中部大学教育研究24
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かどうかをWilcoxonの符号付き順位検定を用いて分析した1)。その結果、.05の水準で有意であることが分かり、2021年度、2022年度と同一の傾向が見られた。6テスト間の相関2018年度に刷新された到達度確認テストを使用するようになってからは、フレッシュマンテストや実力テストとの間に強い相関が見られることが示され、受講生の実力を反映していることが確認されていた(大門他,2019;2020;2022;2023)。この点は、表5に示すように、2023年度についても同様であった。なお、表5では、参考までに括弧内に2022年度の数値を示してある。7大学全体で考えるべき課題最後に、教育プログラムや授業担当教員では対応しがたい、大学全体に関する課題について、3点触れておきたい。一つ目は学生間の学力の大きなばらつき。二つ目はクラス編成に関する問題。そして三つ目は履修登録をしたにも関わらず単位の修得に至らなかった受講生についてである。7.1学力差これまで示してきたデータの最小値および最大値の数値から明らかなように、学生間の成績のばらつきは極めて大きい。また、学科間による学力の差も大きい。この点を示すために、表6に学科毎のフレッシュマンテストの成績に関するデータを、図1にそのデータに基づく箱ひげ図を示す2),3)。例えば、平均の最低値(BSの48.8)と最高値(LPの67.6)の間には18.8点の差がある。中央値についても同様で、最低値(BSの48)と最高値(HFとLPの68)の間には20点もの差がある。入試制度とも深く関わる問題なのでここでは現状を報告するに留めるが、学力差の問題は、教育上の大きな課題となっている。7.2クラス分けの問題2節で述べたように、「英語スキルⅠ/Ⅱ」の受講生は、入学時に行われるフレッシュマンテストの成績によって「上級」と「中級」に分けられ、それに従ってクラス編成がなされている。しかしながら、授業の時間帯は学科単位で決定されるため、成績だけを基準にクラスを編成することができない。このため、図2に示すように、時間帯によっては「中級」のクラスの成績が「上級」のクラスの成績より良いという逆転現象が生じる。図2は「英語スキルⅠ/Ⅱ」の全てのクラスの成績を示した箱ひげ図である。原因のひとつは学科による成績のばらつきであり、現在の授業編成方法ではどうすることもできないが、抜本的な対策が望まれる課題のひとつである。7.3単位が修得できない理由:出席率の低さ最後に、履修登録をしたにも関わらず単位の修得に至らなかった受講生について分析しておきたい。毎授業の学習の積み重ねを重視する「英語スキル2023年度の全学英語教育に関する報告―29―表5フレッシュマンテストおよび実力テストと到達度確認テスト・語彙テストとの相関括弧内は2022年度の数値表6学科毎のフレッシュマンテストの結果

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