中部大学教育研究23
73/137

7.2単位が修得できない理由:出席率の低さ最後に、履修登録をしたにも関わらず単位の修得に至らなかった受講生について分析しておきたい。毎授業の学習の積み重ねを重視する「英語スキルI/II」では、欠席は原則として3回を限度としている。つまり15回の授業のうち最低でも12回(80%)の出席が要求される。表7に示すように、成績と出席率にははっきりした関係があり、春学期と秋学期のいずれにおいても単位を修得できなかった学生の出席率は極めて低い。単位未修得者(E評価)について言えば、春学期は57名(40.1%)、秋学期は108名(45.2%)が規定の出席率を満たしておらず、主としてそのために不可になったと考えられる。この傾向は再履修者ではより顕著であり、表8に示すように、単位を落とした再履修生の出席率の平均は3割程度である。規定の出席率を満たさず主としてそのために不可になったと考えられる受講生の数は、春学期41名(87.2%)、秋学期15名(100.0%)である。授業に魅力を感じず出席率が低くなった可能性は否定できないが、履修登録後1度も出席していない受講生もいる。その数は、通常の履修生では春学期、秋学期それぞれ4名(E評価者中の2.8%)と20名(E評価者中の8.5%)、再履修生では春学期、秋学期それぞれ12名(E評価者中の25.5%)および6名(E評価者の40.0%)である。単位を修得できない受講生の出席率の低さは過去からずっと続いている問題であるが、やはり、オリエンテーションや指導教授制を利用したきめ細かい対応など、抜本的な対策が必要であろう。謝辞教育方針の策定、各種テストの実施、その他の運営面でご協力くださった先生方、本報告の内容に関して貴重なコメントを下さった先生方、英文要旨に目を通してくださったデイビッド・アレン先生に厚くお礼申し上げます。注1)得点は非正規分布をなしていたため、ノンパラメトリックな検定を行った。方法はSPSSがデータに基づいて自動的に選択したものである。2)学科の略号は以下の通り。BS(経営総合学科)、EA(建築学科)、EC(都市建設工学科)、EK(応用化学科)、EL(電気電子システム工学科)、EM(機械工学科)、EP(情報工学科)、ER(ロボット理工学科)、EU(宇宙航空理工学科)、FR(応用生物化学科)、FS(環境生物科学科)、FT1(食品栄養科学科・食品栄養科学専攻)、FT2(食品栄養科学科・管理栄養科学専攻)、HF(英語英米文化学科)、HH(歴史地理学科)、HI(コミュニケーション学科)、HJ(日本語日本文化学科)、HW(心理学科)、LB(生命医科学科)、LC(臨床工学科)、LE(スポーツ保健医療学科)、LK(保健看護学科)、LP(理学療法学科)、LS(作業療法学科)、NA(国際学科)、PJ(現代教育学科)、PY(幼児教育学科)。ただし、英語英米文化学科(HF)および国際学科(NA)は全学向けの授業を受講していない。また、ロボット理工学科(ER)は独自の授業を実施している。このため、到達度確認テスト、実力テスト、語彙テストの分析においては、これらの学科は対象となっていない。3)箱ひげ図の見方は次の通り。箱の部分には、データを並べて四分割した場合の、真ん中の2つ、つまり全体の50%が入る。箱の中の横線は中央値を示す。箱の上下に伸びた部分は、外れ値を除いた最大値と最小値を表す。“○”は軽度の外れ値(箱の長さの1.5倍から3倍まで)を、“☆”は極端な外れ値(箱の長さの3倍以上)を表す。参照文献今村洋美・大門正幸(2020)「中部大学におけるオンライン全学英語教育の取り組み-教員間連携に焦点をあてて-」大学英語教育学会第35回中部支部大会(オンライン開催)での口頭発表.大門正幸・今村洋美・西村智・野田恵剛・山田伸明(2010)「大学英語教育に関する基本方針について-専門教育機関としての大学における英語教育の在り方を巡って-」『中部大学教育研究』10,23-28.中部大学教育研究No.23(2023)―62―表8成績と平均出席率(再履修生)表7成績と平均出席率

元のページ  ../index.html#73

このブックを見る