中部大学教育研究24
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スンで構成されていることになる。これに加えて、テストセクションには、6つのパートがあり、その中には18のテストブロックが存在するので、108のレッスンがあることになる。すなわち、総計すると、700に及ぶレッスンがあるわけで、心の準備無くして一覧すれば困惑してしまうのも当然である。このレッスンの厚みとうまく向き合う方法については、詳しく後述する。3.4学習素材のリサイクルBRIXのもう1つの特徴は、各セクションで扱われる単語や例文が、セクション内で何度も登場することである。1セクションで一度出会った単語は、例文の中で使われ、語句の並べ替えやリピーティング、空所補充のレッスンに繰り返し登場する。つまり、単語や例文はアプローチを変えて何度も登場するようになっている。学習素材のリサイクルにより、ボトムアップにしろトップダウンにしろ、自分に合った方法で教材内を行き来するうちに、一定の単語とその使われ方を身につけていくことができるようになっている。また、音声面では、音素からシラブルへ、シラブルから単語へ、単語から文へ、そしてアクセントからプロソディへと段階的に発話に必要な素地を形成できる構造となっている。3.5発音評定の価値図6は「英検2級出る順パス単(出る度A)熟語Part1」例文発音レッスンの一例である。こうした例文発音評定は、1つのレッスンブロックに10文前後用意されている。その数や難易度はコースのレベルによって異なるが、語彙を単に暗記することに留まらず、まず文中での使われ方の例を見ること、次に自らも発音をしてみることで、文を読んで理解する力と、発音する力の両面を鍛えていこうとするものとなっている。学習者は、スコアに満足すれば次の例文へ進むこともできるし、練習をもっと続けて納得がいくまで学習を深めていくこともできる。この「例文発音」では、英文スクリプト表示をオンにしたり、オフにしておくこともできる(図6参照)。表示をオフにすれば、リスニングに頼ることになるので、そのようにしてリスニング力を向上させようとすることもできる。著者の授業では、文字を見て例文を読み上げるのではなく、スクリプト表示をオン・オフしてみて耳を鍛えるトレーニング方法を推奨している。コースによっては、英文スクリプトはなく、日本語訳がヒント的に表示されるレッスンも用意されており、極めて難易度が高いものになっている。BRIXでは単語の発音でも例文の発音でも波形が表示される(図6参照)。また、例文発音の場合は、評定後に単語上に3色のマーカーも表示される。プロソディは、当然、話者の意図により変化するものであるが、モデル音声はその一例を表している。学習者がプロソディに着目して発音をしたり、モデルと自分のプロソディパターンを比較したりすることができるように、このマーカーが表示される。「レクチャー」や「音声分析」には、関心がない場合には毎回確認しなくても良いが、こうした詳細データの確認を好み、時には教師の助言をこうしたデータで確信し、自己修正のきっかけにする学習者も見受けられる。波形の存在には、リスニングを伸ばす利点もある。波形に注目させることでアクセントを習得できたり、ポーズ(空白部分)に注目しながらモデル音声を聴くことで、WordGroup(単語のまとまり)やThoughtGroup(意味のまとまり)に気づいていくこともできる。発音評定を受けていくうちに、相手に伝わりやすい明瞭な発音になっていくばかりか、リスニング力の向上に与える影響が期待できる。図7は、BRIXでの発音演習の流れを示すものであ英語オンライン教材ATRCALLBRIXの特徴とその効果―39―図6発音評定の例図7ATRCALLBRIXでの発音演習の流れ
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