中部大学教育研究24
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できると考えた。また、「なぜ日本人/私たちは英語・・・・・・が苦手なのか」といったように主語の大きな問いを設定するのではなく、「なぜ私は英語が苦手なのか」と・・いった問いを出発点とすることで、他の誰でもない自分自身の問いを考えることによる自己理解を促し(加藤,2023)、意欲的にその探究に取り組むことができると考えた。3回目~6回目の授業では、問いの設定と探究方法に関する教師の説明と学生の実演機会を設けた。問いの設定については、さまざまな問いの形式と適切な問いの選択について確認した。探究方法については質問紙(アンケート)、面接(インタビュー)、文献調査といった代表的な手法を取り上げた。その後、7回目~9回目の授業ではグループ内でのポスター発表、10回目~12回目の授業ではレポート執筆のための時間を設けた。また、14回目の授業は「公開授業」として設定し、学生それぞれの探究成果をA0サイズ1枚のポスターにまとめて発表する機会を設けた。授業当日には創造的リベラルアーツセンターに関係する教員の参加があり、学生の発表内容・方法に関する有益な意見をいただいた。1年目の授業の成果だが、初年度ということもあり教師自身も試行錯誤しながらの実践となったものの、学生からの授業後の感想を見る限り、彼ら・彼女らの大学生活において多少なりとも意味のある授業が提供できたのではないかという実感を得た。以下、学生のコメントを一部紹介する(原文ママ)。・授業を重ねるごとに少しずつ力がついているのを実感できて楽しくやれた。・見やすいポスターの作り方や自分で考える能力、人の意見を聞くことなどが身についた。・色々な人の問いをみて、自分の問いを見てもらい、質問そしてお互いに自分の問いについて深めることができた。・自分の身の回りの現状に目を向けて、学部や年齢や性別の異なる人々と話し合い、いろんな視点から考えていくことが純粋に面白かった。自身の問いを探究し、発表するという経験は過去にほとんどなかった学生が大半を占めるなか、授業をとおして徐々にその「技能(スキル)」を獲得していった様子がコメントから垣間見えた。また、問いやその問いに関する意見を共有し議論すること、すなわち対話の面白さに気づいている学生のコメントも見られた。その他にも、リベラルアーツを「知らないことを知ろうとすること」「学ぶことにおいての一番根の部分になっているもの」であると述べる学生や、「大学生活「問い」から始めるリベラルアーツの授業―49―19/21Zoom29/28Zoom310/5410/121510/192610/263711/21811/92911/161011/2311111/3021212/731312/141412/2112/281/4151/11表1授業1年目(2021年度秋学期)の授業計画

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