中部大学教育研究23
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理解や支援方法」が15件と約半数の学生が選択していた。3.7一般の学生が学ぶ必要性・関心についての捉え方保育士や教員を目指す学生が学んだり考えたりする必要があると考える内容に関して、特別支援教育を専攻していない一般の学生が学ぶことについての考えに近いと思うものを複数回答可の選択肢式で求めた結果は、図6の通りである。最も多い回答が「一般の学生も学ぶ必要があると考える」で24件あった。次に多い回答が「関心の高い学生も、まあまあいると思う」で8件、続いて「一般の学生は、専門知識を学ぶことに難しさを感じると思う」が7件、「関心の低い学生が多いと思う」「一般の学生が学ぶ機会を積極的に作ると良いと思う」がそれぞれ6件という結果であった。なお、この回答の理由や補足がある場合に求めた自由記述内容は、次の通りである。・「一般の学生も学ぶ必要があると考える」の理由として〈通常の学級でも、発達障害の子たちがいるので、みんな学ぶ必要がある〉〈特別支援教育に関する知識を備えておくことは、教員になる上で大切〉。・「一般の学生は、専門知識を学ぶことに難しさを感じると思う」「関心が低くても、学ばないといけないと思っている学生は、まあまあいると思う」の補足として〈実践する機会が少ないと学んだことを忘れる、意味を見出すことが難しいと考えると思う〉。・「関心の低い学生が多いと思う」の補足として〈大学で学ばなくても、障害のある子が生きていきやすい社会をつくれる人間を小さいころから育成するべき〉。4考察4.1調査結果の傾向4.1.1特別支援教育への関心の契機今回、特別支援教育ゼミ所属の学生に協力を得たのは、特別支援教育への関心が高いと想定したからであるが、その関心につながった契機や子供時代の出来事には、【障害のある家族・親戚の存在】【子供時代の障害のある友人の存在】のいずれかの回答が約半数に見られた。すなわち、障害のある他者と身近な関係で共に過ごした体験が、関心の高さにつながることが分かる。回答からは、障害のある他者の「笑顔を増やしたい」「役に立ちたい」といった思いや、「コミュニケーションをうまく取りたい」「何を望んでいるか知りたい」といった、障害のある他者への関心につながっている。また、学校で障害のある子供が過ごすことの困難や家族の苦労を身近で体験したことが、関心の高さにつながっていることも分かった。家族・親戚・友人などとしての身近な関係で共に過ごした体験が、特別支援教育への関心の高さにつながったことから、障害のある子供と「身近な関係で共に過ごす」体験が関心の高さにつながることが示唆される。また、大学入学前の交流教育やボランティア、入学後の学外活動で障害のある子供と関わった体験から関心とした回答も多い。他に、〈大学の授業を受けて〉共生社会の実現に向けた保育士・教員を目指す大学生に求められる学び―45―図5保育士や教員を目指す全ての学生が学んだり考えたりする必要があると考える内容図6保育士や教員を目指す全ての学生が学んだり考えたりする必要があると考える内容

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