中部大学教育研究2022
43/89

1はじめに筆者は2022年春学期にフランス・ペルピニャン大学からの交換留学生をTAに迎え、全学共通教育科目の二つのフランス語「フランス語入門Ⅱ」「実践外国語A」の授業を担当した。留学生TAと共に行ったこれらの授業を通じて、全学向けの第二外国語教育のあり方や異文化交流の意義について、非常に多くの学びが得られたため、本稿で報告する。2交換留学生TAを迎えて2021年11月、国際センター、国際・地域連携部国際連携課より連絡を頂き、中部大学が交換留学協定を結んでいるフランス・ペルピニャン大学修士課程の学生、ルカ・リコルさんが来日するとのことで、人間力創成教育院語学教育プログラム(外国語)に所属する筆者に指導教官を引き受けてほしい旨の依頼を受けた。期間は2022年春学期の間である。ルカさんは新型コロナ感染症流行によって何度も来日延期を余儀なくされたにもかかわらず、数年越しに日本での留学を強く希望してきた熱心な学生とのことであった。2022年3月下旬、コロナ流行状況には関係者全員最後まで気を揉まされたが、ルカさんは無事来日を果たし、直後に国際センター担当者の方とZoom三者面接を行って、彼の研修時間割を決定した。ルカさんは、国際センターで日本語を週10コマ程度履修し、その他に日本文化研修、茶道華道実習、奈良研修旅行に参加予定とのことであった。そして筆者が指導するのは、人間力創成教育院語学教育プログラム(外国語)が担う全学共通教育科目「フランス語入門Ⅱ」と「実践外国語A」でのティーチングアシスタント(TA)としての実習ということになった。(その後、国際センター・ConversationRoomでの会話TAも週1コマ行っていた模様であった)。2.2「フランス語入門Ⅱ」「実践外国語A」の授業「フランス語入門Ⅱ」には、今学期27名の登録者がいた。全員に「入門Ⅰ」の受講経験がある。「フランス語入門Ⅰ」は、毎学期10クラスが開講され、計390名ほどが受講している。単純に計算すると、これら「入門Ⅰ」の受講生の中から1割弱がさらにフランス語学習を続けようと考え「入門Ⅱ」を履修しているということになる。クラスの中には、スペイン語話者2名と、ドイツ語の履修経験のある工学部3年生、マレーシアからの交換留学生(マレー語、中国語、英語、日本語が堪能)がおり、多言語的に開かれた雰囲気であった。「実践外国語A」は2年に一度開講される「入門Ⅱ」よりさらに一段階上のクラスになる。こちらは8名の受講者で、一層少人数であったが、中には中国語が母語の学生(日本語、英語も堪能)、フランス留学経験のある学生、すでにこの授業を受けたので単位は取れないが、また受講したいということで自主的に受―39―フランス交換留学生TAとの授業-「フランス語入門Ⅱ」「実践外国語A」の実践報告-鈴木順子*1要旨フランス交換留学生をTAに迎えて行われた2022年春学期のフランス語授業は、ネイティブ発音が聞けることや質問への丁寧な対応などから、学生からの評価が大変高かった。主担当教員にも余裕が与えられ、ピアレビューやペアワーク、会話創作・実演などの新たな取り組みが可能となった。さらにTAがフランスや出身地域について複数回報告してくれたことで、異文化に対する理解を深める機会、他者への想像力を育む貴重な契機が与えられた。キーワード第二外国語教育・人文知・交換留学生ティーチングアシスタント(TA)・ペアワーク・ピアレビュー*1創造的リベラルアーツセンター、人間力創成教育院リベラルアーツ教育プログラム語学教育プログラム(外国語)准教授

元のページ  ../index.html#43

このブックを見る