中部大学教育研究24
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1はじめに2004年より、本学では新入生の学生一人一人にノートPC(パーソナルコンピュータ)を所有させることとなり、それに伴って「コンピュータ入門」という科目が設置され、後に現在の「情報スキル入門」の講義名に変更された。「コンピュータ入門」は卒業後、どのような職種であっても、ある程度のコンピュータの知識とスキルが求められるようになった時代の要請を背景に開講された講義であり、春学期、新入生のほぼ全員が履修している。そのために必要なネットワーク環境を備えた講義室を準備するなど、様々な設備を整えながら現在まで進めてきた。2高等学校教育における情報教育の変化2.1高等学校における科目「情報」高等学校における「情報」の教科は、平成11(1999)年度の学習指導要領改訂で新設され、平成15(2003)年度から「情報A」、「情報B」、「情報C」の3科目から1科目を履修することになった。平成21(2009)年度の学習指導要領改訂によって、平成25(2013)年度からは「社会と情報」、「情報の科学」の2科目から1科目の履修に変わった。そして、平成30(2018)年度告示の学習指導要領により、令和4(2022)年度からは、従来の「社会と情報」にプログラミングなどを加えた内容の必須科目「情報Ⅰ」と選択科目の「情報Ⅱ」を履修することになっている。令和7(2025)年度の大学入学共通テストから「情報Ⅰ」が試験科目に追加される。従って2025年度の新入生は、一定以上の情報の知識と技術を身に着けてくることが予想される。2.2実態調査このように来年度に向け、本学における情報教育は、ひとつの転換期を迎えつつある。そこで、我々は高等学校における情報教育について聞き取り調査を行った。使用している教科書では、従来、大学入学後に学んでいた内容をかなりの項目を網羅していることが分かった1)。高等学校の「情報Ⅰ」は、50分の授業を週に2回、1年間かけて実施されている。教科書を用いた座学が主であるが、コンピュータ実習室におけるWord(文書作成ソフト)やExcel(表計算ソフト)を用いた実習も行っている。3本学における情報教育の方向性について上記の結果を受けて、情報教育プログラムでは今後の本学における情報教育の求められる方向性について、教員のFD会議で活発な議論を行っている。今後は情―55―2024年度入学生を対象とした「情報スキル入門」の内容調査-アンケート調査結果を基にした考察-山田裕子*1・鈴木知治*2・藤井隆司*3要旨中部大学では、ほとんどの新入生が「情報スキル入門」を履修している。2012年度からは毎年、独自の教科書を作成し、それを使用して講義を行っている。情報教育プログラムでは、新入生に何を優先的に教えるべきかについて、現在議論を重ねている。また2025年からは高等学校で「情報Ⅰ」を学んだ新入生が入学する。「情報Ⅰ」は2022年度からの新科目である。そこで、我々は2024年春学期の入学後3か月を経過した学生を対象に、教科書で扱った項目を高等学校でどの程度学んでいるか、また、講義で何を必要としているかを知るためのアンケートを実施した。本稿では、その結果を報告するとともに、講義やテキストの改善点について述べる。キーワード情報スキル入門、情報教育、教科書改訂、アンケート調査*1人間力創成教育院情報教育プログラム准教授*2人間力創成教育院情報教育プログラム教授*3人間力創成教育院情報教育プログラム講師

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