中部大学教育研究2022
67/89
受講者に同行して下さる高校側の英語教員とは、授業時間内に情報交換をし、受講者の高校英語授業での様子や受講者にとって困難な点や期待できる点などを伺うことができ、受講者の現状に寄り添った授業計画を立てていくのに役立てることができた。2019年度には、紙媒体での「授業ふりかえり」カードも用意した。各自のその日の学習を5段階評価で表したり、その日にしたことを記録させたりしたほか、自由記述欄も設けた。このカードを授業後に回収し確認することで、受講者自身がその日の学習をどう感じたかを確認することができた。オンラインでこうした情報を収集することも容易だが、敢えてこの授業では、授業の締めくくりに手書きしたものを手渡しで提出させることを意図的に選んだ。3.22020年度授業2020年度春学期、コロナ禍に直面し大学全体の授業が遠隔授業へと授業方法の見直しを迫られる中、本授業は閉講となった。2020年度秋学期は、タブレット端末活用が高校側に導入されたことを受け、44人を対象にタブレット端末を利用した遠隔授業を実施した。本来であれば、秋学期に「資格英語B(TOEIC)」を開講するところであるが、「資格英語A(英検)」を経て「資格英語B(TOEIC)」を受講するのと、いきなり「資格英語B(TOEIC)」を受講するのとでは学習の抵抗感に大きな差がある。そこで、教務支援課などと調整をし、秋学期ではあるが「資格英語A(英検)」を受講してもらうことになった。受講者は高校の教室に集まり、高校側の担当教員には教室内でのサポートをして頂いた。筆者はZoomを介して遠隔で授業を開始した。受講者がオンラインでの受講に慣れた頃、取り出し教育の要素を加えてみることにした。高校で教室とは別のスペースを確保して頂けることになり、遠隔個別指導をそこで行うことになった。各授業日に指導対象グループを数人ずつ決めておき、順に呼び出して1人10分程度の個別指導を行い、全体に課題として示しておいた音読教材の個別指導をしたり、英語学習の状況を確認したりした。さらに英語学習上の質問がある場合は、高校側の教員にも質問対応をして頂いた。図6はその授業構成を示すものであるが、この学期からは、授業と授業の間に、また授業時間内に高校側教員と密に情報共有や意見交換をする必要があり、メールやメッセージングアプリSlackで、高校側の教員とコミュニケーションを行った。個別指導の時間は、遠隔授業の長所や短所を把握する貴重な機会となった。説明不足な部分を発見することもあり、それによりさらに資料を作成して配付するというインタラクティブな流れも作ることができた。このような別室での遠隔個別レッスンは学期中2回ずつ行い、その変化を見守ることができるようにした。たった2回の機会とはいえ、個別指導を機に授業中の集中度が高まったケースもあった。この学期の授業のコンセプトは、図7のように表される。この学期、受講者と対面できたのは、学期末の一回であった。外部テスト(CASEC)の実施を、総合情報センターの教室で行った時のみであった。中部大学教育研究No.22(2022)―64―図4CALL機能を使用しない口頭文法ペアレッスン図5CALL機能を利用した音読ペアレッスン図62020年度秋学期の授業構成
元のページ
../index.html#67