中部大学教育研究24
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丘高校との高大連携協定にもとづく授業(英語)」(以下高大連携英語授業)での取り組み開始により、第3フェーズでは英検対策コースが新たに加えられた。第4フェーズでは、英語圏への留学のみならず国内大学院入学の準備目的にも応じられるよう、ATRで新しく開発されたTOEFL対策コースが取り入れられた。2.3活用の経過前述のLL更新WGでは、BRIXの導入方法も議論された。その際、「授業での活用を推奨はするものの、全学の英語科目での活用を強制はしないで導入をスタートする」こととなった。授業・学習ニーズはそれぞれ異なるため、「統一教材」的な利用の強制は、受講生のみならず担当教師を苦しめる可能性があるということが理由であった。導入以降、BRIX活用に関することは語学(教育)センターが携わった。コロナ禍前までは、教師用の導入手順講習が行われたり、自主学習者を対象にBRIXを活用した自主学習方法を紹介する講座「BRIXTIME」が随時開催されたりした。このような活動をとおして、授業で活用する教師のサポート、自主学習に挑む学習者のサポートが行われていたほか、研究室単位のグループ学習、学科での研修もサポートされていた。保健看護学科の「看護海外セミナー」(2019)の事前準備研修での活用はその一例である。授業活用の一例として、著者が担当してきた授業を例にあげてみる。2014年度から2024年度春学期までに著者がBRIXを活用してきた講義数は合計363、受講者は11,574人となっている。その中で習得目標としてきたのは次のようなことである。①誰にでも伝わりやすい発声・発音方法②日本語にない音の発音方法③単語のアクセント習得④プロソディ10)を含めた適切な発音の練習によるリスニング力向上⑤スペリングの定着を含めた基礎語彙力の強化2019年度から著者が担当した高大連携英語授業11)の取り組みでは、BRIXの英検、TOEICコースを初めてメイン教材として活用した。2022年度からの同科目は「英語スキルⅠ,Ⅱ」が単位取得対象に変更されたため、e-Learning教材(GrammarExplorer1,Cengage)をメイン教材、BRIXを副教材として活用している。2023年度からのTOEFLコースの導入開始後は、「留学英語A,B(TOEFL)」のメイン教材としてBRIXを活用している。TOEFLコースのみならず、英検やTOEICといったBRIXコースの存在価値は、授業受講者以外の自主学習者にも対応し得ることにある。3ATRCALLBRIXの特徴3.1教材の構造BRIXの最大の特徴は、英語の音声にフォーカスしている学習メソッドである。図1は、BRIXの構造を示している。全コースにベーシックコースの要素が組み込まれており、それは試験対策コースにおいても同様である。試験対策コースでは、語彙や例文トレーニングに使われている語彙・文法・構文などが、ターゲットとする試験の難易度に合わせられている。他のe-Learning教材にも、実力判定テストや演習形式は多くみられる。しかし、BRIXはただ解答ストラテジーに慣れるということに留まらない。初心者から上級者までがそれぞれに必要な力を強化でき、ボトムアップ式のトレーニングにも、トップダウン式のレッスンにも応じられる仕組みとなっていること、そして、いずれのコースにも発音自動評定をとおした「自分の口で述べてみる」学習が数多く用意されていることが、BRIXの最大の特徴である。3.2トレーニングの構成BRIXでのトレーニングは、図2のように構成されている。図2にある[L]は音声を聴く学習、[V]は単語スペリングや意味の学習、[P]は発音をする学英語オンライン教材ATRCALLBRIXの特徴とその効果―37―図1ATRCALLBRIXの構造図2レッスンブロックの構成
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