中部大学教育研究25
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姿勢を示していた。特に本実践で実施した化石発掘体験は、展示見学と並んで学生に強い教育的効果をもたらした。自らの手で化石片を掘り出す経験は、研究活動の厳密さや忍耐強さを実感させると同時に、科学的探究の喜びを体験させるものであった。この体験は、学生に科学者の視点を一時的にでも共有させるという点で、大学教育における体験学習の意義を強く裏づける。以上の結果は、野外教室がリベラルアーツ教育の一環として有効に機能し、自然科学の知識を社会的文脈と接続しながら学生の主体的学習を促進する可能性を持つことを示している。今後は、活動の継続性を確保しつつ、他分野や他地域にも展開することで、大学教育における体験的学習の意義をさらに深めることが期待される。謝辞中部大学工学部理学教室(当時)の北村市次郎先生、小林礼人先生には、本取り組み発足にあたって多くのご指導をいただいた。名古屋大学博物館長(当時)の足立守先生には、当野外教室の一部にご同行いただき、現地解説を含めてご指導いただいた。中部大学応用生物学部環境生物科学科の上野薫先生には、本取り組み初期において参加者確保、事前準備、引率でご尽力いただいた。ここに記して感謝申し上げる。本取り組みは、文部科学省大学教育・学生支援推進事業(テーマA)大学教育推進プログラム「『持続学のすすめ』による実践型人材の育成-分離融合型教育による「あてになる人間」の育成-」(2009年度採択)および文部科学省私立大学高度化推進事業・学術フロンティア推進事業「地殻現象モニタリング手法高度化に基づく予測と情報伝達の科学創成」(2006年度採択)の支援を受けて運営された。引用文献Driver,R.,Leach,J.,Millar,R.,andScott,P.(1996)YoungPeople'sImagesofScience.OpenUniversityPress.Falk,J.H.,andDierking,L.D.(2000)LearningfromMuseums:VisitorExperiencesandtheMakingofMeaning.AltaMiraPress.Kolb,D.A.(1984)ExperientialLearning:ExperienceastheSourceofLearningandDevelopment.PrenticeHall.北村市次郎・堀川直顕(2005)野外授業「スーパーカミオカンデ見学」,総合科目への招待-2005年度中部大学の知のカタログ-,中部大学,108-109.Kudo,T.,andYamaoka,K.(2003)Pull-downbasininthecentralpartofJapanduetosubduction-inducedmantleflow,Tectonophysics,Vol.367,Issues3-4,203-217.工藤健(2005)中部大学だからできる「やり直しのできる大学」への小さな一歩-新任教員の試行錯誤の記録-,中部大学教育研究,5,59-64.工藤健(2006)野外教室「福井県恐竜博物館および野外見学ツアー」,総合科目への招待-2006年度中部大学の知のカタログ-,中部大学,100-101.工藤健・大谷かがり・大橋岳・小山太郎・鈴木順子・塚元佑真・寺井一(2024)全学からの学生参加による協働型授業の新規創成-持続学を題材として-,中部大学教育研究,24,77-84.Osborne,J.(2014)Teachingscientificpractices:Meetingthechallengeofchange.JournalofScienceTeacherEducation,25,177-196.Pekrun,R.(2006)Thecontrol-valuetheoryofachievementemotions:Assumptions,corollaries,andimplicationsforeducationalresearchandpractice.EducationalPsychologyReview,18(4),315-341.行本正雄(編)(2012)平成21年度採択文部科学省大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラム『持続学のすすめ』による実践型人材の育成-文理融合型教育による「あてになる人間」の育成最終報告書,中部大学大学教育推進プログラム推進室.中部大学教育研究No.25(2025)―62―
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