中部大学教育研究2022
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また、各自のスマートフォンでも大学からのメールを確認することも可能であると説明する。3.3PCとOfficeアプリケーションの操作(第3章)遠隔講義が増えた際に、それぞれの講義でレポート課題が課されるケースが非常に多くなった。これは対面講義の時には、手書きのレポートや小テストを実施していたものをデジタル化したケースが考えられる。そのため、Officeアプリケーションについても早急に実施する必要があると考え、3週目とした。第3章では、各自のPC内に作業用フォルダを作成させることや、Officeアプリケーションが各自のPCにインストールされているかの確認と簡単なファイルの作成(Word、Excel、PowerPoint)と保存する実習を行うこととした。学科のなかには、課題のファイル提出時にWord形式ではなく、PDF形式での課題提出を求められる場合もある。そのため、今回変更した教科書には、Wordの実習では通常のファイル形式での保存方法とPDF形式ファイルでの方法を学習する方法を記載した。ただし、時間の都合で1回の講義内でWord、Excel、PowerPointの3本のソフトウェアについて説明する必要があるため、それぞれのソフトウェアについての詳しい説明は、後半の実習で学習させるとして、ここでは基本操作の説明のみとした。3.4情報社会と著作権(第5章)著作権の学習については、以前の教科書では第4章の「PCとネットワークを安全に使うために」の中にセキュリティや情報倫理の中で一部として掲載していた。しかし、最近の音楽や映画、ソフトウェアの違法コピーや不正取得問題や、レポートなどでの引用や参考文献など、大学生活において、著作権は非常に密接に関連する内容が多いため、新たに第5章として独立して章を設けた。3.5情報と社会(第15章)第15章は、まとめの章であり、教科書の内容を網羅した章であった。しかし、2022年度新入生から文部科学省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」が適用される6)ことに合わせて、AIやデータサイエンスについての内容を追加した。この制度は学生の数理・データサイエンス・AIへの関心を高め、かつ、それを適切に理解し活用する基礎的な能力を育成するため、数理・データサイエンス・AIに関する知識及び技術について体系的な教育を行う大学等の正規の課程(教育プログラム)を文部科学大臣が認定及び選定して奨励するものである。これにより、数理・データサイエンス・AIに関する基礎的な能力の向上及びその機会の拡大を図ることを目的としている7)。情報スキル入門は、数理・データサイエンス・AI教育プログラムの修了認定を取得するための必須科目に指定された。これに従い、教科書のデータサイエンスと情報倫理に関する内容を強化した。具体的には「データサイエンスとAI」「情報倫理とAI倫理」についての項目を追加した。3.6Macの基本的な操作方法(付録B)毎年、ある一定数の学生がApple社のMacintosh(以下Mac)で受講している。学部や学科により、入学時に個人が用意するPCの必須条件は異なるが、Apple社のMacは不可と明記しない学科もある。そこでMacの環境にも柔軟に対応できるよう、Windows操作方法と同様にMacの基本的な操作方法も教科書内に掲載した。さらに、アプリのインストール方法やエディタなどのユーティリティについても簡単な使用方法を付録として追加した。これにより、Windowsを前提として書かれている教科書の実習はMacでもほぼ同様に実習できるようになった。4今後の情報スキル入門2022年4月から高等学校では「情報Ⅰ」が共通の必須科目となった。また、2025年からは大学入学共通テストにおいても「情報」が出題されるようになる。今後の情報教育は、GIGAスクール構想のもとで、初等教育の段階から情報の教育を受けた学生が入学してくることとなる8)。そのような学生に対して「今までのようなPC初心者向けの講義内容でよいか。」など、情報スキル入門の内容についても一部見直す時期であると考える。幸いにも、情報スキル入門の教科書は担当教員が執筆と編集を行っており、内容についても今回の遠隔講義対応のように柔軟に変更が可能である。そのため、今後の情報スキル入門のあり方についても議論を行い、その時代に合った内容に適宜変更していきたい。5おわりに2020年度春学期、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、ほとんどの講義が遠隔講義となった。遠隔講義では、「オンライン型」「オンデマンド型」といった形態で講義が学生に提供された。オンライン型、オンデマンド型いずれの講義の場合でもPCが必ず必要であり、ある程度のPCスキルも必要となる。また、遠隔講義の場合、WordファイルやPDFファイルなどデジタルデータとして課題提出が課されるケースが非常に多くなる。しかし、新入生の中には、はじめて自分中部大学教育研究No.22(2022)―50―
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