中部大学教育研究2022
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のPCを持つという学生も多く、インターネット接続やWebメールの設定、ソフトウェアのインストールなど非常にハードルが高い。そこで新入生のPCを用いた情報教育の導入講義である情報スキル入門の講義を利用して遠隔講義の導入教育を行うことを考えた。情報スキル入門は、新入生のほぼ全学生が履修しており、またPCを活用させる講義の性質上、ここで遠隔講義用のソフトウェアやツールの説明を行うことで、他の遠隔講義をスムーズに開始できると考えられる。そのため、2022年度の教科書を作成するにあたり、従来の教科書の構成と内容の大幅な見直しを行い、新入生が遠隔講義へのスムーズな出席、レポート提出、教員と学生の間のコミュニケーションを円滑に行えるようにした。また、2022年度から開始したAI数理データサイエンスプログラムに関連して、最近の情報化社会の流れの1つでもあるAIについても簡単な説明と事例について掲載した。2022年度の情報スキル入門を終えて、章立てや内容に不足や修正点も見られたが、とりあえずの目標は達成できたと感じている。PCは今や道具として「使えて当然」となっている。しかしながら、昨今の学生は、PCよりもスマートフォンの使用に慣れており、PCのタイピング速度やOfficeアプリケーションの利用経験が乏しい。また自分のPCについて、ウイルスやフィッシングなどの危険から守るセキュリティについての知識もない。これらに対応すべく、情報スキル入門は内容を逐次見直し、教科書の内容を改訂することで対応していきたいと考える。また、これからは、小中学校のプログラミング教育の開始により、初等・中等教育の場での情報教育が盛んになり、高等教育の情報教育のあり方についても大きく変貌する時期を迎える。また、今年度から始まったAI数理データサイエンスプログラムについても、本学では文理の枠を超えて教育を行うことになっており、その導入としての情報スキル入門がある。これからもコンピュータサポートデスクや総合情報センターなど学内のコンピュータ関連部署との情報のやりとりを行いながら、情報スキルの教科書の作成とカリキュラム構成を実施していきたい。注1)Tora-netとは、webを活用した学生サービスシステム。履修成績状況、試験時間割の確認などの他、大学からのお知らせや休講・補講などの情報入手、webメールなどwebを通じてやりとりすることができるシステム参考文献1)中部大学環境整備委員会,“学生のPC所有に向けて”,中部大学教育研究,133-142,2003.2)山村正明,藤井康雄,水島章次,坂田宜子,鈴木肇,高橋道郎,栗濱忠司,“PC所持を義務化した情報教育”,中部大学教育研究,135-147,2004.3)鈴木肇,“インターネットとノートPCに対応した教育教材”,中部大学教育研究,65-68,2005.4)草薙信照,“情報処理(第2版)”,サイエンス社,2009.5)中部大学人間力創成総合教育センター情報教育プログラム編,“情報スキル-情報基礎と応用-”,学術図書出版社,2022.6)中部大学AI数理データサイエンスセンターhttps://www.cmsai.jp/7)文部科学省数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/suuri_datascience_ai/00002.htm8)文部科学省GIGAスクール構想の実現についてhttps://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm2022年度入学生を対象とした情報スキル入門の教科書の改訂―51―
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