中部大学教育研究24
49/115
習を示している。「発音の基礎」セクションは、単に発音について学ぶものではない。そこには類似する音韻の識別やシラブルの識別12)をするもの、アクセントの位置を耳で確認したり発音したりして自動評定を受けるものが数多くある。「語彙」セクションには、タイピング、単語訳の確認(英日・日英)、単語発音評定などがある。「例文」セクションにある「語句の並べ替え」(和文英訳)では日本語を英語に置き換えるトレーニングを重ねることができ、それをすることにより英語の語順や文法・構文にも慣れていくことができるようになっている。音声付きのものの場合は、リスニング力の向上に役立てることができるし、音声を聞かずに瞬間和文英訳にチャレンジし英作文のトレーニングにすることもできる。3.3多様なレッスン内容現在の英検コースには、旺文社のコンテンツが収録されており、書籍でも人気の定番教材『出る順パス単』(旺文社)もフルに組み込まれている。これも図2のような構成となっているので、語彙がどのような文脈で使われるのかを、読み、聴き、発音するという多角的なアプローチで学習を深めていくことができる。図3は、「TOEIC(L&R)中級1」コースにある単語発音レッスンの一例である。二者択一のヒントをもとに日本語訳に対する語彙を発音し自動評定を受けるものである。このレッスンの場合は、評定基準の難易度を自分で調整しておけるようになっている。難易度を上げればあげるほど、その判定は極めて厳しくなる。BRIXには音声をもとに空所補充をしていくタイプのレッスンや、例文を丸ごと一文タイピングする「ディクテーション」と呼ばれるレッスンも数多くある。総合的な英語力向上をめざす中上級者が学習のしがいを感じるレッスンである。図4は、同コースにある空所補充リスニングの一例である。空所補充は、音素を聴き取る力だけでは足りず、文脈理解、文法・語彙を総動員する力が必要である。入力してみて正解チェックを一度した後は、正解のヒントも表示されるので、黙々と最後まで悩み続けなければならないということはないようになっている。正解表示は、カンニング補助機能なのではない。自力では文が完成できない場合にヒントをもとに考え直し、聴き直しをしてリスニングを修正し、自分の弱点を克服していけるようなメタ学習実践の機会が組み込まれた仕組みになっている。図5は、「英検2級20日間対策コース」にあるリーディング空所補充のテスト例である。この種類のレッスンは、英検に限らずリーディング力を向上させたい場合に広く活用することができる。いずれの場合も、正解チェック後には語彙の説明・文の日本語訳、解答ストラテジーを確認できる。1つのe-Learning教材に、いわば分厚い問題集と参考書とが組み込まれているわけなので、学習者は重い書籍を持ち運ぶこともなく、いつでも、どこからでも、どれだけでもこうしたレッスンを受け、解説も確認して学びを深めていくことができる。レッスンの厚みについて、TOEFLITP実践問題コースを例にあげてみる。このコースには、ドリルセクションが3つ、テストセクションが3つある。そのドリルセクションは20ユニットで構成されているので、ドリルだけでも実際には60ユニットに及ぶ。さらに、その各ユニットは細かな10レッスンで構成されている。つまり、これを合わせると、ドリルだけでも600程度のレッ中部大学教育研究No.24(2024)―38―図3単語発音レッスン例図4空所補充リスニングレッスン例図5空所補充リーディングテスト例
元のページ
../index.html#49