中部大学教育研究25
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(パンフレット)と「その日レポート」用紙(ワークシート)が配付される。参加者はその用紙を随時携行し、その日の活動の流れに沿って用紙に設定された「問いかけ」や「アンケート」に独自のコメントを加えて行く。このレポート用紙は当日解散時に回収し学習成果の確認をするとともに、今後の企画の参考資料としている。回収した「その日レポート」は、集計が終了したのちPDF化して保管するとともに、希望する参加者には返却している。3野外学習活動の展開野外学習活動の中でも特に印象的であったのが「化石発掘体験」である。学生はハンマーやタガネを使って石を慎重に割り、内部から化石片を探し出す作業に挑戦した(図2)。多くの学生は、地層から直接化石を掘り出すという行為に強い感動を覚え、「自分の手で発見した」という実感を得ていた。また時間とともに道具の使い方に工夫が生まれ、参加者同士が情報を共有し合いながら目的を達成して行く姿が見られた。この体験により、化石研究が偶然の発見に頼るのではなく、粘り強い調査と技術の積み重ねによって進められることも実感することができた。この体験の最中に1人の学生が「植物の化石ばっかりだなぁ!」という感想を述べた。これを聞いていた博物館の研究員が「周りの景色を見てごらん、動物はどれくらい居るだろう?」と近くの森を指さして問いかけた。このような交流によって参加者は、化石発掘が単なる作業ではなく、その時代の環境を想像しながら行われていることにも気づくことができた。木曽川河岸での地層見学では、学生が実際に露頭に触れ、数億年にわたる地球環境の変動を体感した(図3)。特に、赤褐色チャートに挟まれる黒色層を前に、教員から「当時の地球が酸欠状態に陥った痕跡」であるとの解説を受け、学生は岩石と地球史を結びつける経験をした。養老断層では、断層によるずれや地形の変化を実際に観察した(図4)。学生は教員の解説を受けながら、断層運動によって東側が沈降して濃尾平野が形成され、西側が隆起して養老山地となったプロセスを学んだ。断層見学を通して、地震が単なる自然災害ではなく、地形形成においても重要な役割を果たしてきたことを理解した。4成果と教育的効果本実践の成果を明らかにするため、2024年度参加学生42名から回収した「その日レポート」を分析した。以下では、主要な設問の集計結果と教育的効果を整理する。4.1見学前の関心設問「今日、福井県立恐竜博物館で何を考えたいですか?」(見学前に回答;選択回答;複数選択可)の結果を図5に示す。最も多かったのは「発掘の様子」(30名)、次いで「恐竜の進化と絶滅」(28名)、「研究の様子」(25名)であった。一方、「博物館の企画・運営」(4名)や「展示物の配置の工夫」(9名)、「博物館のデザイン・建築(11名)」は少数であった。これらの結果から、多くの学生が「恐竜そのもの」や「研究・発掘のプロセス」に強い関心を抱いていたことが分かる。学生の記述からは以下のような声が見られた。「小さな骨からどうやって恐竜全体を復元できるのかを知りたい」野外教室でひらく新しい学び―59―図2化石発掘体験に取り組む学生の様子図3各務原市木曽川河岸の地層見学図4養老断層見学地より断層運動によって形成された地形を望む

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