中部大学教育研究2022
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1はじめに中部大学では、情報化社会に対応すべく2004年度新入生から個人でPCを全員に所有させ、履修申告や講義などで活用している。人間力創成教育院情報教育プログラムでは、1年次の春期と秋期にPCを用いた情報教育の導入講義の情報スキル入門と情報スキル活用を開講している。特に春期に開講される情報スキル入門は、ほぼ全ての新入生が履修するため、基本的なコンピュータの使い方やOfficeアプリケーションの使い方などについて学部学科を問わず統一的に教えることが可能である。2新入生のPC所有と情報教育新入生を対象とした情報スキル入門はPCを使用する講義である。情報スキル入門では基本的なPCの使い方、インターネットの接続方法、Officeアプリケーションやツールの説明を行う。2.1これまでの経緯中部大学では、情報化社会に対応すべく2004年度新入生から1人1台のPCを所有させており、それに伴い大学キャンパス内でもPCが使用できるように情報コンセントや電源コンセントの敷設(10号館)やコンピュータに関する相談室CCC(ComputerConsultationCenter)の設置、eラーニング教材、Webシラバス、Web履修申告などが整備された。それまで開講されてきた「情報処理入門」の名称を変更し、「コンピュータ入門」「コンピュータ活用」とした1-3)。現在、CCCはCSD(ComputerSupportDesk)、「コンピュータ入門」「コンピュータ活用」は、「情報スキル入門」「情報スキル活用」となっている。「情報処理入門」や「コンピュータ入門」では、教科書は市販の「情報処理(第2版)」を使用していた4)。「情報処理(第2版)」の内容は主にコンピュータの基礎知識や情報システムなど情報処理に関する内容のため、PCの初心者や文―47―2022年度入学生を対象とした情報スキル入門の教科書の改訂-遠隔講義に対応した教科書とカリキュラム-藤井隆司*1・鈴木知治*2・鈴木肇*3・山田裕子*1要旨中部大学では、2004年度の新入生から全員がノートPCを所有して活用している。2020年度春学期、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、急遽、遠隔講義での実施となった。遠隔講義では、講義がリアルタイムで実施される「オンライン型」と講義資料や録画済みの動画が事前にインターネット上に置かれ、受講生が好きな時間に受講する「オンデマンド型」で講義が学生に提供された。どちらの講義の場合でもPCとインターネット環境が必要であり、PCを使いこなすスキルも一定程度必要となる。しかし、新入生の中には、はじめて自分のPCを持つ学生やPCに対して苦手意識を持つ学生も多く、インターネット接続やWebメールの設定、ソフトウェアのインストールなどをすべて自身で設定することは非常にハードルが高い。我々、人間力創成教育院情報教育プログラムは、新入生のPC導入講義の情報スキル入門と情報スキル活用を担当している。情報スキル入門は、新入生のほぼ全学生が履修しており、かつ全学でPCを活用させる講義であるため、この講義中に遠隔講義用のソフトウェアやツールの説明をすることで、他の遠隔講義をスムーズに受講できるようになるのではと考えた。そのために、新入生が遠隔講義やレポート提出に対応できるように従来の教科書の内容の大幅な見直しと修正、加筆を行った。また、2022年度から開始となったAI数理データサイエンスプログラムに関連して、最近の情報化社会の流れの1つでもあるAIについても教科書に加筆した。これらについて報告する。キーワード情報スキル入門、コンピュータ教育、コミュニケーションツール*1工学部講師*3AI数理データサイエンスセンター教授*2人間力創成教育院情報教育プログラム教授

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