊密に連携しながら発展してきた。今後、融合研究が開花し、新たな科学の発展の可能性がある」ことと、連携セミナーの狙いとして「基生研、生理研と中部大の研究・教育両面での協力的、相補的関係を構築し、研究者の融合研究による『創発』と若手人材の発掘・育成を目指す」ことの趣旨説明があった。そして津田センター長、鍋倉生理研所長、阿形基生研所長の基調講演に続き、各機関の研究者が研究発表を行った。新型コロナウイルス緊急事態宣言は解除されていたが、オンライン併用のハイブリッド方式を採用した。オンライン84名、オンサイト35名(うち基生研6名、生理研5名)が参加した。セミナー終了後、中部大学藤吉研究室、平田研究室の見学会と三機関の研究者による意見交換会が開催された。これに続いて、第2回は2022年1月27日生理研(コロナ禍のため、オンライン121名参加)、第3回は2022年3月28日基生研(オンライン37名、オンサイト40名)と、持ち回りで連携セミナーを開催し、各機関の研究者の研究発表、活発な意見交換とラボ・機器見学が行われた。セミナーでの議論等を通じて、関係者は幅広く連携・交流を進めて行くことのメリットを認識し、三機関が相補的互恵関係を築くために「包括協定」を締結することになった。そして協定締結後、2023年1月27日第4回連携セミナーが中部大学で開催され、協定締結後の連携協力の動向について報告と意見交換がされた(オンライン71名、オンサイト41名参加)。なお、基生研で開催された第3回連携セミナー終了後、両研究所の所長から、中部大学の協力により若手研究者がAIデータサイエンスの知見を得る機会を得たいとの要望があった。これをきっかけとして、中部大学が同年4月企業技術者等を対象に開講した「CU-synergyProgram」に、両研究所の若手研究者等が原則各2名及びAIデータサイエンス分野以外の中部大学研究者が複数名オブザーバー参加することとなった。3包括協定の締結とその背景・要因2022年7月21日中部大学において中部大学、基生研及び生理研の連携交流に関する包括協定締結式が行われた。包括協定は「構成機関の融合研究による『創発』と人材の発掘・育成に貢献し、学術の振興に寄与すること」を目的としている。また、三機関が連携協力中部大学教育研究No.24(2024)―22―図1第1~4回連携セミナーのポスター図2包括協定締結式(2022年7月21日)
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