中部大学教育研究2022
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図22はMyELTで受講者がどのくらいの平均点を得られていたかを表している。最低は43点、最高は98点、平均は70点であった。受講者がそれぞれの英語力に合わせ、自分のペースで学習を進めていけることは、レベルが高めの受講者も飽きてしまわないし、英語学習に抵抗がある受講者も苦しみすぎずに過ごせたことがこの結果から観察できた。4.3ATRCALLBRIXBrix6)の特徴は音声面でのトレーニングに強いことであるとすでに述べた。その他、語順整序をするレッスンで受講者は英語の文構造を学んだり、同時に音声で発音を確認したりすることができる(図23参照)。文法空欄補充の学習や読解レッスン、試験対策レッスンの中では、解説・重要語彙表現・解答戦略もその場で確認することができる。最も受講者が手応えを感じるのは、リスニング空欄補充レッスンで、聞く・文法を適用する・つづるという要素が盛り込まれた課題は、受講者の文法力や語彙力の確認としても役立つものである。2019年度から2021年度までの「資格英語A・B」では、Brixの英検コース、TOEICコースを活用し、英検では3級・準2級・2級・準1級から、TOEICでは390点達成・460点達成・600点達成のコースから受講者が英語力に合わせてコースを選び、学習を進めることができた。2020年度からは、受講者が取り組みやすいように「トリミング機能」を使って短期間に修了できる教材を作成し、各自のペースに合わせて学習を進めた。本授業用に構成したBrixコースは、2019年度に英検・TOEIC関連で13コース、遠隔授業であった2020年度秋学期には、多様なレベルの教材を用意する必要があったことから27コース、2021年度には受講者レベルの格差拡大に伴い30コース設置した。2022年度はMyELTで文法を中心とした学習をしているが、そこで不足している要素である「音声を発する練習」を補うため、Brixも併用している。2022年度春学期は、「語彙を強化したい」という要望を受け、Brixの英検準2級「出る順パス単」のコースから音声面を重視した教材をカスタマイズし、短時間に挑めるよう用意した。2022年度春学期は、6コースの課題のうち、7割以上の受講者が80%以上の課題に取り組んでいた。4.4GlexaWeb学習プラットフォームGlexa7)は、教員が教材を作りやすいWebプラットフォームで、本授業でも「ホームルーム」として活用している。毎回の授業は、ここから始まり、ここで終わる。他の教材に不足する部分の独自教材をここに用意して取り組ませたりしている。2022年度も、他の教材に結びつけるための資料提示や、発音のウォームアップ、そして小テストなどをGlexaで行っている。活動フォーム機能を用いることで、2020年度からはSelf-Reflection(学習のふりかえり)を記録させ、受講者が自身の学習の足跡を残していけるようにもしている。これは2019年度に始めていた、紙媒体での「学習の記録」をデジタル版にして発展させたものである。4.5さまざまな教材の主体的な活用英語というと真っ先に「語彙力がない」と嘆く受講者は、本授業でも少なくない。そこで授業では辞書をどのように使うと語彙を「もっと楽しく」学べるかを繰り返し指導している。辞書を引くのではなくパソコンやタブレット端末、スマホ、webで語彙検索してしまうのは、大学生の授業でもよく見かける光景である。辞書にはこんなに情報が満載である、ということを紹介しながら、語彙検索、翻訳アプリと辞書との違い、書籍辞書と電子辞書、web上の辞書の長所・短所について伝えていくうちに、目の前にパソコンがあっても中部大学春日丘高校との高大連携協定にもとづく授業(英語)―69―図22MyELTで獲得した平均点(2022年度春学期)図23Brixでの語順整序学習(2019年度)

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