中部大学教育研究2022
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教卓コンソールで全体を把握しつつ、個別対応もするということは、CALLシステムが得意とするところである。学習を個別にさせながらその様子をモニターし、適宜助言をしたり、滞っている部分では励ましをしたりということも容易にできる。ペア・グループワークにおいても、指導を加えながら学習を進めさせることが可能で、さらには2020年度に更新されたシステムでは、ペア・グループワークの間に受講者側から録音をすることができ、それを提出させることも瞬時に行うことができる。コロナ禍以降のマスク着用が語学指導をしづらくしていても、ヘッドセットとマイクを介することで、小声でも聞き取りやすいやりとりが可能である。図19で受講者が使用しているのは、CALL教室に備わっているソフトレコーダー機能(PC@LL)に含まれる「リズムレッスン」教材で単語や文の発音を練習したり、録音して提出したりすることができるものである。本授業でも「声を出す」ことに慣れるための指導に、CALL教室にしかないこの教材の活用を取り入れている。2022年度からの教員2名体制では、図13が示しているようにCALL教室とLL教室の両方を活用している。本授業では、「学習ターゲットに適切に向かうことができているか」「解説は充分であったか」などの確認を、CALL教室やLL教室のモニターシステムを活用して行っている。CALL教室で受講者画面と音声を、LL教室では音声をモニターすることができる。これにより教室を直接巡回することと、モニターシステムを使った巡回を使い分けて、場面に適した指導方法を選ぶことが実現できている。4.2e-Learning教材2019年度の開始時から、本授業では紙媒体のテキストは使用していない。2022年度の「英語スキルⅠ,Ⅱ」では、英語でのコミュニケーション素地形成に不可欠な基礎力とは何か、また受講者の進路分野に関わらず必要なことは何かを熟考し、文法に焦点を当てた教材、GrammarExplorer(センゲージ出版)のLevel1を選定した。GrammarExplorer(以下、GEX)は文法事項の説明を英語で読むことから始まり、リスニング・スピーキング・リーディング・ライティングの中で文法の使い分けを習得するように工夫されている教材である。本授業ではそのオンラインワークブック(MyELT)のみを使用している5)。MyELTでの学習は、テキストと併用するとかなりの量の演習を行うことができるが、MyELTのみを使用しても、1レッスンを受講するのと同時に、テキストと同様の解説(PDF)を必要に応じていつでも確認することができる(図20参照)。「どこでも」「いつでも」学習を、自分のペースで継続していけることを重視して、本授業ではMyELTを利用することになった。教員はMyELTが用意している全教材から必要なレッスンを選び、開講期間や開講順序、受講回数制限を決めて受講者に公開するだけで良い。教材は全て自動採点され、MyELTに備わっているLMSを使って進捗状況のレポートをダウンロードすることができる。本授業ではMyELTでのレッスン内容に合わせて、e-Learning教材につながる橋渡しをインプット側の授業で行っている。アウトプット側の授業では、学習中の文法事項を使って話す・書く側面のアクティビティに重点を置いている。図21は、2022年度春学期の受講者62名が1学期間にどのくらいの時間をMyELTでの学習に要したかを表している。春学期に扱ったのは、24レッスンの課題構成であったが、学習に要した時間の平均は、約10時間であった。この教材の受講回数は3回に設定してあったため、受講者によっては繰り返し受講をした場合も考えられる。15週の授業期間に無理のない程度の分量であったといえる。中部大学教育研究No.22(2022)―68―図20MyELTで学習する様子(192DCALL)図21MyELTでの合計学習時間(2022年度春学期)
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